別の学部に転部・転科するには? 学部変更の理由で多いものは?

将来の進路に不安を感じたり、興味を持った別の分野に目覚めたりした場合には、別の学部に転部・転科することも選択肢の一つです。

では、転部するにはどのような条件が必要なのでしょうか?

また、転部の理由として多いものは何でしょうか?

この記事では、大学で別の学部に転部・転科するための条件や手続き、転部の理由として多いものについて解説していきます。

転部を考えている人は参考にしてみてください。





別の学部に転部・転科するには?

大学に入学後、1年後、あるいは2年後といったタイミングで別の学部・学科に移る場合、どのような手続きが必要になるか確認しましょう。

まず、転部・転科は誰でも必ずできるわけではないことに注意が必要です。

転部・転科するには、一定の条件が揃っている必要があり、事前によく確認してから手続きを進めることが大切です。

転部・転科とは違う学部や学科に移ること

大学に入学するにあたって、受験の際に自分が勉強する学部や学科を選びますが、実は入学後に違う学部や学科に移ることができます。

これを「転部」「転科」といいます。

例えば、文学部から教育学部に移る場合は、学部が変わるので「転部」です。

これに対して、「転科」は所属している学科を移ることです。

文学部の日本文学科から同じ文学部の英文学科に移るといったケースです。

ただし、転部・転科は誰でも自由にできるわけではありません。

移るためには、以下のようにいくつかの条件をクリアする必要があります。

  • 移る先の学部・学科に必要な単位を取得していること
  • 移る前の学部・学科での成績が一定以上であること

移るタイミングについては、大抵は1年後か2年後が一般的ですが、大学によっては1学期や2学期に移ることもできます。

ただし、転部・転科は簡単にできるわけではありません。

転部や転科をする際にはよく考えて、必要な手続きや条件を確認してから行うようにしましょう。

大学が転部・転科の制度を設けていることが前提

大前提として、通っている大学が転部・転科の制度を設けていなければ、転部・転科することはできません。

現在では多くの大学が転部・転科を認めていますが、移動先の学部・学科に空きがない場合、受け入れできないことがあります。

また入学時の合格基準によって、移動先の学部・学科の合格基準を満たしていない場合、転部・転科ができないこともあります。

一般的に、文系学部から文系学部、理系学部から文系学部への転部・転科は比較的可能ですが、文系学部から理系学部への転部・転科は難しくなる場合が多いです。

申請をして履修状況に問題がなければ転部・転科は可能

大学で転部・転科するには、まず大学事務局に申し出ます。

ただし、転部・転科を受け入れてもらえない場合もあります。

転部・転科には大学ごとに基準があります。

所属している学部・学科で履修状況に問題があった場合、必修科目の単位を落としていたり、必要な単位数が足りなかったりする場合は、認められないケースもあります。

申請が通ると、次に転部・転科のための試験があります。

この試験は、転部・転科後に講義についていけるかどうか、必要な学力があるかどうかを確認するために行われます。

試験に合格すれば、転部・転科ができるようになります。

転部・転科をする際には、まず担当教授や大学事務局などに相談して、必要な手続きを確認しましょう。

取得単位によっては留年となることも

大学では、転部・転科に「進級転部」と「留年転部」の2つの方法があります。

進級転部は、2年まで前の学部・学科で勉強し、3年次から別の学部・学科に移ることです。

留年転部は、2年まで前の学部・学科で学び、別の学部・学科に移動して再び2年から勉強することです。

つまり、実質的に1年留年して転部・転科することになります。

転部・転科するには、取得した単位数と科目によって進級・留年が決まります。

移動先の学部・学科で必修科目となっている科目の単位を取得できていない場合、留年転部・転科となる場合があります。

また、転部・転科前に取得していた教職関係の単位については、転部・転科後に教職単位として認められないことがあるので、注意が必要です。

試験や面接を受ける

一般的には以下のような内容の試験が行われます。

移動先の学部・学科で必修とされる科目についてのテスト
移動先の学部・学科で必修とされる科目について、その科目の理解度を確認するテストが行われます。
必ずしも現在の専門科目と内容が同じであるとは限りません。

