地学とは? 大学で学ぶことや就職先は?





地学の概要・理念

地学化学・物理・生物と並んで高校の理科でも選択可能な科目ですが、大学ではより専門的に対象を絞った研究が行われます。

具体的には地質学や鉱物学、古生物学、自然地理学といった分野の研究を行います。

大学によっては、さらに幅広い範囲の研究を行うという意味を込めて「地球科学」と呼んでいることもありますが、研究内容が地学と重なる部分も多く、学問としてはほぼ同義と考えていいでしょう。

近年では宇宙開発が進んでいることもあり、地球の歴史や惑星としての構造を研究するにあたって、他の惑星の成り立ちや特徴を参考にすることもめずらしくなくなっています。

地学が研究対象とするのは岩石や鉱物、さらには地殻変動やその年代といった地球規模の事柄です。

そのため、研究を進めるにあたって参考とするべき地層や岩石が海外にあれば、必要に応じて海外で実習や観察が行われることもあります。

誕生から46億年と言われる地球ですが、まだまだ分かっていないことが多く残されています。

地学ではこうした未解明の事柄を明らかにすることを目指すとともに、気候変動や異常気象など現代における諸問題にも取り組む、ダイナミックな規模の学問といえます。

地学で学ぶこと

地学を深く探究していくには、地球の歴史を知る必要があります。

生物学や化学、物理学の知識がそれらの解明に役立つことも少なくありませんので、1年次にはこうした学問も地学の基礎と並行して学んでいきます。

その後、地学の研究に必要な調査や測量技術といった実践的な技能についても実習を通じて学んでいき、徐々に専門的な分野の研究へと移ります。

地学で研究されている事柄は、現在までの地球で起きてきた膨大な量の歴史の蓄積だけではありません。

遠い将来に起こり得る自然現象を予測し、災害予測や温暖化対策などに役立つ知見を得るのも地学の重要な役割となっています。

このように、地学では「地球そのものを科学的に探求・解明する」ための手法について学んでいきます。

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地学の大学での授業科目の例

鉱物・結晶学

天然および人工の結晶について研究し、地球の歴史や物質の性質について学びます。

地質学

地質や地盤について研究し、生物起源の土壌を除く地層や岩石について探求します。

岩石・火山学

火山活動や火山由来の岩石について研究し、地質学的・地球物理学的現象の解明に役立てます。

気象学

地球の大気で起こる諸現象や流体現象について研究し、長期的な傾向を把握することで災害の対策などに役立てます。

太陽地球系科学

太陽系の惑星の1つとしての地球という観点から、地球の歴史や惑星としての性質を解明することを目指します。

地学のレポート・テーマの例

地学の研究対象は地球上のあらゆる地域に及んでいることから、地震や津波といった特定の現象に着目してモデリングやシミュレーションを行ったり、ある地域における岩石や火山などの調査を通じて判明した科学的事実について論じたりと、レポートテーマも多岐にわたっています。

実習や現地調査の経過や結果を報告する場合もありますので、レポート作成にあたって国内外にフィールドワークを行うこともあり得ます。

  • ・地震の破壊モデリング
  • ・津波氾濫シミュレーションと合成地形モデルについて
  • ・東アジアの異常気象に関する考察
  • ・桜島火山大正溶岩の集合斑晶について
  • ・隕石など地球外物質と太陽系の起源

地学と関連する学問

鉱物などを分析するにあたって、化学反応の結果から性質を見極めることがありますので、化学の知識は必須となります。

地震や火山活動による地殻変動、高圧下での物理現象を解明するには、物理学の知識が欠かせません。

地質の性質を考える上で、その時代を生きた生物に関する知識が求められますので、生物学の基礎を習得しておくことも重要になります。

また、地学では陸地だけでなく海底も含めた地殻を扱うことから、海洋学や海洋生物学といった海洋に関する学問の知見が必要になることもあります。

地学を学んで就職に有利な業界・仕事

地学の知識を活かすことで就職が有利になると考えられる業界としては、石油開発関連や地質コンサルタント、ボーリング関連の企業などが挙げられます。

土木建設業界においても、地質に関する専門知識を持つ人材が技術者として必要とされていることから、地学で得た知見を応用して活躍することができるでしょう。

大規模な都市開発や災害対策といったスケールの大きな仕事では、公務員の道に進んだ場合に活かせる場面があります。

たとえば気象庁や環境省での仕事において、気象学や災害予測に関する深い知識を持つ人材であれば活躍の場も広がります。

そのほか、地方公共団体においても公害研究などの環境関連職、都市開発に関わる土木関連職に就き、専門性を活かして活躍する道があります。

地学は他の理学系の学問と比べると専門性が活かせる分野が限られているといわれることがありますが、実際には地学の知見を活かして活躍できるフィールドは多方面にわたっています。

地学の知識は人生でどう役立つ?

私たちが地球上で暮らしていく限り、地質や地盤に関する諸問題、あるいは自然災害など気象に関する課題は必ずついて回ります。

近年では世界各地で異常気象と言われる現象が確認されるなど、地球環境が変化していることは研究者の間でも高い関心が寄せられているところです。

しかしながら、宇宙規模の非常に長い目で見たとき、地球が今後どうなっていくのか、現在起きている自然災害が今後悪化するものなのかどうか、今のところ明らかになっていないことも数多く残されています。

重要な情報を見過ごすことなく収集し、適切な判断をしていく上でも、とくに災害時においては地学に関する専門知識が役立つ場面があるはずです。

環境対策や持続可能な社会について考える際にも、地学の知識に立脚した長期的な視点から物事を捉えられる点は、他の学問では得がたい大きなメリットといえるでしょう。

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