電機・重電業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





電機・重電業界とは

電機・重電業界とは、大型の電気設備や機械を開発製造する業界を指します。

重電と電機メーカーの区分けは、発電プラントや発電機といった大型の設備を手がけているかいないかで分けるのが一般的です。

電機メーカーの代表的な企業はパナソニックやシャープなどが挙げられます。

電機メーカーの多くはテレビや冷蔵庫、洗濯機といったお馴染みの製品から、美容電化製品や乾電池なども開発しており、家電に強みを持つ企業特性があります。

対して重電メーカーは、家電も手がける一方、発電プラントの開発・製造や工業・商業施設で使われるような設備の開発・製造割合が高いのが特徴といえます。

重電メーカーの代表的な企業は日立製作所や三菱電機、東芝が挙げられます。

電機・重電業界は長らく日本経済のみならず「モノづくり」を支えてきた存在です。

世界的不況などの影響により業績は悪化したとはいえ、これからも中心的な存在であり続けるのは間違いない業界といえます。

電機・重電業界の役割

電機・重電業界は日本の産業をけん引してきた存在です。

それは経済面でも、モノづくりの面でも同じことがいえるでしょう。

業界の規模が大きく、電機・重電メーカーが業績不振になると、就業している人だけでなく、地域や関連・協力会社にまで影響を与えます。

そのため日本経済を支える役割を担っているといっても過言ではないでしょう。

また、社会や人の役に立つモノづくりをしている業界特性があるため、製品の供給が滞ると生活に支障をきたすケースも考えられます。

特に重電メーカーは発電所や発電機、工業設備の開発・製造をしているため、何かあった際は国内のインフラに重大な影響を与えかねません。

そうした意味でも電機・重電業界の社会的役割や責任は大きいといえます。

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電機・重電業界の企業の種類とビジネスモデル

発電設備に強み

重電メーカーの中でも発電設備に強みを持ち事業展開をしている企業です。

代表的な企業は日立製作所や東芝です。

日立製作所の場合、原子力や水力といったこれまでのエネルギー分野に加え、風力や太陽光などの新エネルギー分野にも事業を展開しています。

発電プラントの製造といった直接的な関わりはもちろん、事業者向けに発電ソリューション事業も展開しています。

エネルギーの創出が求められる昨今において、日立製作所をはじめ発電設備に強みを持つ重電メーカーの役割は増していくと考えられます。

送電・配電設備に強み

重電メーカーの中でも送電・配電設備に力を入れ事業展開をしている企業です。

代表的な企業は三菱電機や明電舎です。

特に三菱電機は発電から送電、配電までトータル的なシステム供給に強みを持っているといわれ、先進的な製品も数多く開発しており、今後も業界をリードするような製品開発に力を入れていくでしょう。

また海外展開、特にアジアへの受配電システムの供給を視野に市場拡大を行っていくと考えられます。

家電製品に強み

電機・重電メーカーの中でも家電の開発・製造に力を入れている企業です。

代表的な企業はパナソニックです。

日立製作所、東芝、三菱電機といった重電3社も家電を手がけていますが、主力分野ではありません。

一方、パナソニックは家電の開発・製造が主力で会社を支えている分野です。

一般的な電化製品を数多く展開しているため馴染みのあるメーカーといえます。

暮らしを便利にするだけでなく、新しい価値観を見出す開発にも力を入れています。

電機・重電業界の職種

研究・設計開発

研究・設計開発職は、素材の研究や革新的な製品開発などを行う職種です。

電機・重電業界において、新しい技術や新素材の開発は業績のみならず、業界全体へも大きな影響を及ぼすため、研究・設計開発職は企業でも重要な役割を持っているといえます。

