バレリーナの年収・給料はいくら? バレエダンサーの収入も詳しく解説

バレリーナは、見た目の華やかさや美しさとは裏腹に、厳しい競争の中で自分を磨き続ける必要があります。

さらに、ステージに出演するためにはさまざまな費用がかかるため、金銭面でも厳しい生活を送っている人は少なくありません。

では、実際のバレリーナやバレエダンサーは、どれくらいの収入を得て、どのように生活しているのでしょうか?

この記事では、バレリーナやバレエダンサーの年収・給料事情について詳しく紹介します。

バレリーナの給料・年収

バレリーナの初任給はどれくらい?

バレリーナの初任給は15万円〜17万円程度といわれています。

しかし、新国立劇場バレエ団やKバレエカンパニーといった日本を代表するバレエ団であっても、固定の初任給は存在せず、毎月安定した額が支払われるわけではありません。

実際には、個人事業主としてバレエ団と契約を結び、出演ごとに報酬を得る「アーティスト契約」がほとんどで、1回の出演料は1.5万円〜5万円前後が相場です。

一方、バレエを一般の人々に教える「バレエ講師」として正社員で働く場合は、月給制で働けることもあります。

バレリーナの福利厚生の特徴は?

バレリーナの福利厚生は整っていない場合が多く、決して恵まれているわけではありません。

海外のバレエ団ではトウシューズとタイツは支給されますが、国内では通常、自費で賄う必要があります。

バレエ団によっては、地方公演の際に日当や移動費が支給されたり、正社員には社保や厚生年金が完備される場合もあるため、事前に福利厚生を確認できると安心でしょう。

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バレリーナの収入源

舞台の出演料

国内のバレエ団に所属する場合、1回の公演出演料は1.5~5万円が平均です。

同じステージでも、当然ソリストなどの主役級であればもちろん高くなりますし、そうでなければ低めに設定されます。

ただし、有名バレエ団でもチケットノルマや消耗品代を考えると、この金額では赤字となってしまうようなこともあり得ます。

プロモーションやCM出演料

企業のプロモーションやCM出演料も、バレリーナやバレエダンサーの収入源となります。

しかしながら、これらの仕事は既に知名度のあるバレリーナやバレエダンサーが選ばれる傾向にあり、誰でも活躍できるわけではありません。

ただし、ダンスシーンの撮影などで多くのバレエダンサーが必要とされる場合は若手でも起用されることがあります。

一度限りのイベントやCMの出演料は数万円~数十万円ですが、年単位で契約される場合には数百万円にのぼることもあります。

スタジオでのバレエレッスン料や指導料

スタジオでのバレエレッスン料や指導料の設定は、所属するスタジオやバレリーナ個人の力量によって大きく変わります。

子ども向けのグループレッスンは、1回につき1,000円程度の低価格でサービスを提供する場合もあります。

一方、コンクールに出場するような高度なレベルの個人レッスンをする場合は、一度のレッスンで数万円が入ってくることもあります。

教育機関や団体などでの指導料

教育機関や団体などで特別指導をする場合、個人レッスンやスタジオでの指導料に比べると低めに設定されることが多いです。

1回の指導やイベントで1万円~数万円、高くても10万円程度となるでしょう。

収入を増やすというよりも、どちらかというとバレエの普及のために行っている人が多いようです。

振付家や演出家としての活動

バレエの世界では、バレエのコンクールやオーディションなど、振付を考えなくてはならない場面があります。

指導する生徒から振付を依頼された場合、1曲1万円~数万円ほどとなり、これがそのまま収入になります。

CMやプロモーションビデオ、子ども向けの動画など、企業やスポンサーが関わるような大きな仕事で振付や演出をする場合は、100万円ほどになることもあります。

バレリーナの給料・年収の特徴

本業のみでの生活は厳しい

バレリーナの給料・年収はバレエ団によっても異なりますが、本業のみでの生活は厳しいのが現状です。

日本のバレリーナは正社員ではなく、公演の出演ごとに報酬が支払われるアーティスト契約という形がとられることが多くなっています。

給料制ではなく、チケットのノルマの半額が給与というケースも多く、チケットが売れなければ赤字になってしまうこともあります。

トウシューズや身体のメンテナンスなどの出費でギリギリの生活になる人も多いでしょう。

そのため生活するのがやっとで、実家暮らしを続けるバレリーナも多いです。

バレエ指導をする人が多い

