大学に行く意味はある? どんな目的を持って行けばいい?
文部科学省の学校基本調査によれば平成31年の大学進学率は50%となっており、全国の高校生の半数が大学に進学していることが分かります。
一方、見方を変えれば半数の人は大学進学以外の進路を選んでいることになります。
果たして、大学に進学することにはどのような意味があるのでしょうか。
大学進学の意味や目的意識について考えてみましょう。
大学に進学するメリットとは?
大学に進学すると学費がかかるだけでなく、4年制大学であれば4年間を学業のために投じることになります。
それにも関わらず大学に進学する人が半数であることから、大学進学には何らかのメリットがあると考えるのが自然です。
では、大学に進学するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
主に5つの視点から、一般的に大学に進学するメリットと言われているものを挙げていきます。
専門知識や教養を身につけることができる
大学は教育機関の中でも最高学府と位置づけられており、専門性の高い学問や幅広い教養を身につけることができる場所です。
たとえば、高校までの世界史では古代から現代に至るまでの流れをひととおり学ぶことができますが、ある歴史上の人物や出来事、特定の文化圏に焦点を当てて深く研究するほどの時間はありません。
歴史的な史実は新たな発見や研究成果によって修正されることがありますが、こうした研究は学者によって今この瞬間にも続けられています。
このような最新鋭の研究成果や現在研究中の事柄について学ぶには、大学で学ぶ必要があるのです。
また、大学には専門科目のほかに教養科目と呼ばれる授業があります。
哲学、経済学、言語学といったように、古くから研究が重ねられてきた分野の学問を幅広く学び、教養を深められるのも大学に通う大きなメリットのⅠつと言えます。
大学生という肩書を活用することができる
大学生である以上、所属する大学があり、その大学で学ぶ者として学生証が与えられます。
高校生がアルバイトをはじめ社会に参加する場合、さまざまな制約がありますが、大学生の場合はほぼ自由に学外での活動に参加することが認められています。
このとき、身分としては「学生」という肩書になりますので、世の中において「大学生」として認知してもらうことができ、信用してもらいやすい面があります。
高校を卒業してアルバイトをするとフリーターと呼ばれるのに対して、同じ年代で同じようにアルバイトをしていても「学生アルバイト」と認知されるのです。
近年では学生による起業も増えていますが、学生としての肩書きをフルに活用することで、こうした本格的な社会参画も可能になるというメリットがあります。
友人をつくることができる
大学卒業後の進路は人それぞれです。
同じ大学で学んでいた同期生は、各自が選んだ就職先で働くなど、さまざまな方面で活躍していきます。
しかし、同じ大学の卒業生であるという点で社会に出てからもつながりを持ち続けることはめずらしくありません。
社会人になってからも大学の友人と連絡を取り合っている人は多く、「大学の友は一生の友」言われることもあるほどです。
また、社会に出てから上司や先輩が偶然にも同じ大学の卒業生ということもあり得るでしょう。
同じ大学の先輩後輩ということがきっかけで新たな人間関係が形成されていくこともあるのです。
こうした大学つながりの友人や知人ができるのは、大学に通うメリットと言えるでしょう。
在学中は自由に時間を使うことができる
大学在学中は、高校生までのように1日の予定を拘束されることが少なくなり、時間の使い方は学生の自主性に委ねられます。
社会人になって仕事を始めるとなかなか時間が取れなくなりがちですが、学生時代であれば自由な時間をさまざまなことに使うことができます。
たとえば留学や海外旅行といったように、一定期間を投じる必要がある活動のために時間を使うことも大学生なら十分に可能です。
資格試験や語学の習得といったように、時間を確保して取り組む必要がある勉強にも挑戦することができます。
これほど自由な時間を取れるのは、もしかしたら一生の中で大学時代だけかもしれません。
大学在学中、自分の時間を自由に使えることは、大学に通う上でのメリットと言えます。
就職活動で大卒見込みとして応募できる
将来的な就職など進路選択の幅を広げるために大学進学を望んでいる人も多いはずです。
高卒で就職することもできますが、選べる進路はどうしても大卒と比べて限られてしまいます。
大企業や有名企業、あるいは上級公務員といった仕事に就く場合、応募条件が大卒以上になっていることが多いためです。
多くの大学生が3年次から本格的に就活を開始しますが、いわゆる就活において企業が募集の対象としているのは大卒見込み者です。
日本においては大学卒業後に就職する人の人口が多いことから、大卒見込み者として就活に取り組むことで選べる進路の幅が広がるのは間違いありません。
就活で大卒見込みとして応募できるのは、大学に進学するメリットのⅠつと考えていいでしょう。
大学にどんな目的を持って行けばいい?