難しい問題も数多く発生することが考えられ、チャレンジする姿勢が問われる職種です。

メーカーによっては海外に研究所の拠点を置いている場合もあり、グローバルな視点で活躍したい方にも魅力的な仕事といえます。

資材調達

資材調達は、製品や施設の開発・製造に必要な資材を調達する職種です。

メーカーによりますが、基板の部品から発電プラント資材まで幅広い対応が求められるでしょう。

調達先は国内にとどまらず、海外の取引先も数多くあるため世界を相手にビジネス展開できる職種ともいえます。

調達するだけでなく、いかに効率的に製品を仕上げられるかなどコスト面を考慮した資材調達力も求められます。

生産管理

生産管理職は、計画に沿った生産管理を行い製品供給に責任を持つ職種です。

生産工程は開発部門や営業部門とのやりとりも多く、製品を供給するために重要なフェーズです。

生産が遅れれば多方面に多大な迷惑をかけるため、計画に基づいた進捗管理や先を見据えた調整力が重要になってくるでしょう。

システムエンジニア

システムエンジニアは製品に搭載するシステムを設計・開発する職種です。

一つの機器に搭載するシステムの場合もあれば、ビルソリューションやプラント全体に関わるシステム開発などさまざまです。

クライアントが使いやすいだけでなく、安全・安定した運用を実現するシステムになるかを設計するため多くの人と関わることでしょう。

社内外の要望に応えるための開発もあれば、これまでの経験を活かし、新しいシステムを創出できる可能性もあります。

企画・営業

企画・営業は自社の製品とクライアントを結びつける職種です。

部門によって扱う製品は違いますが、発電機単体から工場やビルのソリューション提案まで幅広い職務を担います。

世の中のニーズを読み取り、自社の製品をいかに活かせるかなどの俯瞰的な視点と考察力が必要になるでしょう。

自社の利益を追求するのはもちろんですが、クライアントが抱える悩みを一緒に解決する姿勢も大事です。

そうした姿勢は結果的に自社ブランド向上にも役立てる職種といえます。

電機・重電業界のやりがい・魅力

電機・重電業界で働く魅力はモノづくりで社会に役立てることです。

モノづくりに携われる分野はさまざまありますが、電機・重電業界の場合、発電や送電、配電など生活に欠かせない社会インフラに大きく携わります。

自分の行った研究、自分が生産に携わった製品、自分が提案したソリューションなど、仕事を通して人の役に立てている実感を持てるでしょう。

そのやりがいは先に紹介した、研究・設計開発、システムエンジニア、資材調達など、どの職種にも共通していることです。

電機・重電業界の特徴として、非常に多くの職種で業務に取り組んでいる点が挙げられます。

そのため一つの職種にこだわったキャリアアップ、経験を活かしたキャリアチェンジなど、同じ企業内に在籍しながら、さまざまな可能性があるのも魅力といえるでしょう。

待遇面でも電機・重電業界の魅力は衰えていないといえます。

長く日本経済に中心的な役割を担ってきた業界ですし、業績の伸びは停滞しているとはいえ、将来的にも間違いなく中心であり続けるでしょう。

給与面での待遇も全体的に見れば高く、ブランド力が高い企業も数多く存在しているため、就職先としての魅力も高いです。

電機・重電業界は今後、さらなる海外展開が見込まれており、グローバルな環境で働きたい方にも魅力の業界です。

研究施設や製造工場の拠点が海外にある企業も多く、そうした企業で働けば赴任や出張の機会も多くあるでしょう。

電機・重電業界の雰囲気

電機・重電業界の仕事は一人で案件を完結させるのは少なく、基本的に多くの人と関わる職種が多いでしょう。

研究職でも研究しているだけではなく、製品に取り組む方法や改善点を生産職や営業職の人と協議し合うケースもあり、コミュニケーション力や協調性も大事になってきます。

業界の特性として技術系の職種が多いため、働いている社員はどうしても男性比率が高く、企業によっては男性社員の比率が8割を超えているケースもあります。

しかし近年は多様な働き方の促進が進んでおり、ダイバーシティに取り組む企業も増えているようです。

