ウエディングドレスデザイナーの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「ウエディングドレスデザイナー」とは
結婚式で新婦が着用するウェディングドレスのデザインや制作を行う。
ウエディングドレスデザイナーとは、結婚式で新婦が着用するウエディングドレスのデザインや製作をする人のことです。
お客さまから希望のイメージやカラー、デザインなどをヒアリングし、体型や希望に沿ったウエディングドレスを紙面にデッサンします。
人によっては、その後のパターン(型紙)製作や縫製、コーディネートなどまで担当します。
特別な学歴や資格は求められませんが、服飾専門学校などでデザインや縫製に関する知識・技術を身につけたのち、ドレスメーカーやオーダーメイド専門店へ就職する人が多いです。
人々の価値観の多様化により、ブライダル業界のあり方も変化し続けています。
お客さまの好みをきちんと引き出した上で、独創性のある質の高いデザインを提案できるデザイナーが求められています。
「ウエディングドレスデザイナー」の仕事紹介
ウエディングドレスデザイナーの仕事内容
新婦が着用するウエディングドレスをデザインする
ウエディングドレスデザイナーとは、結婚式で新婦が着用するウエディングドレスのデザインや製作をする人のことです。
「ファッションデザイナー」の一種ともいえますが、ウエディングドレスをつくるには、日本人の体型に合うデザインや、ドレスならではの生地の種類、縫製、装飾などについて深く理解していなくてはなりません。
ウエディングドレスデザイナーの仕事は、お客さまや企業から依頼を受けるところからスタートします。
イメージやカラー、デザインなどを検討し、体型や希望に沿ったウエディングドレスを紙面にデッサンして、デザインを起こしていきます。
デザイン後のパターン作成や仕立てまで手掛ける人も
デザインが完成したのちは、パターン(型紙)に起こす仕事をする「パタンナー」に依頼し、具体的な指示やイメージのすり合わせを行っていくことになります。
ウエディングドレスデザイナーによっては、自らデザインを作成してパターン作成をし、さらに縫製やコーディネート、接客などまで一人で手掛けています。
一流のデザイナーになると指名も増え、自らのブランドを立ち上げて活躍する人もいます。
ウエディングドレスデザイナーになるには
ウエディングドレスデザイナーになるために、必ず「こうしなくてはならない」という道はありません。
しかし、特別なスキルを要する専門職であることから、服飾専門学校に進学し、デザイン・縫製に関する知識や技術を身につけておくのがよいでしょう。
卒業後は、ウエディングドレスブランドやオーダーメイド専門店、結婚式場などにデザイナーとして就職する人が多いです。
新人デザイナーは、まず製作工程のちょっとした一部分から担当し、スキルが身についていくと徐々に難しい仕事も任されるようになります。
地道に腕を磨いていくことが大切
狭き門ではありますが、一流デザイナーのアシスタントとして雇われ、師匠と弟子のような関係性で経験を積んでいく人もいます。
自身の手掛けたドレスのデザインや質が評価され、クチコミなどでお客さまからの指名が増えていくと、自分のウエディングドレスブランドを立ち上げる人もいます。
ただし、個々の技術力が厳しく問われる職業のため、まずは地道に経験を積んで腕を磨いていくことが大切です。
ウエディングドレスデザイナーの学校・学費
基礎的な力を身につけるなら専門学校への進学を
ウエディングドレスデザイナーになるために、必ず通わなくてはならない学校はありません。
しかし、ウエディングドレスデザイナーは専門性が高い職業で、決して門が広く開かれているわけではありません。
就職においても、多少の知識・技術を習得している人が有利になるため、できれば服飾系専門学校に進学し、服飾デザインやパターン、縫製などに関する勉強をしておくとよいでしょう。
学校によっては、ドレスデザインやコスチュームデザインなど、一般的な洋服とは異なる、特殊な服のデザインに特化したコースもあります。
在学中にショーや留学などの経験ができる学校も
服飾系専門学校、とくにブライダルやコスチューム関連の学科では、ドレスデザインの仕方だけでなく、結婚式などブライダルに関する知識も学べます。
また、在学中に自分でドレスを製作し、校内のファッションショーで披露したり、海外への短期留学経験や、デザインコンテストへの参加といった多様なイベントが用意されている学校もあります。
在学中に有意義な経験をたくさん積んで、就職活動に臨むとよいでしょう。
ウエディングドレスデザイナーの資格・試験の難易度
業務に関連するさまざまな資格がある
ウエディングドレスデザイナーになるために、必須とされる資格はありません。
