バレリーナの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「バレリーナ」とは
クラシックバレエの舞台に出演し、豊かな表現力や踊りのテクニックを披露する。
本来、バレリーナという名称は、クラッシックバレエにおいて、主役またはそれに準じる役を踊ることのできる女性舞踊手であるバレエダンサーの名称です。
しかし、日本国内では一般的にクラッシックバレエの踊り手、またはバレエの舞台に出て踊ることで収入を得て生活している人をバレリーナと呼んでいます。
プロのバレリーナとして活躍するためには、幼いころからバレエをはじめ、先生に師事したり海外に留学したりするなどして実力をつけ、バレエ団に入るという道が一般的です。
オーディションやコンクールで入賞するなどして入団することとなりますが、それまでには厳しいレッスンを続けなければなりません。
また日本でも国立のバレエ団ができましたが、まだ国立のバレエ学校はなく、バレリーナになりたいという人は主に活動の場を海外へと移しています。
日本において、プロのバレリーナとして生活している人はごくわずかで、ほとんどの人はバレエ教室の教師や後輩の指導、舞台のプロデュースなどを行い、生計を立てています。
「バレリーナ」の仕事紹介
バレリーナの仕事内容
舞台でバレエを踊り、観客に感動を与える
クラシックバレエを披露し感動を与える
バレリーナの仕事は、踊ることによって感情や世界観を表現し、作品をつくりあげる仕事です。
日本におけるバレリーナとは、一般的にクラシックバレエの踊り手のことを指します。
バレリーナは常に振付家の意図に沿った表現をしなければならず、身体の美しさや卓越したテクニック、豊かな表現力など、多くのことが求められます。
そのため、バレリーナは、毎日の基礎訓練を怠らず、テクニックと美しい身体を維持しなくてはなりません。
過酷な訓練を乗り越え、周囲から実力が認められた一部の人だけが主役級の役を演じられる厳しい世界です。
バレリーナというと女性のイメージがありますが、もちろん女性だけでなく男性のバレエダンサーも存在し、国内または世界で活躍しています。
バレエ団の中のバレリーナの役割
バレリーナの役割は、バレエ団の組織の中ではっきりと明確化されています。
新人のキャリアがスタートする「コール・ド・バレエ(群舞)」は、舞台では展開する場面に合わせていろいろな役を踊る、いわば「盛り上げ役」です。
バレエ団には大まかには3つの階級があり、コール・ド・バレエの次はソロパートを任される「ソリスト」、トップは主役を任される「プリンシパル」です。
日本国内のバレエ団においては、どの階級においても団内の協調性が重視されており、ソロパートやプリンシパルを担うには実績と信頼が伴わなくてはなりません。
バレリーナになるには
バレエ団に入るにはさまざまな苦労が
バレエ団に所属するには
プロのバレリーナとして活躍するためには、オーディションを受ける、またはコンクールに入賞するなどしてバレエ団に入ることが必要です。
それまでには厳しいレッスンを続けなければなりません。
中高生からバレエ団に入るまでには、多くの人がバレエ団所属のバレエ学校や、個人の主催するバレエ学校、バレエ教室に通って勉強しています。
日本においては、日本にはバレエ教育に対する一貫した基準がなく、バレエに関する教育はまだ発展途上で、体系的にバレエを教えられる人は数少ないといわれています。
バレリーナを目指したい、バレエ団に入りたいという場合は、師事しているバレエの先生やバレエ学校に相談するのが一番の近道でしょう。
もし入りたいバレエ団がある場合は、そのバレエ団付属のバレエ学校か、つながりがある教師のバレエ教室で勉強することが近道となるでしょう。
留学し海外で学ぶ道も
海外のバレエ団で活躍したい場合、または海外に留学してバレエを本格的に学びたい場合は、語学力が必須です。
授業内容を理解するだけでなく。海外のバレエ団に就職した場合、契約や振付家とのやりとりなどに、余裕を持って対応できる語学力が必要となるため、活躍したい国の語学を身につけておきましょう。
イギリスのRADメソッド学校、ロシアのワガノワメソッドなどが留学先として知られており、多くは高校卒業の18歳までに海外に活躍の場をうつしています。
バレリーナの学校・学費
バレエやバレエ団と関連のある学校で学ぶのが一般的
日本国内には国立のバレエ学校なく、バレエを体系的に学べる学校はありません。
