言語学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
言語学の概要・理念
言語学は人間が用いる言語そのものを研究する学問です。
世界には何千という言語が存在すると言われ、中にはごく限られた部族の間で使われているものや、すでに消滅してしまったものもあります。
それぞれの言語が独自の発展を遂げており、互いに類似点を持つ場合があることも知られています。
言語はそれを用いる人々が属する社会や文化の影響を強く受けて生き物のように変化していくことから、同じ言語であっても過去と現在では用法が異なる場合もあります。
言語学は文法など言語の構成をはじめ、音声や音韻といった各要素を分析していくだけでなく、言語と社会・文化との関わりについて探求していく奥深い学問です。
近年ではコンピュータ言語のように機械と人間との間を取り持つ言語も登場しており、こうした分野が研究対象となる場合もあります。
人間と動物の大きな違いは言葉を用いて意思疎通を図ることができる点にあります。
言語学は、人間だけが用いる言葉の本質に迫り、解明を試みる学問なのです。
言語学で学ぶこと
世界には数多くの言語が存在していますので、地域別に主な研究対象とする言語圏を専攻するのが一般的です。
どの言語圏を専攻した場合も、まずは対象とする言語の基本的な文法や発音に対して理解を深める必要がありますので、1年次には概論として言語の基本を学びます。
これを並行して、言語史や社会言語学といった言語にまつわる関連事項を学んでいき、さらに研究を進めていきたい専門分野を決めていくことになります。
研究の過程では、対象とする言語で書かれた文学作品を実例として挙げる必要がある場合もありますので、英米文学やドイツ文学など、文学分野の知識を習得することもあります。
近年ではコンピュータ言語に重きを置き、情報処理科目を必修としている大学も出てきています。
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言語学の大学での授業科目の例
構文論
各言語における文構造の特徴や文法のルールについて研究します。
音韻論
言語を音声の側面から研究し、発音の特徴や音の連なり、文字との関わりについて分析します。
意味論
言語によって指し示す対象と名称の概念が異なるケースがあるなど、言語が表す意味との関連性について探求します。
言語史
古代から現代に至るまで、言語がたどってきた変遷の歴史や、言語研究そのものの歴史について学びます。
コンピュータ言語
人間と機械をつなぐ言語の仕組みや自然言語を機械に理解させるための処理方法、自動翻訳の手法などについて研究します。
言語学のレポート・テーマの例
言語学の研究領域は幅広く、言葉について探求するのであればあらゆることが研究対象となると言っても過言ではありません。
私たちが日常用いる言葉とはやや異なる報道記事の表現や、地域ごとに特有の方言など、さまざまな切り口で研究を進めることが可能です。
- 報道記事における情報提示の日英語比較
- 現代日本語におけるやわらげ表現について
- 福岡市方言における「来る」「行く」の選択について
- タガログ語における接辞PAGを伴う動詞語根の名詞化に関する諸現象
- オノマトペと継続動詞の共起
言語学と関連する学問
言語はそれを用いる人間に大きく影響を受けますので、人間の心理や考えを扱う学問は関連性が高いことが少なくありません。
心理学は、言語の変遷や微妙な気持ちの変化を扱う上で重要な視点となることがあります。
比較言語学や比較文化学は、異なる地域の言語を比較して研究する場合に似たアプローチを用いることがある学問です。
具体的な調査結果に基づいてエビデンスを示すとき、統計学の手法が用いられることもあります。
このように、言語学の研究過程においては隣接する数多くの学問と研究領域が重なることもめずらしくありません。
言語学を学んで就職に有利な業界・仕事
言語研究を通じて得たスキルや知識を活かすのであれば、出版社での辞書編集などが有力な就職先でしょう。
それ以外にも、運輸や観光、商社といった語学力や異文化理解、コミュニケーション能力が求められる業界においては、言語学を学んできたことを通じて得た経験が評価される場合があります。
語学力という点においては、外資系企業や海外拠点を持つ日系企業で能力を必要とされる場合もありますので、言語学を学んだ経験は広い意味においては生かせる場面が多いと言えるでしょう。
大学によってはフィールドワークを実施し現地調査を行うケースもありますので、実地での対応能力や地道に目標達成に向けて努力した経験を評価されることもあります。
また、コンピュータ言語など情報処理系の領域を専攻した場合、ITエンジニアやITコンサルタントといった道も考えられます。
人が生きる上で言葉は欠かせないものですので、言語について深く考察し探求した時期を過ごした経験は、あらゆる業界・職種での仕事に活かせるはずです。
言語学の知識は人生でどう役立つ?
大学で第二外国語を学んだことによって、第一外国語である英語への理解がより深まったと感じる人は多いようです。
比較対象があることで、すでに学んだ言語や母国語への理解が深まったり、表現がいっそう豊かになったりする相乗効果がもたらされることはよく知られています。
言語学では、日本語の構造や音について客観的に分析したり、他の言語との比較を試みたりする機会が豊富にあります。
比較対象を得たことで、日本語による日常会話での語彙や言い回しがさらに豊かになっていくことは十分に考えられます。
こうしてより厚みを増したコミュニケーションスキルは、これからの人生を送る上で人との円滑な人間関係を築いていくことに大いに役立っていくことでしょう。
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