大学に通うことで得られるメリットは多く、大学4年間を有意義な時間にしようと思えば活用方法はほとんど無限にあります。
ただし、「何となく4年間を過ごしてしまった」「とくにやりたいこともないまま大学に入ってしまった」といったことでは、大学4年間を無為に過ごしてしまう結果にもなりかねません。
時間の使い方は自分次第である以上、何らかの目的意識を持って大学に進学することが重要です。
一例として、次に挙げるような目的を持って大学に行くようにしましょう。
学びたいこと・研究したいことを明確にしておく
大学で4年間をかけて学ぶ内容は、高校までよりも高度で専門的なものになります。
研究する分野や対象を絞って深く探究することになるため、学びたいことや研究に取り組みたいことが明確になっていないと、学業そのものが苦痛になってしまう恐れがあります。
もともと興味がある分野があれば問題ありませんが、そうでない人は大学にどのような学部や学科があり、どんな研究に取り組むことになるのか、大学のホームページや大学案内を見るなどして調べてみましょう。
高校までの勉強にはなかった分野の研究を行う学部や研究室も大学にはたくさんあります。
自分が興味を持てそうな分野や「もっと知りたい」と感じられる分野を見つけておくことは、大学生活を充実したものにするためにも非常に重要なことです。
就きたい仕事やキャリアビジョンを持っておく
大学で学んだ専門分野を将来仕事で活かす人ばかりではありません。
しかしながら、専門知識を持つことを前提に採用選考が行われる業種・職種もありますので、将来就きたい仕事が見つかった場合に学んできた分野の知見が活かせることが理想です。
大学生活そのものだけでなく、大学卒業後にどのような仕事に就きたいのか、どういったキャリアを歩んでいきたいのか、といったことも踏まえて大学で学ぶべきことを考えるのも1つの方法です。
キャリアビジョンが明確になっていれば、大学進学はその夢を叶えるための手段に過ぎません。
10年、20年という長期的なスパンで進路の見通しを立て、目標に向かって何を学ぶべきかを考えておくといいでしょう。
いろいろな学生や教授の考えを吸収するつもりで行く
大学にはいろいろな人がいます。
大学の規模にもよりますが、たいてい高校よりも学生数が多く、指導にあたる教員の数も大学のほうが多いことがほとんどでしょう。
また、大学には全国から学生が集まってきますので、これまで出会ったことのないタイプの友人ができたり、未知の考え方や感性に触れたりするチャンスが増えるのです。
いろいろな考えを持った人の知見や考えに触れることは、自分自身の思考を深め、人間的な幅を広げることに役立ちます。
高校までに経験してこなかった新しい視点や考え方を吸収するつもりで大学に入るのも、学生生活を送る上でのⅠつの考え方と言えます。
こうして得られた知見や幅広いものの考え方は、社会に出てからも必ず役立つはずです。
20代で正社員への就職・転職
大学に行く意味はない!?
大学に行くことには多くのメリットがありますが、人によっては大学進学で得られるメリットがそれほど感じられず、むしろ学費や4年間という時間的なコストを天秤にかけて「進学しない」という選択をする人もいることでしょう。
大学に行く意味がないと考えるのであれば、大学に行かないデメリットを理解し、対策を講じておく必要があるでしょう。
大学に行かないのであれば「自分で学ぶ」必要がある
大学で学ぶことが社会に出てから直接的に役立つことばかりではないのはたしかです。
ただし、高度な学問に取り組んできた人の教養は、仕事をする中でも垣間見えるものです。
仮に大学に「行かない」という選択をするのであれば、何らかの方法によって自分で学ぶ必要があるでしょう。
資格取得に向けた勉強だったり語学であったりと、学ぶ対象は人それぞれですが、いずれにしても将来の仕事に資するもの、今後の自分の人生において有益なものを学ぶことは必須と言えます。
現代は時代の変化が極めて速く、技術の進歩も日進月歩です。
大学に行かなければ学ばなくていいのではなく、自力で学んでいく努力が求められることはしっかりと認識しておく必要があります。
大卒でないことで不利になる場合があることを認識しておく
社会に出れば学歴など関係ない、と言う人もいますが、実際には学歴によって就職先や就職後の昇進などに影響が及ぶことは少なからずあります。
大学に進学しないという決断をした時点で学歴は高卒となりますので、たとえば大卒や院卒を対象とする職種には応募することができません。
公務員においても、高卒を対象とする職種は「3種」「初級」といった呼称であることが多く、管理職になれないことがほぼ決まっていたり、昇給のカーブが大卒よりも緩やかになるケースが見られます。
一般的に、生涯賃金は高卒のほうが大卒よりも少なくなると言われています。
このように大卒でないことで不利になる場合があることをよく理解し、将来に向けた展望をしっかりと持った上で決断することが重要です。
この記事のまとめ
大学に行くことで得られるメリットは数多くありますが、そのメリットを生かせるかどうかは進学することへの目的意識にかかっています。
大学に行きさえすれば何かを与えてもらえるわけではないので、もともと大学に進学する意思のあった人も含めて、大学に進学する目的や意味についてよく考えておくことが大切です。
しっかりとした目的意識を持って進学すれば、大学生活はきっと今後の人生にとって有益な学びをもたらしてくれることでしょう。
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