英語力テスト
英語が必要な学部・学科に転部・転科する場合、英語力を確認するテストが行われます。
TOEIC、英検などで一定のレベルが求められることもあります。

小論文
専門科目についてや、これから学びたい内容、時事問題などについて出題されます。

面接
転部・転科の理由や希望などについて面接を受けます。

このような試験は、移動先の学部・学科で必要な学力があるかを見極めます。

さらに、転部・転科後も講義についていけるかどうかを確認するための試験です。

試験の種類や内容は、大学によって異なるため、詳細は大学の事務局や担当者に問い合わせるとよいでしょう

転部・転科する場合によくある理由とは?

大学に入って1年、あるいは2年と学んできて、学部・学科を変更したいと考えるのはなぜでしょうか。

転部・転科する理由は人それぞれですが、典型的な例としてよくある理由を3つご紹介します。

興味関心や学びたいことが変化した

転部・転科する理由の中でも多いのが、興味や学びたいことの変化です。

大学で学ぶことは、高校までの勉強とは大きく異なり、専門性が高くなっています。

入学前には学びたいと思っていた学部・学科でも、実際に授業を受けるとイメージと違ったり、興味が湧かなかったりする場合もあります。

また、他の学部の話を聞いたり、教養科目で広い分野の講義を受けると、自分が本当に学びたいことが違う場合もあります。

そんな人たちは、思い切って転部・転科して、自分が興味を持つ内容を学ぶ道を選んだほうがよいでしょう。

将来の進路について考え直した結果

インターンシップや将来の進路を考えたときに、専攻を再検討する人も出てくることがあります。

最近では、就職活動の一環として、インターンシップをする学生が増えています。

早い場合には、大学1年生や2年生から企業や自治体等でインターンシップをする人も少なくありません。

これは、自分が将来就きたい仕事について考えたり、就職活動のことを想定して、学びたいと考える人が増えてきているためです。

このとき自分が将来進みたい進路と、現在学んでいる内容に食い違いがあると考える人が出てきます。

大学入学の時点ですでに将来の進路を決めている人は、基本的に問題ありません。

しかし、大学に入ってから興味のある仕事について考え始めたり、考えなおしたりした人は、専攻そのものを見直すことで将来への道筋をたて直すこともできます。

理転・文転したい

「理系から文系に転部・転科したい」ケースを文転、「文系から理系に転部・転科したい」ケースを理転と呼びます。

もちろん文転・理転も可能ではあります。

たとえば理系の学部に入学したけれども、授業が難しすぎてついていけないと感じた場合や、文系の学部に入学したけれども、自分が本当に興味があるのは理系だった場合などです。

もし新しい分野に興味を持ったけれども、自分が在籍している学部・学科と近い分野であれば、学部・学科を変えずに関連する内容を学ぶことも可能です。

たとえば、経済学を専攻している人が経営に興味を持った場合、経済学の観点から経営について研究することもできます。

しかし、文系と理系のように、分野が全く異なる場合、自分が興味を持っている研究に取り組むことが難しいです。

このような場合は、転部・転科することで取り組みたい研究に携わることができ、充実した大学生活を送ることができるでしょう。

一方で、文転はネガティブなイメージを与える可能性があります。

例えば、「文転した」と就職活動の際に話した場合です。

単に「文系に興味が移った」と考える人もいますが、「理系の授業が難しすぎてついていけないから文系へ移った」と考える人もいるでしょう。

文転・理転を希望する場合は、具体的なエピソードを交え、自分なりの説明ができるようにしておくことが必要です。

試験で志望理由を伝える時には?

