インフルエンサーとは
インフルエンサーを活用するマーケティング手法の「インフルエンサーマーケティング」は以前から存在していますが、ソーシャルメディアの普及とともに、多くの企業が取り入れるようになりました。
特に近年では、ある程度のファンをもつ人が有力なインフルエンサーとして認められはじめ、注目を集めています。
今後さらに規模の拡大が見込まれる、インフルエンサーマーケティング市場。
その中心にいるインフルエンサーについて、基本的な理解から現在のトレンドまで詳しくみていきましょう。
インフルエンサーとは
インフルエンサーとは、他人に対して大きな影響を与える人のこと。
「Influence(影響)」を由来とする言葉です。
中でも、ソーシャルメディアやブログなどのWebメディアにおいて影響力をもつ人を指すことが一般的です。
多くの消費者に対して多大な影響力をもち、購買の意思決定を左右するキーパーソンでもあります。
これまで企業が行うマーケティング活動では、芸能人やモデル、スポーツ選手、専門家、プロブロガーなど、すでに有名な人がインフルエンサーとして起用されるケースが多くみられました。
ソーシャルメディアが一般化した近年の傾向としては、一般人が消費者から支持されて有名になるケースが増加。
限定的な領域で絶大な影響力をもつインフルエンサーが存在するなど、消費者自身がインフルエンサーとして活躍する時代へと変化しています。
インフルエンサーマーケティングの沿革
インフルエンサーを活用して消費者の購買行動を活発化させる手法は「インフルエンサーマーケティング」と呼ばれます。
インフルエンサーによる宣伝効果が大きいことから、今では多くの企業が取り入れるマーケティング手法のひとつです。
注目を集めはじめた2000年代前半から現在に至るまでには、いくつか大きな変化がありました。
時代とともに変化するインフルエンサーマーケティングの流れを追ってみましょう。
インフルエンサーが注目されるようになったきっかけ
インフルエンサーマーケティングが注目を集めるきっかけとなったのは、カナダ人ジャーナリストが2002年に出版した1冊の本「The Tipping Point」でした。
この本ではアイデアや製品、メッセージ、行動は「ウイルスのように広がる」としたうえで、流行におけるルールの1つに「コネクター」の存在を提唱しています。
このコネクターこそ、現在インフルエンサーと呼ばれる人々のことです。
コンピューターネットワークのハブのように、異なる世界と世界を結びつける特徴をもつと説明しています。
The Tipping Pointはアメリカで200万部以上の販売を記録し、日本では「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 」として翻訳本が出版されました。
クチコミの発展とステルスマーケティング(ステマ)への非難
インターネットが普及し、双方向で情報がやりとりできるようになったことで、消費者は情報の受け手と送り手の両方の役割をもつようになりました。
広告などを通じて企業からメッセージが提供されるだけの時代は終息。
消費者が他の消費者に対してメッセージを発信できる時代が始まったのです。
その仕組みを利用した代表的なマーケティング手法といえるのが「クチコミ」でしょう。
消費者の立場から伝えられる商品評価や感想などの情報は、他の消費者から信頼を寄せ大きな影響を与えるようになりました。
クチコミは早く、より広範囲に広まれば、その分効果も大きくなります。
クチコミの発信力が重視されるようになり、インフルエンサーの存在感はさらに大きくなりました。
ところが、高感度や人気の高い特定の著名人に依頼が集中したことで、消費者の不信を買うケースが増加。
さらにやらせの発覚などで専門用語の「ステルスマーケティング(ステマ)」が一般にまで使われるほど話題を集めました。
この頃から有名人のインフルエンサーは、以前よりも消費者の購買行動に影響を与えにくくなったといわれています。
ソーシャルメディアで登場した新しいインフルエンサー
インターネット上に出回る情報が爆発的に増加するとともに、情報を信用しない消費者が増えました。
そんな中、あらたな情報収集手段として消費者が利用したのがソーシャルメディアです。
自分に必要で信頼のおける情報を得るために、ソーシャルメディアのつながりの中に答えを求め、信頼を寄せる先はより身近で価値観の近い人へと変化しました。
ソーシャルメディアで消費者に多くの支持を集める人が、新しいインフルエンサーになったのです。
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拡大するインフルエンサーマーケティングの市場規模
インフルエンサーを活用したマーケティングは、今後さらに拡大すると予想されています。
インフルエンサーマーケティングの市場規模とは、SNSや動画共有サイトなどでインフルエンサーが投稿する広告数から推定される売上規模のことです。
企業がインフルエンサーを活用して、マーケティング活動を行う流れが広がっている証といえるでしょう。
最近の傾向としてはフォロワーとの距離が近く、消費者から高い信頼を得ている「マイクロインフルエンサー」への注目が高まっています。
マイクロインフルエンサー
インフルエンサーの活用は、ソーシャルメディアの中でもInstagramやYouTubeなどで顕著に伸びています。
この伸びの背景には、マイクロインフルエンサーの存在があります。
マイクロインフルエンサーとは、フォロワー数は人気インフルエンサーと比較して少ないものの、フォロワーとのつながりや影響力の強い人のことをいいます。
最終的な購買率の高さが注目され、さまざまなカテゴリーにおいてマイクロインフルエンサーとして活躍する人が増えています。
インフルエンサーマーケティングの事例
海外の成功事例ではプロモーションに定評のあるコカ・コーラの事例が挙げられます。
コカ・コーラは、イスラム教徒の消費者に対して商品のイメージアップを図るために、インフルエンサーマーケティングを採用しました。
ラマダンといわれる断食期間に合わせてキャンペーンを実施。
ソーシャルメディアと動画を利用し、イスラム教徒のインフルエンサーがメッセージを発信しました。
内容は、この時代にイスラム教徒として生きることの胸のうちを明かすというもの。
このキャンペーンによってコカ・コーラは、イスラム系の消費者の親近感を上昇させることに成功しました。
国内の事例では、多くのお笑い芸人を抱える吉本興業がインフルエンサーマーケティングを開始すると、2017年2月に発表。
所属する芸人のInstagramやTwitterで企業の商品をPRします。
以前問題となったステルスマーケティングとは違い、広告であることを前提としてこういった活動を行うのは、ファンに対する影響力が期待できるからこそ。
言い換えると、消費者は広告であるかどうかよりも、誰からその情報を受け取るかが重要であるということでしょう。
この記事のまとめ
どの時代にも、まわりの人々に強い影響力をもつ人は存在しています。
以前は実社会に広がるネットワークの中でのみ情報はやりとりされていましたが、インターネットが当たり前にある現代では大きく様変わりしました。
価値観や趣向が合う人を見つけやすい時代になり、その分影響を受ける機会も増えているはずです。
どのようなアプローチでも、情報の取捨選択が消費者にゆだねられることは変わりませんが、インフルエンサーを活用して自然に情報を届けることは、現在もっとも有効なアプローチといえるのかもしれません。
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