中古車業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





中古車業界とは

クルマは高額な商品であるため、既に使用済みで「中古車」となったクルマであっても、一定の価値を持ちます。

そのような中古車における、買取・販売・流通などを行う業界が「中古車業界」です。

中古車の売買ビジネスは戦後の1950年代より存在していましたが、当初は流通の仕組も整っておらず、市場も小さいものでした。

その後、高度経済成長とモータリゼーションの到来により、中古車の需要も増えはじめ、中古車オークションなどの取引環境も少しずつ整っていきました。

そして90年代の不況期に、安価で購入できる中古車に注目が集まり、中古車業界は大きく飛躍することとなりました。

今現在は、中古車買取会社も無数に増え、中古車オークションも連日のように開催されるようになり、新車市場を脅かすほどの巨大マーケットに成長しています。

ただし、水面下では「若者の車離れ」が急速に進んでおり、車の需要そのものが減ってきています。

中古車ビジネスは国内市場がメインとなるため、日本国内で車離れが進むと、今後売上面で大きなダメージとなってくることが懸念されています。

中古車業界の役割

新しい車をどんどんと生産し、古くなった車はすぐに処分することを続けていると、エネルギーや資源は無駄になり、廃棄物も増えます。

特に自動車の場合は、生産時やスクラップ時に多くエネルギーを使いますので、できる限り「再利用」が求められます。

したがって、不要になった車を次のオーナーに届け再利用を促すことが、中古車業界の社会的役割でもあります。

また、中古車を求めるお客さまには「自分の車を持ちたいけれど、若くてお金がない」「車が必要だけれど、家庭の事情でお金が捻出できない」など、金銭的に困っている人も多いです。