日立製作所を例にすると、女性のキャリアアップを促進する計画や、ワークライフバランスのとれた働き方を促進する計画が実行されています。

今後はより多様な人材が活躍できるフィールドも増えてくると考えられます。

電機・重電業界に就職するには

就職の状況

電機・重電業界は業績の伸びは鈍化していますが、日本経済やモノづくり大国を支える業界であるのは揺るぎありません。

比較的安定した業界ともいえるので、就職先としていまだ人気の高い業界といえます。

職種も多いため、理系・文系を問わずチャンスがあるのも人気の理由と考えられますが、特に技術系を目指す学生にとっては魅力的な職種が多いでしょう。

電機・重電業界の研究職の場合、自分の携わった研究や開発によって世の中の仕組みを変える可能性を秘めています。

それだけ生活に密着した業種であり、やりがいにもつながりやすいです。

営業などの事務系にも同じことがいえ、自分が扱う製品やシステムを使うことで多くの人たちが便利に暮らしたり、仕事を効率化できたりする手伝いはモチベーションアップにも直結するでしょう。

就職に有利な学歴・大学学部

電機・重電業界は業務が多岐にわたり職種も多いため、志望する職種によって有利な学歴は変わってきます。

当然ながら技術系の職種は理系が有利といえます。

特に研究・開発やシステムエンジニアといった職種は電気工学や情報通信などを専攻した人、大学院で研究を行っていた人は有利といえるでしょう。

しかし必ずしも理系である必要はなく、事務系であれば全学部の学生が選考対象になります。

職種によりどうしても学部による有利不利があるのは確かですが、それよりも一番大事なのは熱意です。

学んできたことを活かし、入社後にどのように活躍したいかを伝えられるようにしましょう。

就職の志望動機で多いものは

志望動機で多いのは、「これまで学んできたことを活かし会社で活躍したい」や「仕事を通して社会貢献したい」といった内容でしょう。

電機・重電業界に限らず、わざわざ嫌いな業界に就職を希望する人はいません。

そのため多く場合、詳細は違いますが基本的に前記したような志望動機が一般的です。

その中でいかに自分をアピールできるかが大事なポイントです。

なぜ志望するに至ったか、自分の体験談を交えたり、将来のキャリアプランを伝えたり、しっかり熱意を伝えるようにしましょう。

企業方針もしっかり把握し、自分が進みたい道が方針とマッチしているかを伝えるのも志望動機では大事な要因です。

電機・重電業界の転職状況

転職の状況

繰り返しになりますが、電機・重電業界の職種は非常に多く、それだけ人材も求められています。

発電システムのエンジニアと一言でいっても、発電システムはボイラー、発電機、タービンなどさまざまな工程で成り立っています。

場合によりそれぞれに特化したエンジニアが必要になるため、多様な経験を持ったエンジニアが求められるでしょう。

電機・重電業界の場合は一つの職種でも活躍できる現場が多岐に渡っているのが特徴といえます。

転職の志望動機で多いものは

電機・重電業界に限らず、転職を希望する動機は人それぞれです。

スキルアップやキャリアアップ、キャリアチェンジといったケースもあれば、好待遇を求めて転職を希望する人もいるでしょう。

業務内容の特性から、技術系の職種はスキルアップやキャリアアップを求めるケースが多いと考えられます。

事務系の職種、特に企画・営業などはキャリアアップ目的をはじめ、異業種からの転職やキャリアチェンジも十分考えられます。

培った知識と経験は企業内に新しい刺激も与えられるため、転職希望者と企業の方針がマッチングすれば転職成功につながるでしょう。

転職で募集が多い職種

機器設計やソフトウェア開発、企画営業やコンサル営業、経理に人事など、他業界と変わらず全般的に募集が行われています。

転職を希望する際は頻繁に求人情報を確認したり、転職サービスを利用したりして積極的な情報収集が転職成功のカギとなりそうです。

中でも技術系の求人は技術系全般、エンジニア専門など、特定職種に特化した求人サービスサイトもあります。

それだけ求職・採用ニーズがマッチしている職種といえるでしょう。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

