高卒認定試験とは? 高卒資格との違いや費用は?
正式には「高等学校卒業程度認定試験」と呼ばれます。
高卒資格は「高等学校卒業資格」のことですが、どちらも「卒業」という言葉が入っているため、違いが分かりにくいところがあります。
高卒認定試験とは何か、高卒資格との違いはどういったところにあるのか、詳しく見ていきましょう。
高卒認定試験とは?概要と仕組み
まず、高卒認定試験とはどのような試験なのか、その概要と仕組みを理解しておきましょう。
高卒資格と言葉は似ていますが、大きく異なる点があるため違いをよく理解しておく必要があります。
高卒認定試験に合格することで可能になることや、反対に高卒認定試験に合格しても高卒資格と同じにならない点について整理しておきます。
高校卒業者と同等の学力があることを証明する試験
高卒認定試験とは、高校を卒業した人と同じ程度の学力があることを証明するための試験です。
高卒認定試験に合格することによって、「高校は卒業していないけれども、卒業した人と同じ学力があります」ということを示すことができるわけです。
注意しておきたいのは、「学力」を証明するものであって、卒業資格そのものを得ることにはならない点です。
つまり、高卒認定試験に合格しただけでは、最終学歴は中卒(高校中退)となります。
高卒認定試験に合格した時点で高卒の扱いにならない点に気をつけておく必要があります。
ただし、履歴書などの学歴欄には「高等学校卒業程度認定試験合格」と記載することできますので、中学卒業以上の学歴を書けないというわけではありません。
高卒認定試験に合格すれば大学を受験することができる
高卒認定試験を受ける人の多くは、大学受験をするための資格を得ることを目的としています。
高校卒業と同等程度の学力が身についていることを証明できるため、高校卒業者と同じように大学に出願し、受験することができるのです。
高卒認定試験そのものは16歳以上で受験することができますが、合格の効力が発生するのは18歳になってからですので、16歳や17歳で合格してもその時点で大学を受験することはできません。
受験に年齢の上限はありませんので、20代で合格する人もいれば、60代以上で合格する人もいます。
高卒認定試験に合格後、大学に合格して卒業すれば、最終学歴は「大卒」です。
高卒認定試験を受けて大学に進学したこと自体がハンデとなったりすることはなく、高校を卒業して大学へ進学した人と全く同じ扱いになります。
高校を卒業したことにはならない点に注意
高卒認定試験に合格しても、高校卒業資格を得たことにはなりません。
高卒認定試験に合格後、どこにも進学しなければ最終学歴は中卒(高校中退)のままです。
また、高卒認定試験に合格したのち大学に合格して進学した場合も、その大学を中退してしまったら、最終学歴は中卒(高校中退)となります。
高卒認定試験は、あくまでも「学力」を証明するものであって、卒業資格そのものを付与されるものではありません。
この点が高卒資格との大きな違いとなりますので、しっかりと理解しておきましょう。
《高卒認定試験と高卒資格の最終学歴の違い》
合格/卒業時点 | 進学後に中退した場合 | 大学を卒業した場合 | |
高卒認定試験合格 | 中卒(高校中退) | 中卒(高校中退) | 大卒 |
高卒資格 | 高卒 | 高卒 | 大卒 |
高卒認定試験を受けたほうがいい人とは?