そのためバレエ団付属のバレエ学校、個人の主催するバレエ学校、バレエ教室に通って勉強しなくてはなりません。
もし、日本のバレエ団に入りたい場合は、そのバレエ団とつながりがある教師のバレエ教室で勉強することがバレエ団入団の可能性を高めることになります。
海外で踊りたい場合は、行きたい国によって、バレエ学校やバレエ教室を選ぶ必要があります。
バレエはバレエ団や師事する先生によって教え方や得意分野が異なります。
早いうちからどんなバレリーナになりたいのか、どのバレエ団で踊りたいかということを決めておくことがバレリーナになるための大事な一歩です。
バレリーナの資格・試験の難易度
バレエ学校を卒業し「ディプロマ」を取得する
バレリーナに関する資格というものはありませんが、オーディションやコンクールではどのバレエ学校を卒業しているのかが問われることがあります。
海外ではバレエ学校卒業時に卒業証書として「ディプロマ」が授与されます。
成績証明書のようなものであり、海外のバレエ団では契約する際にこれが重要な資料となります。
海外の国立バレエ学校は、日本でいうところの職業訓練校にあたり、税金でバレリーナを養成しています。
実力不足だと強制的に退学となってしまうため、ディプロマは非常にレベルの高いダンサーであることの証拠なのです。
日本のバレエ団ではあまり重要視されませんが、海外のバレエ団で踊りたいという希望があれば、取得しておいた方が有利です。
バレリーナの給料・年収
舞台で踊るだけで生活するのは難しい
アーティスト契約のバレリーナが大半
バレリーナの給料・年収は、バレエ団によって違います。
日本のバレリーナは正社員ではなく、公演の出演ごとに報酬が支払われるアーティスト契約という形がとられることが多くなっています。
新国立劇場バレエ団やKバレエカンパニーなど、日本を代表するバレエ団でも初任給ではなく、アーティスト契約がほとんどで1回の出演料は1.5万円〜5万円前後が相場です。
公演数は年間50〜60公演あるので、年間75万円〜300万円の収入が得られる計算です。
一方で、チケットのノルマの半額が給与というケースも多く、そのためチケットが売れなければ赤字になってしまうようなこともあります。
バレエ団によっては、バレエ団の経営するバレエ学校やバレエ教室で教えることに対して報酬を支払うこともあります。
規模が小さかったり、公演活動が商業的に成り立っていなかったりするところも多いため、舞台で踊る以外のことで収入を得ることが必要です。
バレリーナの以外の仕事
日本でバレリーナとして生活していくことは非常に厳しいため、スポーツクラブやバレエ教室などでバレエを教える講師の仕事をしている人も多くいます。
一般的なバレエ教室の場合、時給1,000円〜1,500円ほどの募集が多く、ほかの職種と特別変わりはありません。
実力があるバレリーナの場合は、業務委託として時給3,000円〜5,000円程度が相場とされています。
またバレリーナとしてキャリアを積み上げてきた人の場合は、舞台監督や振付家などをして収入を得ているケースもあります。
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バレリーナの現状と将来性・今後の見通し
海外へと活躍の場を広げていく場合が多い
バレエは芸術として確立されていて一定数のファンもいることから、バレエが今後もなくなることはあり得ないでしょう。
日本でも国立のバレエ団ができましたが、まだ国立のバレエ学校はなく、バレリーナになりたいという人への道は拓けていません。
また、日本では舞台に出演するだけで生活していける職業的バレリーナは、極めて少ないのが現状です。
日本のバレエ界が大きく変化することは難しいと考え、活動の場を海外へと移す人も少なくありません。
22年間もイギリスのロイヤル・バレエ団で最高位のプリンシパルを務めた吉田都さんをはじめ、多くのバレリーナたちがイギリス、オランダ、ロシア、アメリカなどのバレエ団で主役級の活躍をしています。
バレリーナの就職先・活躍の場
世界のバレエ団に所属して活躍する
バレリーナはバレエ団に所属して活躍します。
バレエ団に入団するには、オーディションを受ける、コンクールで入賞して実力を認められ勧誘を受けるなどの方法があります。
バレエ団に入団すると、ほとんどの人はまずコールド・バレエという群舞を踊ることになります。
確実なテクニックと、ラインや移動の整然とした美しさが求められます。
