大学の夜間過程とは? 夜間のメリット・デメリットは?
大学によっては「第二部」と呼んでいることもあります。
近年、指導教授の負担軽減などを考慮して廃止する大学も見られますが、現在も夜間課程を設置している大学は数多くあります。
夜間課程に通う上でのメリットやデメリットについて整理しておきましょう。
大学の夜間課程とは?どんな人が通学している?
多くの人が一般的にイメージする大学の授業は、午前中から夕方にかけて行われるものという認識でしょう。
一方で、夜間課程の歴史は古く、第二次世界大戦後からすでに多くの大学に設置されていました。
あえて夜間に講義を行っている夜間課程とは、どのような目的で設置されているのでしょうか。
また、通学しているのはどういった人が多いのでしょうか。
夜間課程の概要から確認していきます。
元々は日中に仕事を持ちながら大学へ通う人向け
大学は、もともと「高校卒業資格」があれば出願し入学することができる教育機関です。
高校卒業後、現役または浪人して入学する人が大半ですが、中には社会人になって大学で学び直す人もいます。
仕事をしながら大学に通うとなると、大学の授業時間帯と仕事の時間帯が重なってしまい、通学することが難しいのが実情です。
そこで、日中に仕事をしながら大学に通えるように、という意図で設置されたのが夜間課程だったのです。
歴史的には、仕事をして生活費を稼ぎながら学びたいという勤労学生のために設置されたという経緯があります。
このように、夜間課程は「仕事をしながら学びたいという人」に向けて設置されている学部なのです。
講義内容や学べることは昼間部と差がない
午前中から夕方にかけての時間帯を講義に使える昼間課程と違い、夜間課程では夜の時間帯に講義を実施する関係上、どうしても授業のコマ数が少なくなります。
ただし、昼間部と夜間部で授業数や授業内容が異なるかと言えば、決してそのようなことはありません。
裏を返せば、それだけやるべきことを詰め込んだ内容の濃い授業内容になっているのが夜間課程なのです。
中には実習など、昼間課程でしか受講できない内容の授業もありますので、そのような場合だけ例外的に昼間課程の学生と一緒に授業を受けることになります。
このように、夜間部で学べることは昼間部と差がなく、同じ内容を履修することが可能になっています。
社会人など幅広い年齢層の人が通学している
昼間部に通う学生の大半は、高校卒業後に現役または浪人して大学に入学しています。
そのため、年齢層がほとんど同じ学生が通学することになります。
これに対して、夜間課程にはさまざまな年代の人が通学しています。
社会人が大学で学び直したいと考えた場合、20代の人もいれば、30代・40代やそれ以上の年齢の人が在籍することもあり得ます。
社会人の場合、日中に勤務している業種や職種も人によってさまざまです。
その結果、昼間部に比べて夜間部に通う学生は多種多様な人がいるのと同時に、大学で学びたいという目的意識が明確な人が多いのも1つの特徴と言えます。
多種多様な人生経験や社会経験について聞ける機会があるのも、夜間課程の特徴と言えるでしょう。
大学の夜間課程に入ることのメリット
近年、教員の負担軽減に加え、夜間課程を希望する学生数の減少といった背景があることから、夜間課程の設置を取りやめる大学が増えています。
しかし、夜間課程で学びたい社会人などの需要は一定数あることから、現在も夜間課程での講義を続けている大学も存在します。
ここでは、とくに現役生が夜間課程に入学して学ぶ場合のメリットを挙げていきます。
日中の時間を自由に使うことができる
夜間課程の授業は夜の時間帯に行われます。
多くの大学で、授業開始は18時前後からとなっています。
そのため、日中の時間帯は完全にフリーの状態になります。
日中にアルバイトをする場合、シフトを入れてもらう時間帯の自由度が高くなります。
学問以外の活動にも力を入れたいと考えている人は、日中をそれらの活動に充てることも可能です。
たとえば、劇団に所属し、日中は演劇活動をメインにしつつ、夜間課程で大学生活も送るということができるのです。
日中の時間帯を自由に使いたいという人にとって、夜間課程は魅力的なキャンパスライフとなるでしょう。
入学難易度が昼間部と比べて下がることが多い
