病棟クラークと医療事務の違い
病棟クラークと医療事務の仕事内容の違い
病棟クラークは医療関係者の仕事をサポートするために欠かせない大切な職業のひとつですが、同じように病院を陰から支えている職業として「医療事務」があります。
このふたつの職業には、どのような違いや共通点があるのでしょうか。
まず、大きな違いとしては、医療事務の職場は病院の会計窓口であるのがメインであることに対して、病棟クラークの職場は病棟のナースステーションであるということでしょう。
医療事務の場合は、患者さんから診察や薬の代金を受け取ったりレセプトと呼ばれる医療報酬の明細書を作成したりする役割を担っています。
病棟クラークの場合は、入院患者さんのカルテを整理したり退院の際の手続きをしたり、医師や看護師から頼まれた医療器具を用意したりする役割を担っています。
こうした仕事内容からもわかるように、医療事務のほうが一般的な事務職のイメージに近く、病棟クラークは医療現場における秘書やマネージャーのようなサポート業務も行うという大きな違いがあるようです。
20代で正社員への就職・転職
病棟クラークと医療事務になる方法・資格の違い
病棟クラークと医療事務は担当する仕事に違いがありますが、働いている人の経歴や保持している資格には似ている点も多くあります。
病院で働く以上は、やはり医療の制度の知識や診療報酬の知識を持っているほうが有利なのは間違いありません。
そこで、病棟クラークをめざす人も医療事務をめざす人も、まずは医療関係の講座を受けたり通信教育で勉強したりして「医療事務」や「医師事務アシスタント」など医療系の民間資格を取得していることが多いようです。
人によっては、どちらの職業でも働けるように勉強しておき、就職の際にどちらを選ぶか決めています。
病棟クラークと医療事務の資格・必要なスキルの違い
病棟クラークも医療事務も、その仕事をするために必須の資格はありません。
しかし、病棟クラークや医療事務の仕事をする人の多くが取得している資格があります。
病棟クラークとして働くスタッフの多くは、下記のような資格を取得していることが多いようです。
・一般財団法人日本医療教育財団「医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)」
・「医師事務作業補助技能審査試験(ドクターズクラーク)」
・「医療秘書技能検定試験」「メディカル・フロント・コンシェルジュ技能試験」
一方、医療事務の資格は大変多様で、例えば下記ようなものがあります。
・診療報酬請求事務能力認定試験
・医療事務技能審査試験
・医科2級医療事務能力認定試験
・医療事務管理士 技能認定試験
・医療事務能力検定試験
・保険請求事務技能検定試験
・メディカルレセプションクラーク
・医療保険士
・医事管理士
・医療管理秘書士
・医療事務士
・医療秘書技能認定試験
・医療秘書認定試験
・医療保険調剤報酬事務士
・調剤事務管理士技能認定試験
・調剤報酬請求事務専門士検定試験
ただし、医療事務でもメディカルクラークの資格を取得している人もいますし、その逆の人もいます。
実際には、医療とそれに伴う請求・事務作業に関する知識を有し、実践できるだけのスキルがあることが重要となってきます。
20代で正社員への就職・転職
病棟クラークと医療事務の学校・学費の違い
病棟クラークや医療事務の資格を取得するには、スクールや専門学校、あるいは通信講座で学ぶことが一般的です。
多くの施設では「病棟クラークコース」や「医療事務コース」、「医療秘書コース」など、自分の希望に合わせて学ぶことができるようカリキュラムづくりが行われています。
そのため、学校の選択肢や学費面では、あまり大きな違いはありません。
資格を取得するための代表的な学校としては、専門学校や民間のスクールがあります。
専門学校の学費は1年間で70万円~100万円程度が相場となっており、2年制の学校であれば合計で200万円程度かかることが多いでしょう。
民間のスクールでは、半年程度の講座で30万円程度のものが一般的です。
あるいは、通信講座も存在しており、こちらは数万円の費用で資格取得を目指すことができます。
病棟クラークと医療事務の給料・待遇の違い
病棟クラークと医療事務は、病院においてはどちらも「事務系職種」に分類されます。
必要な資格の種類や難易度にも大きな違いはなく、違いの主な部分は実務内容です。
そのため、雇用形態や給与など、待遇面ではあまり大きな違いがないことがほとんどです。
現状では、いずれの職種も派遣社員や契約社員など、正社員以外の雇用が多く、立場としては安定していると言い難い現実もあります。
病院内で比べると、医師や看護師、技師といった専門職に比べ給与も低くなってしまうことがほとんどです。
病棟クラークと医療事務はどっちがおすすめ?
病棟クラークと医療事務は共通する部分も多く、大変近い職種であるということができます。
病棟クラークや医療事務になるための学習や資格も共通しているものが多く、待遇や雇用の状況も似ています。
そのため、職業を選ぶ決め手としては、どのような仕事内容を好むかという点が重要となります。
報酬の計算など細かい管理が得意で、ひとつの仕事をしっかりと突き詰めてやり遂げたいタイプの人であれば、医療事務がおすすめです。
一方、多彩な業務をバランスよくこなしたり、他職種と連携しながら働きたい人には病棟クラークが向いています。
いずれの場合にも、自分の仕事に対し責任をもってやり遂げることが、医療機関で働く上で不可欠な資質です。