薬学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
薬学の概要・理念
私たち現代人は、さまざまな場面で薬の恩恵を受けています。
病気の進行を抑えたり治療したりするためだけでなく、健康維持や栄養補助といった目的で薬剤が用いられることもあります。
また、広い意味での薬剤としては、服薬するもの以外にも、消毒薬や殺菌剤といったものも含まれます。
薬学は、こういった薬剤全般に関する研究・開発を行い、より安全で効果の高い薬剤を開発することを目指す学問です。
そのためには、薬剤の基礎的な知識が求められるだけでなく、薬剤の効果が表れる人体の仕組みや機能についても知っておく必要があります。
こうした膨大な知識を吸収する必要があることから、薬学で学ぶべき領域は非常に幅広く、覚えなくてはならないことも相当な量となります。
薬剤は日々研究が重ねられ、新薬の開発や認可も毎年のように行われていますので、情報が常に更新されていくのも大きな特徴です。
薬剤に関する知識を習得しつつ、新たな動向についても学び続けていくことが求められる学問と言えます。
薬学で学ぶこと
薬学には、大きく分けて「基礎薬学」と「応用薬学」の2つの領域があります。
基礎薬学では、有機化学や無機化学、物理化学、高分子化学といった化学系の知識を習得し、薬学の専門領域を学ぶための土台づくりをしていきます。
応用薬学では、医薬品を開発するために必要な知識・技能や、薬剤を医療現場で適切に使っていくための知識について研究します。
実習や実験も数多く実施されるため、ときには研究室にこもって実験をやり切ることが求められるなど、根気や忍耐が必要な場面もあります。
また、薬剤師になるには患者に薬の飲み方を伝える必要があるため、一般の患者への伝え方についても学ぶ必要があります。
こうして得た知識や技能が、薬剤師として求められる能力を形成していくのです。
20代で正社員への就職・転職
薬学の大学での授業科目の例
医薬品化学
創薬化学、メディシナルケミストリーとも呼ばれ、医薬品の創製について研究する学問です。
医療薬学
医療現場における薬剤の使われ方や質の向上について研究し、医療の質の向上に寄与することを目指します。
衛生薬学
医療現場において薬剤師が知っておくべき公衆衛生に関する知識を学び、薬剤についての総合的な知識の向上に役立てます。
生物薬学
微生物をはじめとする自然界の生物を、ワクチンや治療薬として活用する方法について研究します。
薬事法規
薬剤に関連する法律や判例について学び、医療現場で薬剤を適切に用いるための知識を身につけます。
薬学のレポート・テーマの例
薬学のレポートは、知識の整理という意味合いと、実習・実験の報告という意味合いの2つのパターンがあります。
実習・実験では、仮説を立てた通りの結果がなかなか得られず、何度もやり直しをしなくてはならないこともあります。
そのため、1つのレポートを仕上げるまでに数週間から数か月単位の期間を要することもあり得ます。
- ・ビタミンD誘導体の医薬品としての可能性
- ・シアン化合物の簡易検査法について
- ・ヒトアルブミンの薬物結合部位
- ・副作用と疾患感受性
- ・カフェインによる健康被害
薬学と関連する学問
薬剤は化学物質を組み合わせて精製されていますので、化学に関する知識は必須です。
また、薬剤は医療現場で使われるため、医学・歯学・看護学といった医療関連の学問分野とは密接な関係があります。
実際の医療現場においては、薬の効用に頼って治療を進めるよりも、患者の自然治癒力や全身の健康も考慮に入れて薬剤の投与を判断する必要があります。
そのため、医師と薬剤師の連携や相互理解は必須のものであり、患者にとってより良い医療を提供するためにも医療分野における幅広い知識を習得しておく必要があります。
薬学を学んで就職に有利な業界・仕事
薬学を学ぶ人のほとんどは、国家資格である薬剤師免許を取得して薬剤師になることを目標にしています。
そのため、薬学を修了したのちに薬剤師免許を取得し、病院や薬局で調剤業務に就くケースが大半です。
また、新薬の開発のための治験に際し、治験の内容説明や被験者のサポートを行う治験コーディネーターという仕事もあります。
薬剤師は不足する傾向が続いているため、薬剤師の資格を持っていれば就職先がないということはほぼ考えられません。
ただし、同じ薬剤師として働いていても、就業先の病院や薬局によって待遇は異なりますので、待遇の良い職場は競争率が高くなる傾向があります。
薬剤師として活躍できるのは、病院などの医療機関だけではありません。
薬剤師の資格を活かして民間企業で働く場合、食品会社や化粧品会社での商品開発で知識を活かせる場合があります。
このほか、厚生労働省や衛生試験所といった機関で公務員として働く場合にも、薬剤師の資格を持っていることで有利になる場合があります。
薬学の知識は人生でどう役立つ?
近年ではジェネリック薬品が広く使われるようになったこともあり、薬剤を扱う上で求められる知識量はますます多くなっています。
こうした膨大な情報量を適切に管理し、判断する上で、AI(人工知能)が薬剤師の役割を代替するようになるのではないか、と言われることがあります。
しかし、患者とコミュニケーションを図り、安心して薬を利用していくためには、人間の薬剤師がていねいに説明し、患者の要望や不安な点を解消していくことが求められます。
今後もこうした薬剤師の役割は変わることなく、社会から必要とされ続けていくことになるでしょう。
超高齢化社会に突入しようとしている今、薬学の知識はよりいっそう必要とされていくはずです。
30秒でわかる!転職サービス診断
-
20代・第二新卒・既卒の転職支援サービス:Re就活エージェント(PR)
-
未経験OK! IT・Web業界に特化:マイナビITエージェント(PR)