バレリーナとして生活することは非常に厳しいため、スポーツクラブやバレエ教室などで、講師・インストラクターの仕事をしている人も多くいます。

バレエ団を通して依頼する場合はさらに安くなることもありますが、スポーツクラブで直接契約すると、1クラス5,000円前後の報酬を得ることが可能です。

海外のバレエ団は給料・年収が高め

日本に比べて、海外のバレエ団は給料・年収が高いことが特徴といえます。

海外である程度の規模のバレエ団に就職した場合は、贅沢はできなくても、日本にいる以上の給料で生活していけるだけの年収をもらうことができるでしょう。

有名なバレリーナになって海外のバレエ団で主役を踊れるようになれば、多くの収入を得ることができます。

ただし海外のバレエ団であればどこでも恵まれているわけではなく、海外でも自活していけるだけの給料がもらえないバレエ団もあることに注意が必要です。

出費の多い職業

バレリーナは、ポワントシューズやタイツ、レッスン料、舞台衣装など、公演をこなすためにたくさんのお金がかかる職業です。

毎月何足もポワントシューズを履きつぶすため、その代金を全額または一部支給するバレエ団もありますが、すべてのバレエ団が支給してくれるわけではありません。

また、体のメンテナンスに整体や病院に行くこともありますが、保険がきかない治療となることもあるため、医療費が高額になることがあります。

さらに、公演チケットの販売ノルマが課せられるバレエ団もあるため、練習や踊りに集中したい人にとっては心理的負担となることもあります。

プロとして活躍できる期間が短い

バレリーナの年収を考える上では、生涯年収についても考えなくてはなりません。

バレエの仕事は体に大きな負担がかかるものであり、スポーツ選手などと同様に、他の一般的な職業に比べて働ける期間が短いことが特徴です。

プロのバレリーナになるためには、子どものころから練習を重ねる必要がありますが、多くのバレリーナ・バレエダンサーは、30代になると引退してしまいます。

とくに女性の場合は、体型の変化や、結婚・出産などの理由で30歳前後で引退する人も非常に多く、男性よりも第一線で活躍できる期間が短い傾向にあります。

そのため、プロとして活躍できるのは20~30代前半となるでしょう。

しかし、引退後もバレエ関係の仕事をする人も多いです。

所属するバレエ団の講師や振付師をはじめ、自らバレエ教室を開く人も少なくありません。

たとえ第一線を退いたとしても、バレエの世界には活躍する場がたくさんあります。

バレリーナになるための費用

そもそも、バレリーナやバレエダンサーを目指す場合、非常に多くの費用がかかります。

プロを目指すには、幼少期から有名な講師からレッスンを受ける必要がありますし、ほぼ毎日バレエ漬けとなります。

レッスン料、衣装代、遠征費、留学など多くのお金がかかるため、幼少期から考えるとその費用は「家が一軒建つほど」といわれることもあります。

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バレリーナの勤務先別の給料・年収

有名なバレエ団

舞台に出演するだけで生活していける職業的なバレリーナになるには、日本を代表する有名なバレエ団に所属することが大切でしょう。

日本の有名なバレエ団には、新国立劇場バレエ団、東京バレエ団、松山バレエ団、Kバレエカンパニーなどがあり、それらの出演料は1公演1.5万円〜5万円といわれています。

報酬の計算方法や支払い条件はさまざまですが、公演数が年間50~60公演あると考えると、年間75万円~300万円ほどの収入が得られる計算です。

ただし、こうしたバレエ団に所属するためには、オーディションに合格することが必要で、決して簡単な道ではありません。

バレエ団のなかには、一定のレベル(ソリストなど)によって固定給の支払いがあるところもあります。

規模の小さなバレエ団

ほとんどのバレエ団は、規模が小さかったり、公演活動が商業的に成り立っていない個人のバレエ団となります。

そうしたバレエ団では、舞台出演に対しての報酬が非常に少なかったり、ゼロ円の場合もあるため、舞台で踊る以外のことで収入を得ることが必要です。

発表会の舞台出演

バレリーナは圧倒的に女性が多いため、男性のバレエダンサーは女性の「相手役」として発表会の舞台出演に招かれることもあります。

なかにはバレエ団の舞台出演ではなく、発表会の舞台出演のみで生活している男性ダンサーもいるほどです。

女性のバレリーナは年収200万円〜300万円程度といわれますが、男性ダンサーはイベント出演料や講師料などで、一般的な会社員と同じくらいの年収400万円前後を稼ぐ人もいます。

