納棺師と湯灌師の違い

呼称に規定はない

厳密には納棺作業を専門とするのが「納棺師」、湯灌(ゆかん)作業を専門とするのが「湯灌師」とする向きもありますが、この二つの作業は互いに不可分であるため、呼称はどうあれ、どちらの作業も行うことになるのが一般的です。

したがって、一回の葬儀に納棺師と湯灌師が別々に呼ばれるということはほとんどありません。

湯灌をして初めて納棺できる

納棺とは読んで字のごとく遺体を棺に納める作業のことです。

一般的にはそのために必要な作業も併せて納棺とするため、湯灌を始めとする、着替えやメイク、エンバーミング等も含まれることになります。

一方で湯灌とは、葬儀に際し、遺体を入浴させ、洗浄する作業のことをいいます。簡易には遺体を清拭することで済ませる場合もあり、男性の髭剃り、女性のメイクも含まれます。

入浴させた後は当然着衣をさせ、そのまま棺に納める流れになりますので、湯灌師といえども納棺作業までを行うことになります。

湯灌が納棺の中の一部分を指すことは間違いありませんが、技能としては同一であると理解しておきましょう。

湯灌だけを委託することも

納棺作業にはこれといって特別な資格は必要ないため、葬儀会社の職員や遺族の手によって行われることも少なくありません。

しかし、湯灌作業に限っては専用の給排水装置や湯船が必要になってくる場合もあるため、専門業者に委託することがあります。

もちろん、そのまま納棺作業までを担当してもらうこともありますが、遺族の意向によって湯灌だけを独立させて依頼することも少なくありません。

湯灌を簡略化することが増えてきている

本来、湯灌の儀とは来世で新たに生まれ変わって欲しいという願いが込められています。

また、現世の煩悩や苦しみ、そして汚れを洗い清めることにより、故人が新たな旅立ちをできるようにという意味もあり、古来より全国各地で大切にされてきた儀式であるといえます。

しかし最近では湯灌を簡略化する傾向が強く、前述のような清拭を「拭き湯灌」として代替することが増えてきているようです。

このような流れはありますが、遺族の意向や地域の風習によっては、布団の上に寝ている故人を清拭した後、遺族による逆さ水、末期の水の儀式を執り行う古式湯灌、専用車両や簡易型浴槽などを利用して、掛け流しの形で湯をかけ、清拭を行うシャワー湯灌等を専門業者が担当する葬儀もあります。

また、湯灌後の着衣も略式化されており、棺の上に帷子などを掛ける方法が増えているようです。

最後の看護行為

最近では病院で亡くなる場合が圧倒的に多く、施設等の自宅以外の場所で最期を迎えることも珍しくなくなってきました。

そのため、看護師や介護士が「最後の看護・介護行為」として清拭を行っており、これを湯灌として考えることも増えてきています。

場合によっては病院や施設が専門業者に湯灌を委託することもあり、湯灌の儀が葬儀の場から分離しつつあるのが現状です。