事情で高校に行けなかった人や、高校を中退した人にとって、高卒認定試験は進学するための資格を得られる貴重な機会と言えます。
では、高卒認定試験を受けたほうがいいのは、どのような人なのでしょうか。
大きく3つのパターンに分けて、高卒認定試験をおすすめできるケースをご紹介します。
高校を中退したものの大学を受験したい人
何らかの事情で高校を中退した人が大学を受験する場合、高校を卒業した人と同程度の資格を得ておく必要があります。
大学に出願するために必要な資格が「高校卒業または卒業見込みの者」となっているからです。
高卒認定試験に合格していれば、高校卒業者と同等の学力があることを証明できますので、大学に出願して受験することが可能になります。
この場合、受験に際して高校卒業者との区別は一切なく、同じ条件で受験することができます。
もちろん、大学に進学した後も、高校を卒業して大学に進学した人と何も違いはありません。
高校を中退したものの、大学に進学したい人にとって、中退というハンデを挽回できるチャンスと言えるでしょう。
高校に通うことなく高卒認定を受けたい人
高卒資格は通信講座などで取ることもできますが、高校に一度も通わずに取れるとは限りません。
たいてい、月に数回はスクーリングが必要になり、高校に出向く必要があります。
人によっては、改めて高校に通うことに抵抗を感じる場合もあるでしょう。
また、現在すでに働いている場合など、高校に通う時間が取れない人にとって、高卒資格を取得するのはハードルが高いケースがあるかもしれません。
その点、高卒認定試験を受けるのであれば、高校には「一度も」行く必要がありません。
試験にさえ合格できれば、高卒認定を受けることができます。
働きながら高卒認定を受けたい人
働きながら高卒認定を受けたい人にも、高卒認定試験は合理的な選択肢と言えます。
高卒認定試験は8月と11月の年2回実施されます。
受験科目は8〜10科目と決して少なくないのですが、受験するのは1科目から可能ですので、働きながら時間を見つけて勉強し、数科目ずつに分けて合格を目指すことも可能です。
高卒資格を得るために全日制の高校に通い直すとなると、いったん仕事を辞めたり休職したりしなくてはならないこともあるはずです。
高卒認定試験であれば試験に合格した時点から大学の受験資格を手にできますので、高卒資格を得るのと比べるとスピーディに大学受験を目指すことができるのです。
20代で正社員への就職・転職
高卒認定の費用と難易度
高卒認定試験合格を目指すにあたって、気になるのは受験にかかる費用と難易度でしょう。
結論から言えば、高卒認定試験の受験そのものは高卒資格を得るのと比べると費用面でも抑えることができます。
難易度の面についても、高校で学ぶ内容を全て網羅的に習得しなくてはならないわけではありません。
具体的な必要と難易度について確認しておきましょう。
高卒認定の費用と科目数
高卒認定試験の受験料は、科目数によって3つに分かれています。
《高卒認定試験の受験料》
3科目以下 | 4,500円 |
4〜6科目 | 6,500円 |
7〜9科目 | 8,500円 |
試験のタイプが異なるため単純に比較できませんが、たとえばセンター試験の受験料は2科目以下でも12,000円であることを考えると、高卒認定試験は受験料が抑えられることが分かります。
受験料は現金で支払うのではなく、受験を申し込む際の書類に収入印紙を貼付して納めます。
高卒認定の難易度の目安
高卒認定試験の合格率は30〜40%となっていることから、試験内容が難しいのでは?と思うかもしれません。
実際には、働きながら合格を目指す人も多く、勉強時間を十分に確保するのが難しい状況の人も少なくないため、合格率があまり高くならないのです。
高卒認定試験は高校を中退した人や高校に通わなかった人を想定して試験問題が作られていることから、問題の難易度としては中学〜高校1年レベルとなっています。
そのため、高校3年間の内容を網羅的に学ぶのではなく、基礎的なことをしっかりと習得しておくことが求められます。
合格点は100点満点中40点ほどになることが多いため、全問正解できなくてはいけないわけでもありません。
試験の難易度としてはそれほど高くないので、地道に勉強すれば合格できる試験と言えるでしょう。
この記事のまとめ
高卒認定試験は、高校を中退した人や高校に通えなかった人にとって、大学進学への門戸を開いてくれる貴重な機会と言えます。
実際に高校に通う必要がなく、試験に合格すれば大学への出願資格を得られるので、働きながら勉強したい人にも人気のある試験です。
進学への夢をあきらめたくない人は、高卒認定試験への挑戦を検討してみてはいかがでしょうか。
30秒でわかる!転職サービス診断
-
20代・第二新卒・既卒の転職支援サービス:Re就活エージェント(PR)
-
未経験OK! IT・Web業界に特化:マイナビITエージェント(PR)