同じ大学の昼間部と夜間部を比べた場合、学部が同じでも夜間部のほうが入学時の難易度が高くないケースがほとんどです。
予備校の模擬試験などでも、昼間部と夜間部では夜間部のほうが合格判定が良くなるケースが多いのです。
同じ大学でも夜間部のほうが入りやすいということは、どうしても入学したい大学がある人にとって選択肢が増えることを意味しています。
これは社会人の学び直しなど幅広い需要に応えるための措置と考えられます。
学びの門戸を広げるためにも、夜間課程に「入りやすい」状況が用意されているのです。
昼間部と比べて学費が安いことが多い
夜間部は昼間部よりも学費が安く設定されていることがほとんどです。
たとえば、国立大学の場合、夜間部は昼間部の半分の学費で済むように標準額が設定されています。
<国立大学等の授業料その他の費用>
昼間部 | 夜間部 | |
入学金 | 282,000円 | 141,000円 |
授業料 | 535,800円 | 267,900円 |
初年度納入金 | 817,800円 | 408,900円 |
参考:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
このように、昼間部と比べると初年度納入金で40万円以上の差があることが分かります。
私立大学においても、基本的には夜間部のほうが昼間部よりも学費が抑えられていますが、中には昼間部と夜間部で学費に差がない大学もありますので注意が必要です。
経済的な面を見ても、夜間課程は魅力的な条件と言えるでしょう。
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大学の夜間課程に入ることのデメリット
さまざまなメリットがある夜間課程ですが、もちろんデメリットもあります。
同じ大学であっても、夜間課程の授業は昼間部の学生が帰ったあとの時間帯に行われます。
そのため、大学内でも夜間課程の学生が大学に来ていることを知らない学生が少なくありません。
そのような状況を踏まえて、夜間課程のデメリットについてまとめておきます。
自己管理ができないと卒業できないことがある
夜間課程に通う学生の多くは、日中にそれぞれ学生生活とは別の活動をしています。
社会人であれば働いていますし、アルバイトに邁進している人もいることでしょう。
日中の活動を終え、普通であれば帰宅して休むタイミングで、夜間課程の学生は通学しなくてはなりません。
疲れていることもあれば、眠くなってしまうこともあるでしょう。
そうした状況に打ち克って授業に集中する気概がないと、授業に出なくなったり講義内容が頭に入ってこなかったりすることになりかねません。
また、日中の自由度が高すぎるため、怠けようと思えば怠けることができてしまいます。
明確な目的意識がないまま夜間課程に入学してしまうと、生活そのものがだらしなくなり、結果的に大学の単位も落としてしまうなど、卒業が危ぶまれる状況になることもあり得るのです。
昼間部のような一般的なキャンパスライフを送るのは難しい
昼間部の学生は、授業後にサークル活動に参加したり、同じ年代の友人と遊びに行ったりと、一般的なキャンパスライフを満喫しています。
夜間課程の学生は、日中に各自の活動がありますので、昼間部の学生と比べて時間がなく忙しいことが少なくありません。
そのため、昼間部の学生ほど「大学の友人」と親しくなり、遊びに行ったりする時間は取れない可能性があります。
多くの友人を作り、サークル活動にも参加して・・・、といった一般的なキャンパスライフを期待している人は、夜間課程ではその希望を叶えられない可能性があります。
ごく一般的な大学生のキャンパスライフを送れないとしても、明確な目的意識があり、日中の時間を自由に使いたいという人のための夜間課程であることを念頭に置くべきでしょう。
この記事のまとめ
大学の夜間課程は、日中の時間帯を自由に使うことができ、学費も昼間部よりも安く済むなどのメリットがあります。
一方で、目的意識を持って通わないと「昼間部にしておけばよかった」と後悔する可能性もあるでしょう。
夜間課程に現役で入学を検討する場合は、メリットだけでなくデメリットにも目を向け、総合的に判断することが大切です。
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