大学で転部・転科をする場合、まず自分がどのような分野に興味を持ち、どのようなことを学びたいのかを明確にすることが大切です。

試験等で志望動機を伝える際には、自分がなぜその学部・学科に進みたいのか、どのようなことをしたいのかを明確に伝えることが大切です。

たとえば、現在の学部・学科では自分が学びたい内容に対して不十分だと感じた、別の学部・学科に進んでいる友人や先輩の話を聞いて興味を持った分野があったなどです。

その学部・学科の研究やプロジェクトについて調べた上で、自分が取り組みたいことを具体的に示すとよいでしょう。

また、自分が持つスキルや知識を生かして、その学部・学科で何を成し遂げたいのかを伝えることも重要です。

ただし、志望動機を伝える際には、学問の優劣について言及することはせず、現在の学部・学科についてネガティブな印象を与える表現は避けることが重要です。

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転部・転科するメリットとデメリット

転部・転科とは、同じ大学内での専攻の変更であるため、同じ大学で学生生活を送ることができます。

ただし、学ぶ内容が大きく変わるだけでなく、大学によってはキャンパスが変わる場合があります。

このような変化があることを想定した場合、転部・転科にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを詳しく解説します。

研究対象をリセットできモチベーションが上がる

転部・転科の最大のメリットは、自分が本当に学びたい分野で勉強できること、興味のある研究に取り組めることです。

転部・転科すると、移動先の学部・学科では全く新しい内容を学びます。

とくに大学入学時の専攻に興味を持てないと感じていた人の場合、転部・転科によって研究対象がリセットされ、新たな気持ちで研究に取り組めるようになるでしょう。

同じ大学に通っていながら、全く新しい気持ちで研究に取り組めるのは貴重な経験と言えます。

専攻している学部・学科の研究内容に関心を持てずにいる人にとって、転部・転科はモチベーションを高めるきっかけになります。

友人や教授との関係性など人間関係の変化

大学で転部・転科し、新しく入る学部・学科の授業やゼミに出席すると、交友関係がリセットされます。

これは仕方がないことで、友達も新しく作り直す必要がありますし、担当教授との関係も新たに築いていかなくてはなりません。

転部・転科するとこうした人間関係を構築し直す必要があり、これまでの関係がリセットされることを覚悟しておく必要があります。

一方で、新しい環境で新しい友達や先生と出会えることもあり、新たな出会いによって、新鮮な気持ちで研究に取り組むこともできます。

移動先の学部・学科によっては学費が上がることがある

同じ大学内で転部・転科する場合、基本的には新たに費用が発生することはありません。

改めて入学金を支払う必要はありませんので、必要な費用と言えば転部・転科にあたって行われる試験料程度です。

ただし、移動先の学部・学科によっては、学費が上がる可能性がある点に注意が必要です。

これは転部・転科生だからというわけではなく、そもそも学部・学科によって同じ大学内でも学費に差があるケースが多いからです。

とくに顕著なのは、文系学部から理系学部への転部など、実習・実験がほとんどない学部から実習・実験が多い学部へ転部した場合です。

一例として、中央大学の文学部と理工学部の学費をご紹介します。

<学部による学費の違い(中央大学の例)>

文学部 理工学部
授業料 823,400円 1,175,700円
実験実習費 109,600円
施設設備費 193,600円 267,700円
父母連絡会費 5,000円 5,000円
学友会費 10,000円 10,000円
合計 1,032,000円 1,568,000円

取得単位数が変わることがある

大学の卒業要件単位数は、いずれの学部でも、合計で 124 単位と定められています。

ただし、転部・転科した場合は、これまでに取得した単位数が卒業要件と認められず、実質、卒業のための取得単位数が増えてしまう場合があります。

基本的に年次が低いほど必修科目など汎用的な内容の講義が多く、早い段階からできるだけ多くの単位を取得しておいたほうがよいとされています。

これらが要件として認められない場合、ほかの学生よりもより多くの講義を受けなくてはなりません。

また学部や学科によっては、実習やフィールドワークなどが行われる場合があり、通常の講義に加えてさらにこうした講義を受講しなくてはならない場合もあります。

別の学部に転部・転科するには? の記事のまとめ

転部・転科は、同じ大学に通いながら研究対象を変更することのできる、貴重なチャンスと言えます。

大学入学前と後で授業内容や研究内容にギャップを感じていた人は、転部・転科という選択肢を検討してみるのも1つの方法です。

ただし、転部・転科は単位数や試験など一定の条件をクリアしないと許可されないことも少なくありません。

大学事務局や担当者、教授などと相談した上で、しっかりと検討した上で転部・転科を考えるようにしましょう。

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