さらにソリストや主役を踊ることになった場合は、作品に対するより深い理解と卓越したテクニック、そして演技力と情緒性が求められます。
国内の多くのバレエ団では、公演のチケットを売ることや、バレエ教師の助手をしたり、バレエ団の経営するバレエ教室に教師として派遣されたりすることが仕事の一部となる場合もあります。
バレリーナの1日
24時間をバレエに捧げる仕事
バレリーナの1日は午前中は基礎練習のクラスレッスン、午後は夕方まで舞台のリハーサル、夜は舞台がある日は公演、なければバレエ講師としてレッスンをしたり自主練習をする人が多いです。
踊っている時間以外にも食事や服装、身体のメンテナンスに気を使うため、24時間をバレエに捧げる仕事ともいえます。
<バレリーナの1日>
バレリーナのやりがい、楽しさ
舞台上でライトを浴びる魅力
バレリーナのやりがいは、なんといっても舞台の上でライトを浴び踊ることです。
多くの観客に感動を与える喜びのために、日々の苦しい訓練を続けると言っても過言ではありません。
良い作品に出合い、いい仲間と最高の踊りができた時には、どんな苦労も払拭するような喜びを得ることができます。
このやりがいのために、お給料が少なくても、チケットノルマを抱えながらも、自費でレッスン代を支払いながらバレエを続けている人たちがたくさんいるのです。
また、バレリーナとしての経験をいかし、これからバレリーナを目指す子どもや、バレエに親しむ機会がなかった大人にバレエの楽しさを伝えることも、舞台とはまた違った魅力があります。
バレリーナのつらいこと、大変なこと
体調管理と厳しいノルマ
バレリーナの苦労と言えばまず体調管理があげられます。
舞台やリハーサルには絶対に穴をあけられないので、健康な状態を維持することは何よりも大切なことです。
もちろん、舞台に立ち美しい姿を見せなくてはならないため、体重の管理もしなくてはなりません。
そのためには十分な栄養を摂取しながら、体重が増えないようにすることが肝心です。
また日本国内においては、テクニックがあっても、バレエ団から契約更新してもらえなかったり、チケットノルマが厳しく、チケットを売り生計を立てなければならなかったりという苦労もあります。
海外のバレエ団と比べると苦しい状況にあり、日本でバレリーナとして活躍する場合は、苦労や不安が絶えないでしょう。
バレリーナに向いている人・適性
ストイックに努力できる人
バレリーナに向いている性格は、毎日コツコツと練習を続けることのできるストイックな意志を持った人です。
バレエのスキルは小手先で身に付けられるものではなく、幼いころからの地味な基礎練習の反復ができなければ、上達できません。
バレリーナになりたいという人一倍強い意志を持ち、誰よりも努力を重ねるストイックな人でなくてはバレリーナにはなれないでしょう。
また、振り付けから要求されることに対して、柔軟な理解力とそれを表現する為の芸術的センスを持っていることも求められます。
これは、誰もが持っているものではないので、バレリーナを目指すうえで、たくさんの芸術や音楽、本などに触れて自分自身の芸術的なセンスを磨く必要があります。
関連記事バレリーナに向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介
バレリーナ志望動機・目指すきっかけ
志望動機を問われる機会は少ない
バレリーナを目指すきっかけとしては、実際に舞台を見てその様子に憧れたといったものや、幼いころから続けているバレエを仕事にしたいといったものが多いです。
バレリーナを目指すうえで、一般企業に就職する時のように志望動機を聞かれることは多くありません。
コンクールにしろ、バレエ学校に通うにしろ、そこに集まる人たちは明確に「バレリーナになりたい」という目標を持っていますので、改めて問われることが少ないためです。
ただし、自分の中で、どんなバレリーナになりたいのか、どんなバレエを踊りたいのかしっかりと考えておかなくては、踊りに影響が出ることもあります。
たとえ誰かに聞かれることはなくても、しっかりと考えておくことが必要でしょう。
バレリーナの雇用形態・働き方
バレエ団への入団は「就職」ではない
バレリーナは、いわゆる一般企業に勤めるような「就職」という形で働くことは少なく、バレエ団に所属して舞台に立ちます。
バレエ団に所属したからといって、すぐに仕事がもらえるわけではありません。