そのようなお客さま層に対して、適切な車種を適切な価格で販売し、車生活をサポートしてあげることも、窓口となる中古車業界の社会的役割といえるでしょう。

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中古車業界の企業の種類とビジネスモデル

中古車業界の一般的なビジネスモデル

中古車業界の中古車販売会社は、まず車を売りたいオーナーと交渉し、車を買い取ります。

買い取った中古車を、自社の直販店でお客さまに向けて売ります。

もしくは中古車オークションで、別の業者に売ります。

そのように「仲介」によって利益を得ることが、中古車業界の一般的なビジネスモデルです。

中古車販売会社

中古車販売会社の例としては、「IDOM(ガリバー)」「ネクステージ」「ケーユー」「アップルインターナショナル」などがあげられます。

これらは中古車販売の大手企業となり、全国各地に販売店舗をもち、メーカー問わず幅広い中古車の買取や販売を行っています。

新車ディーラー

「トヨペット店」、「日産プリンス店」といった、自動車メーカー直列の新車ディーラーでも中古車を取り扱っています。

たとえばトヨタ系のディーラーでは「T-UP」と呼ばれる独自の中古車販売ネットワークを持っており、新車と合わせて、中古車の買取・販売サービスを行っています。

ただしあくまで主体は新車販売であり、中古車販売はサブの事業です。

広告代理店

中古車業界の広告代理店の例としては、「リクルート(カーセンサー)」「プロトコーポレーション(グーネット)」などがあげられます。

これらの企業は中古車を販売しているわけでなく、中古車の価格情報を販売店に代わって宣伝することで利益を得ています。

たとえばリクルートが運営する「カーセンサー」は、全国各地の中古車販売会社と提携しており、日々何十万件もの中古車の価格情報をネット上や情報誌上で公開しています。

広告代理店と販売会社は、お互いが持ちつ持たれつの関係にあります。

オークション会社

オークション会社の例としては、「ユー・エス・エス」「オークネット」などがあげられます。

これらの企業は、中古車オークションを運営している企業です。

オークションの場を提供し、そこに参加する中古車販売業者から参加費用を徴収するビジネスモデルとなります。

中古車業界の職種

中古車を流通させるには、たくさんの人の力が必要になり、職種もさまざまなものが用意されています。

ここでは、中古車業界の特有の職種のうち代表的なものを紹介します。

買取営業

「買取営業」は、車を売りたいオーナーの自宅や事業所に出向き、車の買い取り交渉を行う職種です。

車の年式・装備・劣化具合などを細かく「査定」し、どの程度の額で買い取るかを交渉していきます。

また、オークションからの買い付けや出品を行う、オークションバイヤー的な業務を行うこともあります。

販売営業

「販売営業」は、車を買いたいお客さまに向けて、中古車の販売を行う職種です。

最近はインターネットなどを使って中古車を探し、自分から訪問してくるお客さまが多いため、「訪問営業」をすることは少なく、店舗での待ちの営業が基本となります。

店舗を訪問したお客さまの要望を汲み取り、最適な中古車を売り込んでいきます。

メカニック(自動車整備士)

「メカニック」は、中古車の点検・整備・車検・修理など技術的サービスを行う職種です。

自動車のメカニカルな部分の知識が必要となるため、「整備士免許」を持っている学生や、自動車整備系、機械系の学科を出た学生が活躍しやすい職種です。

中古車輸出

「中古車輸出」は、買い付けた中古車を海外に向けて輸出販売する職種です。

主に中東や東南アジアなど、国産中古車の需要が高い国の業者に対して、輸出交渉輸出手続きを行います。

海外業者と電話やメールでやりとりする事もあるため、外国語でのビジネス会話、読み書きのスキルが求められます。

中古車業界のやりがい・魅力

多くの車やヒトと関われる

中古車業界では、国産車・外車・スポーツカー・クラシックカー・改造車など実にさまざまな車種を取扱います。

新車ディーラーや正規ディーラーのように「新型モデルのみ」、「〇〇メーカーのモデルのみ」といった縛りはありません。

また、仕事で関わるお客さまも「免許取り立てでお金のない学生」、「高級車を売りに出す経営者」、「希少な中古車を探している自動車マニア」など実に多彩です。

そのように型にはまらず、さまざまな車、さまざまなヒトと関わっていきたい人には魅力的な業界といえるでしょう。

インセンティブ報酬が付く

中古車業界の営業職では、買い取り成績や販売成績に合せて、プラスαの「インセンティブ報酬」が貰えることが多いです。

中古車は高額な取引となるためインセンティブ報酬の額も大きく、中には基本給の数倍分にあたるインセンティブ報酬を貰う社員もいます。

営業力に自信のある人や、若くして大金を稼ぎたい人にとっては、魅力的な業界といえるでしょう。

中古車業界の雰囲気

中古車販売会社は車を作っているわけではなく、車を販売することで利益を得ています。

したがって、「いかに売れたか」、「今月は何台売れたか」をシビアに追及している会社も多いです。

営業職には「ノルマ」を儲け、社員皆でノルマ達成に奮闘する体育会系な雰囲気の会社もやはり多めです。

また中古車業界では、小さなベンチャーから始まりここ数年で急成長した会社が多いです。

業界自体の歴史も浅く、「IDOM」や「ネクステージ」など今現在業界を牽引している大手企業も、そのほとんどは1990年代以降に設立された企業です。

したがって、ベンチャー精神やチャレンジ精神の溢れる若い雰囲気が、業界全体的に感じられます。

中古車業界に就職するには

就職の状況

中古車業界の多くの会社は、新卒者を対象とした定期採用を行っています。

大手であれば、毎年150人〜200人程度の新卒社員を採用しています。

新卒採用では、以下大きく3つのコースに分けられ、募集されることが多いです。

<総合職コース>
買い取り営業、販売営業、営業マネージャー、店長、マーケティング企画、経営戦略など、幅広い仕事に携わるコース

<メカニックコース>
整備・点検・修理など、技術的な仕事に携わるコース

<一般職コース>
営業事務、入金処理、車検の登録、電話対応など、事務的な仕事に携わるコース

採用人数の割合としては総合職2:メカニック1が目安であり、総合職を100人採用している企業であればメカニックは50人程度となります。

なお総合職で採用された場合、まずは買い取り営業や販売営業として配属され、経験を積んだのちに、各エリアの店長や本部でのマーケティング企画、経営戦略などに携わっていくパターンが多いです。