バレリーナの正社員以外の給料・年収

アルバイト

アルバイトとして働くバレリーナは、バレエ教室で教える講師、もしくは講師アシスタントの募集が多いです。

給料は時給制が基本で、能力・経験・地域などによって時給1,000円〜1,500円ほどの募集が多いようです。

仮に1日2時間・週3日働いたとして、月給は2.4万円〜3.6万円、年収は28.8万円〜43.2万円ほどとなります。

フリーランス

バレリーナはバレエ団とアーティスト契約を結び、個人事業主(フリーランス)として働く場合が多いです。

一般的な求人としては「バレエ講師」としての募集が多く、業務委託として時給3,000円〜5,000円で募集されるケースが目立ちます。

収入は人によって異なりますが、1日2レッスン・週3日担当した場合は月給は7.2万円〜12万円程度、年収86.4万円〜144万円程度です。

また、バレリーナとしてキャリアを積み上げ、引退したあとに舞台監督や振付家などをする人もいます。

独立・開業

バレリーナを引退したあとに、キャリアを生かして自身のバレエスタジオを独立・開業することも可能です。

家賃や人件費などの経費はかかりますが、生徒からもらうレッスン代や自分の給料は、自分で決めることができます。

生徒をしっかりと集めることができれば、現役時代よりも高収入になる可能性はあるでしょう。

女性バレリーナと男性バレエダンサーの年収の違いはある?

一般的に、女性バレリーナと男性バレエダンサーでは、男性バレエダンサーのほうが、女性バレリーナよりも高い年収を得られることが多いです。

その理由として、男性バレエダンサーの需要が高く、競争率が低いことが挙げられます。

バレエ業界の中でもとくに男性ダンサーは少ないため、需要が高いのです。

また、男性のダンサーは、女性に比べるとプロとして働ける期間が長いという特徴もあります。

一方で、女性バレリーナは男性に比べると競争率が高く、体型や年齢によって第一線で活躍できる期間に制限があることからも、給与が低くなりがちです。

ただし、バレエ団に所属するような場合は、給料は男女ではなく力量によってはかられることが多いです。

女性バレリーナでもトップダンサーになれば高額な年収を得ることができる場合もあります。

プリンシパルの年収は?

バレリーナとして1番高い階級は、「プリンシパル」「プリマ」「エトワール」などと呼ばれます。

こうした人たちは高い技術を持ってステージの主役を担当し、年収は約400~700万円ほどとなると考えられます。

次に高い階級は「ソリスト」や「プルミエール・ダンスール」「シュジェ」などと呼ばれます。

ソリストともなると安定した収入を得られるようになり、年収は約300~400万円ほどになるでしょう。

最下層は、群舞を担当する「カドリーユ」「コールド・バレエ」と呼ばれる人たちです。

入団したばかりのダンサーは基本的にまずこの階級に所属し、上の階級を目指していきます。

コールドは100~200万円ほどに留まる人も少なくなく、バレエだけで生活をするのが難しいという人も少なくありません。

バレリーナが収入を上げるためには?

規模の大きなバレエ団に所属する

バレリーナが収入を上げる方法のひとつは、できるだけ規模の大きなバレエ団に所属することです。

多くはアーティスト契約で歩合制となりますが、一定の出演料はリハーサル代の支払いもあるなど、安定した収入を得られる傾向にあります。

また、トゥシューズなどの消耗品代や、地方や海外公演の旅費や宿泊費、交通費などといった必要経費についても負担してくれるところが多いです。

まれですが、正社員として働くことのできるバレエ団もあるため、安定した収入を得たい場合は、どのバレエ団に所属するかをしっかりと考える必要があるでしょう。

海外のバレエ団に所属する

さらに、海外のバレエ団に所属する方法があります。

海外では国立や州立のバレエ団が多く、公務員のような扱いとなる国もあります。この場合、収入は最低でも年収400万円ほどが得られ、日本でバレリーナをするよりもはるかに高水準です。

トップクラスになると年収1000万円に達するのも夢ではなく、イギリスで活躍したバレリーナ、吉田都さんは年収1200万円を超えていたともいわれます。

もちろん海外となると競争がさらに激しく、実力がなければ活躍できませんが、日本よりも高収入で福利厚生が完備された、好待遇な環境でバレエを踊ることが可能です。

バレリーナの給料・年収のまとめ

国内で活躍するバレリーナやバレエダンサーは、正社員として活躍できる場が少ないこともあり、公演活動だけで生活できる人はひと握りだとされています。

所属するバレエ団によっても支給される報酬には差があり、より規模が大きく、有名なバレエ団の方が報酬が高い傾向にあります。

ただし、基本的には実力主義の世界であり、バレリーナやバレエダンサーとしての実力を認められることが、収入を上げていくためには欠かせません。

バレリーナの平均年収は一般的な職業と比較して低めといわれるため、プロとして活躍できる期間の短さや活動における出費の多さを考えると、決して楽な道ではないことを覚悟しておく必要があるでしょう。