厳しいレッスンを受け、その中から団内で行われるオーディションなどにより、ステージに立つ人が選ばれるのです。
所属する際も、アーティストのように年単位での契約のことがほとんどで、一般的な企業のように一度所属すれば安定して永久に働けるものではありません。
もちろん、成績が悪かったり、故障があったりした場合は、所属契約を打ち切られ退団させられてしまうこともあります。
そのため多くのバレリーナは、実力をアピールするために毎日必死にレッスンに励んでいるのです。
バレリーナの勤務時間・休日・生活
公演スケジュールに沿った生活
バレリーナは、バレエ団の公演スケジュールに合わせて働きます。
一日の流れは日々変わり、舞台の開始時間にあわせて、リハーサルやレッスン時間などのスケジュールが組まれます。
海外公演や地方公演に参加する場合は、バレエ団の日程に従いツアーに参加し、長い海外公演の場合は数か月にわたることもあります。
もちろん公演がないシーズンオフもあり、その際にはダンサーには休暇が出されます。
その期間に他のバレエ団のオーディションを受けたり、オープンクラスに参加してテクニックの向上を計ったりもします。
時間の都合をつけて、バレエ講師の仕事や助手をしたり、短時間でも雇ってもらえるアルバイトをしたりする人もいます。
バレリーナの求人・就職状況・需要
需要は極めて少なく非常に狭き門
舞台に出演するだけで生活していけるバレリーナは、需要は極めて低いのが現状です。
日本ではバレエの文化がまだ根付いているとは言えず、一般的な舞台に出演する舞台役者や俳優と比べると、活躍の機会も非常に限られています。
国内でチケットノルマがなく、舞台出演によって生活していける可能性があるバレエ団は数カ所しかありません。
バレエ団のほとんどは、舞台出演に対して報酬がゼロであったり非常に少なかったりし、また、チケットノルマを持たされることを知っておきましょう。
バレエ団の求人があった場合も、オーディションの倍率は高く、合格する人数はわずか数名という狭き門のため、バレリーナとして成功するのはごく限られた人のみです。
バレリーナの転職状況・未経験採用
可能性はゼロではないが転職は厳しい
一度は企業に就職したものの、やはりバレリーナになりたいと転職を考える人も少なからずいます。
ただしバレリーナになるためには、レッスンや練習に多くの時間を割かなくてはなりません。
ほかの人よりも多く努力をし、練習を重ねた人だけがバレリーナになれるため、可能性はないわけではありませんが、一度バレエの世界から離れたり、転職でプロのバレリーナを目指したりするのは難しいです。
一方で、バレリーナとして活躍できなくても、趣味としてとしてバレエを続け、経験を積みバレエ講師などで活躍するひとは少なくありません。
またバレエの経験を生かして、ほかのダンスの手法も取り入れながらダンサーとして活躍する人もいます。
バレリーナの体型や足の特徴・体重はどれくらい?
女性の場合は見た目の美しさも重要
バレリーナに要求される体の理想の条件は、腕、脚、首が長いこと、全体的にほっそりしていること、顔が小さいことです。
体重は、「身長マイナス115~120」がひとつの目安とされており、たとえば165cmの人であれば、45kgが理想の目安です。
平均的な体重と比べると非常に軽いように思えますが、体重が重いとリフトする男性の負担になってしまいます。
そのため、見た目の美しさを保つだけではなく体重管理も重要なのです。
一方でローザンヌ国際バレエコンクールでは、ビデオ審査時にBMIの提出が求められており、極度に痩せすぎるバレリーナは審査が通らない場合もあります。
毎日のレッスンをこなしていれば無理に体重を減らす必要はなく、きちんとした生活や食事をとることが大切です。
男性のバレエダンサー・バレリーナとの違いは?
男性の方が女性に比べると優遇され働きやすい
男性もバレエダンサーになることはもちろん可能で、Kバレエの熊川哲也をはじめ、活躍している人が多くいます。
男性の生徒はバレエ人口全体の数パーセントしかいないため、月謝が免除されるなど、男性のバレエダンサーは女性に比べて優遇されることが多いのが現状です。
男子は少ないので幼少期から大切に育てられますし、大人までバレエを続ける男性は数が少ないので希少価値がさらに上がり、男性が必要な発表会やクラスへの仕事依頼がも多いです。
女性のバレリーナよりもプロとして働きやすいのが特徴で、公演の際もチケットノルマも女性より少なかったり、持たされなかったりするといった優遇があります。