極論をいえば必ずしも業界経験が必須なわけではありません。

業務内容からすると、営業職や人事・経理などは業界未経験でも採用されるチャンスはあるといえます。

しかし技術系の職種の場合、経験者が優遇されるのが一般的な考え方でしょう。

電機・重電業界でなくても、職種が同じであれば採用されるチャンスはあります。

特に研究・開発職などの場合、新しいアプローチや考え方は刺激にもなるため、他業界からの人材は貴重な存在ともいえます。

電機・重電業界の有名・人気企業紹介

日立製作所

日立製作所は日本を代表する重電メーカーの一社です。

火力・水力・風力・原子力といった発電プラントの計画・施工、産業設備の製造やソリューション提案といった重電分野から、一般家庭でも使われる家電製品まで幅広い事業を展開しています。

・創業:1910年(明治43年)
・資本金:4,587億円(2019年3月末現在)
・連結売上収益:94,806億円(2019年3月期)
・連結従業員数:295,941名(2019年3月末日現在)

日立製作所ホームページ

三菱電機

三菱電機も日本を代表する重電メーカーです。

水車発電や原子力機器といった送電・発電機器に強みがあるだけでなく、産業メカトロニクスにも強みを持っています。

一般家庭向けの家電も多く、馴染みのある企業でしょう。

・創業:1921年(大正10年)
・資本金:1,758億円(2019年3月末現在)
・連結売上収益:44,311億円(2019年3月期)
・連結従業員数:142,340名(2019年3月末日現在)

三菱電機ホームページ

東芝

東芝も日本ではトップクラスの規模を誇る重電メーカーです。

家電も多く展開していますが、重電分野での売上の方が圧倒的に高いです。

エネルギー関連機器をはじめ、インフラ系の分野に強みを持っている企業です。

・創業:1875年(明治8年)
・資本金:2,000億円(2019年3月末現在)
・連結売上収益:36,935億円(2019年3月期)
・連結従業員数:128,697名(2019年3月末日現在)

東芝ホームページ

電機・重電業界の現状と課題・今後の展望

競争環境(国内・国外)

国内では発電、送電ともに伸び悩んでいるのが現状です。

原子力発電の再開がいまだ本格化していないのも売り上げ減の要因と考えられています。

今後は各社とも海外展開が加速していくと見込まれています。

特にアジアをはじめとした新興国への参入は、アメリカのGE、ドイツのシーメンスなど世界的な重電メーカーも注目しています。

技術力では高い水準を誇っている日本の重電メーカーにとって、現地の需要に合わせた対応ができるかがカギといわれています。

最新の(技術の)動向

電機・重電業界の今後の技術課題はハードウェアからの脱却といわれています。

高性能なハードを開発・製造しただけでは不十分で、いかに安全に、効率的に運用できるかが重要になってきています。

注目されているのはIoT技術の活用です。

モノのインターネット化であるIoT技術が重電業界に活用されると、部品ごとのデータもリアルタイムで収集することが可能になります。

それらの情報を分析することで、新製品の開発や既存製品の改良、顧客労務の効率化やコストパフォーマンスの向上、不具合の早期発見などあらゆる可能性が広がるため世界的に注目されている技術です。

業界としての将来性

国内需要の鈍化が続く中、海外展開が進んでいるのが現状で、自社のみでの事業展開のみならず、海外メーカーと提携をしたり、買収を行ったりし事業拡大を図っています。

海外で活躍したい人にとってはますます魅力が増していく業界といえます。

さらにIoT技術はじめとした新しい技術の研究開発も活発化していくと考えられます。

ハードウェアを重視していた電機・重電業界ですが、これからはソフトウェアにも重点を置いたサービスが求められていくでしょう。

業界全体としてはまだまだ可能性を秘めている業界といえます。

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