中古車業界は、おもに営業職志望の学生や車好きの学生から、新卒の就職先として一定の人気があります。

とはいえ採用人数の母数自体も多いため、比較的内定は勝ち取りやすい業界といえるでしょう。

就職に有利な学歴・大学学部

中古車業界の企業は、総合職・メカニック・一般職いずれのコースにおいても、専門学校卒・短大卒・高専卒・大学卒まで幅広く募集していている会社が多いです。

学歴はさほど厳しく制限していない業界であり、中小の販売会社であれば、高卒も歓迎している会社もあります。

学部においても全学部・全学科を歓迎しており、学部によって有利不利が生じることは基本的にありません。

ただしメカニックコースの場合は、必須ではないものの、自動車整備系学科出身の学生や、整備士免許を持っている学生が優遇されやすいです。

なお中古車業界では、入社後に「普通自動車免許(MT)」を取得することとなります。

選考時の段階では免許は持っていなくても問題なしとしている会社が大半を占めますが、入社後には取る事になりますので、あるに越したことはないでしょう。

就職の志望動機で多いものは

中古車業界への就職を目指す学生には、「車が好き」という人が多いです。

たとえば「小さい頃から車が好きで、車に関わる仕事がしたかった」、「車に詳しく、車の魅力を伝えられる仕事がしたかった」などが挙げられます。

その他、「多くの人と関わる仕事がしたかった」、「若いうちからお金を稼ぎたかった」などを志望理由にする人も多いです。

それらも立派な志望動機であり、決して悪いわけではありませんが、それだけでは弱い部分もあります。

「その会社で仕事として何がしたいか」、「将来どのようになりたいか」、「どのように会社に貢献したいか」の部分まで掘り下げた上で伝えるのがよいでしょう。

中古車業界の転職状況

中古車業界では、新卒者を対象とした定期採用のほか、既卒者を対象とした「中途採用」も行われています。

中古車業界は中途採用に積極的な業界であり、通年に渡り中途社員を募集している会社も多いです。

というのも中古車業界は出入りの多い業界であり、社員の定着率が低く、入社後数年で辞めていく社員も多いためです。

なおこれは中古車業界に限った話ではなく、保険販売業界や住宅販売業界など、個人営業主体の業界に総じていえることです。

したがって、不足した人材分を、新卒採用だけでなく中途採用からも積極的に集めています。

またそれとは別に、事業拡大や業績好調により人手が足りず、中途採用を積極的に行っている会社ももちろんあります。

転職の志望動機で多いものは

中古車業界へ転職を目指す人には、「あえて新車ではなく中古車を扱いたい」といった人が多いです。

たとえば「新車ディーラーで営業をしていたが、中古車業界で新旧の幅広い車種を扱いたかった」「別業界で営業をしていたが、中古車ビジネスに関心をもった」などです。

メカニック志望の方であれば、「中古車業界で多くの車種に触れ、整備の経験を深めたい」といった人も多いです。

中古車の商品としての自由度の高さ、ビジネスや営業商品としての自由度の高さに関心を持ち、志望する人が多いです。

転職で募集が多い職種

中古車業界の転職で募集の多い職種は「買い取り営業」や「販売営業」といった営業職です。

これら営業職は出入りが激しく、長年勤続する社員は限られてきます。

また人海戦術ではありませんが人数が多いことに越したことはない職種でもあるため、積極的に募集されています。

加えて近年は整備士を目指す若者が減り、「整備士不足」が進んでもいるため、メカニック系の中途求人も増えつつあります。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

