行政書士は具体的に何をしている? 建設業・福祉業の許認可を例に紹介
行政書士って何をする人?司法書士と同じなの?とは、知り合いやお客様からよく言われる言葉です。
確かに相続手続きや、遺言書作成など仕事が重なることはあります。
しかしながら、訴訟手続きや登記関係は司法書士の専門です。
行政書士は、建設業や福祉など行政庁へ許認可が必要な、書類を作成してお客様の代わりに提出します。
この許認可は行政書士はの独占業務であり、他の士業ではできません。
これらの関係は、非常にわかりにくいことがありますので、許認可について簡単にご説明したいと思います。
会社設立に必要な定款を作成します。
行政書士は、会社を作るときに必要な「定款」というものを依頼者様に代わって作成します。
この「定款」とは、会社の名称や事業の目的などを会社の基本的な事項を文書にしてまとめたものです。
会社を作りたい方は、まずこの定款を作り、これに署名または記名押印する必要があります。
この「定款」を作成したら、これに公証人の認証を受ける必要があります。
公証人の審査が終わりましたら、あとは登記申請書類を司法書士に依頼するか、自分で作成して法務局に提出します。
それで登記手続きは終了して、晴れて会社の設立が完了します。
行政書士の花形、建設業
建設業の許可を取りたい経営者の方に代わって、行政書士が書類作成や行政庁へ連絡・調整・提出を行います。
500万円以上の建設工事をするには許可が必要です。
「規模の大きな工事を請け負いたい。」「許可をとらないと元請けから仕事をまわしてもらえない。」などの理由から許可をとりたい経営者の方が多いです。
建設業の経営経験5年以上、国家資格10年以上の技術経験などが必要です。
国家資格がない場合は、10年以上建設業の技術経験があれば専任技術者として認められます。
しかしながら、その10年の技術経験を書類で証明しなければなりません。
それを証明する書類は、建設業の経営者で建設業の許可をうけているなら、建設業許可通知書の写し、建設業の許可を受けていないなら、10年分の請書・注文書・見積書などで証明します。
建設業の経営経験を証明する場合も同様です。
自治体によっては、1年に1回の証明でよいところと、1年に数回証明しないといけないところもあります。
そこのところは、行政書士の腕の見せ所。
いかに、役所の担当者にわかりやすく説明出来るかですね。
依頼者様のためにいかに迅速に調査をできるか、常に新しい情報収集も欠かせません。
厳しい受験を乗り越えて行政書士試験に合格した方々なら、地道な勉強も苦にならないと思います。
建設業の申請は、決算変更届や経審、更新など継続的に続いていきますので、チャレンジしてみる価値はありますよ。
福祉における行政書士の役割
日本は現在、超高齢化社会です。医療費も介護費用も増大する一方、それを支える働き手は不足しています。
さらに、少子化問題も深刻です。
この高齢化社会を支えていくためには少子化対策・介護者育成の対策が不可欠です。
福祉事業所や施設は増えてきていますが、まだ十分な数とはいえません。
福祉事業はこれからの日本を支える重要な社会貢献度の高い仕事です。
行政書士は、福祉で起業したい経営者の方に代わって、書類作成・提出代行や行政との連絡調整を行います。
福祉事業の手続きは、物件の調査から始まって、行政庁の各部門、建築課や福祉課、消防署の指導課など複数の関係機関と調整が必要となります。
つまり、足しげく役所へ通ったり、電話したりして担当者と綿密なやり取りを行います。
福祉通所施設の申請は期日までに事前申請を行い、本申請までに消防署の立ち合いを行わなければなりません。
その間にリフォームも終わらせる必要があります。
行政書士は、依頼者様と行政との間で日程調整をし、やり取りを進めていきます。
リフォームに時間がかかったりすると冷や汗ものですが、業者の方も必死に協力して下さいました。
以上手続きを進めるのに沢山の方々の協力を頂き、行政書士は日々ご依頼者様のために努力し続けます。
これから、行政書士を目指すかたは、少し勉強した法律と実際の実務に開きを感じることがあると思います。
日々の研鑽も必要です。
しかしながら、無事手続き終了して、許可が下りた時の達成感と安堵感はとても大きいですから、果敢にチャレンジしてくださいね。
行政書士になるには
行政書士になるには、受験資格などは不要で誰でも受験できます。
受験資格はないものの、試験勉強に要する時間や分量はたくさんあります。
大学卒業程度の学力は必要ですね法律だけでなく、政治や経済の知識を新聞やニュースなどで入手して常に新しい情報をインプットできるスキルもあった方がよいと思います。
大学法学部を出るか、専門学校へ通うのが大半ですが、時間がない人などは、通信教育などを活用されています。
独学の方法もありますが、かなりの時間を要します。(私は、後者ですが…)
勉強方法・苦手科目の克服、一般常識の情報収集を自分一人でこなさないといけません。
しかしながら、時間にとらわれず、費用は格安です。
のんびり、将来に備えて勉強するには良い方法です。
いづれにしても、かなりの勉強量ですので時間確保とやり切る覚悟が必要ですね。
行政書士が代行できる書類は、何百種類もあり、それら一つ一つが煩雑で行政への確認事項が多いなど時間がかかる場合が多いです。
飲食店や福祉施設などは、物件調査が必要で、消防署との事前調整、図面確認、実際に物件の立ち入り調査もあります。
建築基準法の規制にも適合していること、などなどたくさんの行政庁への事前連絡・確認が必要となります。
その間に書類作成もしていかなくては、なりません。
行政書士としては、いろんな法令の壁を忍耐力・精神力でのりこえていかなくてはなりません。
日々の勉強、先輩との人脈構築、他士業との連携が大切です。
多くの障害を乗り越えて、許可が下りた時は安堵感と充実感いっぱいです。
ご依頼者様から感謝されたりすると、やりがいもありますよ。
これから、行政書士をめざす方は、勉強家の方々が多いと思いますので、ご依頼者様の笑顔と社会貢献のために頑張りましょう