基本的には、これまで同業界や同業種で働いており、即戦力となるスキルがあると転職で有利になります。

たとえば「新車ディーラーで営業をしていた」、「保険営業や住宅営業など、同じようなBtoCの個人営業をしていた」などの経験があると有利になりやすでしょう。

とはいえ離職者も多く慢性的に人手不足を抱えている業界でもありますので、さほど経験やスキルは重視されないことが多いです。

なかなか社員の集まらない中小の販売会社などでは、業界未経験者、職種未経験者でも歓迎している会社もあります。

未経験者も比較的チャレンジしやすい業界といえるでしょう。

中古車業界の有名・人気企業紹介

IDOM

1994年創業。連結売上高3,094億円、連結従業員数4,450名(2019年2月期末)、国内最大手の中古車販売会社です。

旧社名は「株式会社ガリバーインターナショナル」となり、現在も「ガリバー」ブランドで中古車販売を展開しています。

全国に550以上の販売店舗をもち、中古車および新車の買取・販売を行っています。

昨今は「中古車の個人間売買サービス」や、「カーシェアリングサービス」といった新事業もスタートしています。

IDOM ホームページ

ネクステージ

1998年創業。連結売上高1,631億円、連結従業員数1,911名(2018年11月期末)、国内準大手の中古車販売会社です。

東海地方を中心としつつ、全国に販売店舗をかまえ、中古車および新車の買取・販売を行っています。

「セダン特化」、「スポーツモデル特化」、「軽自動車特化」など、店舗毎にジャンルを特化し中古車販売を行っているのも特徴的です。

2014年には、「Amazon」で世界初となる中古車販売を開始したことで注目を集めました。

ネクステージ ホームページ

ユー・エス・エス

1980年創業。連結売上高799億円、連結従業員数1,115名(2019年3月期末)、国内最大手の自動車オークション会社です。

自動車オークションの草分け的な存在の会社であり、全国各地に「USS〇〇」と名のつく中古車オークション会場をかまえ、オークション運営を行っています。

また、子会社の「株式会社ラビット・カーネットワーク」では、「ラビット」ブランドで中古車の買取・販売を全国的に展開しています。

ユー・エス・エス ホームページ

中古車業界の現状と課題・今後の展望

国内での競争が過熱

中古車ビジネスは、ランニングコストもさほど高くなく、高度な技術力や設備なども不要であるため、新規参入のハードルが低めです。

このため中古車販売で起業する小さな会社が続々と増えており、国内では業者が乱立している状況です。

さらに最近は、個人同士で中古車売買を行うサービスも増えてきており競合相手となっております。

その一方で「若者の車離れ」なども影響し、国内の中古車の需要は緩やかに減少中です。

そうした需要より供給過多な状況のため、お客さまの争奪競争が過熱しているのが現状です。

購入ではなくカーシェアリングに

「CASE」と呼ばれる自動車の大改革もささやかれる中、今後は車を購入するよりも「シェア」する時代に入っていくといわれています。

それを見越してか、中古車販売最大手の「IDOM」では、スマホアプリを用いた個人のカーシェアリングサービス「GO2GO」の運営を2019年よりスタートしています。

カーシェアリングに限らず、今後は自動車の在り方そのものが変わっていく可能性があります。

そうした中、中古車販売だけに拘らず、臨機応変に変化していく姿勢が中古車業界では重要になってくるでしょう。

業界としての将来性

中古車業界は、90年代の不況を足掛かりとし、この20年の間に大きく成長を遂げました。

しかし、ここにきて大きな壁にぶつかっています。

「若者の車離れ」だけでなく、少子高齢化によりドライバー人口そのものも減少していますので、今後お客さまの母数が減ることは半ば避けられないでしょう。

その突破口として、次のような対策が求められます。

・前述したカーシェアリング事業など、中古車販売以外の事業の確立
・中古車は在庫を抱えると大きなコスト掛かるため、在庫管理を改善しコストを抑える
・海外輸出を強化し、国内市場のみに依存しない経営にシフトする
・車のイメージや中古車のイメージを改善し、少しでも若年層の購入者を増やす など

これまで通りにはいかない時代に入ってきていますので、生き残るための新たな一手が中古車業界の各企業には求められてくるでしょう。

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