ただし、業務に関連する資格はさまざまなものがあります
たとえば「洋裁技術検定」や「パターンメーキング技術検定」など洋服づくりに関する資格は、自分の実力やレベルを評価するのにも役立ちます。
また、「ファッション色彩 能力検定」や「カラーコーディネーター検定試験」などの色に関する資格も、取得のための勉強をすることで、デザイン業務をする上では役立ちます。
資格があるから成功できるわけではありませんが、スキルアップのためにも積極的に勉強していくとよいでしょう。
ウエディングドレスデザイナーの給料・年収
能力次第で給料アップ
就業場所にもよりますが、新卒未経験の場合はアルバイトなら時給1000円前後、正社員なら給料は月16万~20万ほどが相場です。
年収にすると400万円前後がボリュームゾーンとなるでしょう。
ウェディングドレスデザイナーとして働きながらハイレベルなセンスやデザイン力、技術力を磨き、たくさんのお客さまからの支持を獲得できるようになると、さらに待遇がアップします。
また、デザインだけでなくパタンナーや商品開発、プロデュースなどブライダルに関する複数の分野を兼任できるような多彩なスキルを身に付けることで待遇がアップする可能性もあります。
ウエディングドレスデザイナーの平均年収・月収・ボーナス
厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、ウエディングドレスデザイナーの平均年収は、38.8歳で509万円ほどとなっています。
・平均年齢:38.8歳
・勤続年数:10.3年
・労働時間/月:171時間/月
・超過労働:8時間/月
・月額給与:363,800円
・年間賞与:727,500円
・平均年収:5,093,100円
出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。
ウエディングドレスデザイナーの勤務先の規模別の年収(令和5年度)
ウエディングドレスデザイナーの年収は、勤務先の事業所の規模によって大きく異なります。
10〜99人規模の事業所に勤めるウェディングドレスデザイナーの平均年収は442万円、100〜999人規模は498万円、1,000人以上の規模では681万円、10人以上規模の事業所平均は509万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「デザイナー」でファッションデザイナー、テキスタイルデザイナー、ジュエリーデザイナー、ゲームデザイナー、グラフィックデザイナー、パッケージデザイナー、キャラクターデザイナー、プロダクトデザイナー、インダストリアルデザイナー、カーデザイナー、雑貨デザイナー、ガーデンデザイナー、空間デザイナー、ディスプレイデザイナー、照明デザイナーなど他職業を含むデータです。
※賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。
ウエディングドレスデザイナーの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)
ウェディングドレスデザイナーの年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の684万円です。
全年代の平均年収は509万円となっています。
上記グラフの基タイトルは「デザイナー」でファッションデザイナー、テキスタイルデザイナー、ジュエリーデザイナー、ゲームデザイナー、グラフィックデザイナー、パッケージデザイナー、キャラクターデザイナー、プロダクトデザイナー、インダストリアルデザイナー、カーデザイナー、雑貨デザイナー、ガーデンデザイナー、空間デザイナー、ディスプレイデザイナー、照明デザイナーなど他職業を含むデータです。
ウエディングドレスデザイナーの現状と将来性・今後の見通し
ウエディングのあり方が変わり、ドレスのニーズも多様化
現代では、ウエディングやブライダルのあり方が変化しています。
古くから親しまれているオーソドックスな結婚式場での挙式・披露宴だけでなく、「ハウスウエディング」や「リゾートウエディング」、あるいは「海外ウエディング」などを希望する新郎新婦が増えているのです。
こうした変化にともなって、ドレスも「自分だけの唯一無二なものにしたい」「他の人とは少し違うデザインがいい」というニーズが増しています。
もちろん、伝統的な形のウエディングドレスを的確に作ることも大切ですが、それに加えて、時代が求めるニーズをキャッチし、いかにして独創性のあるデザインを生み出せるかも重要になってきます。
デザイナーとして豊かな感性を身につけ、腕を磨き続ける努力を惜しまない人が成功に近づけるでしょう。
ウエディングドレスデザイナーの就職先・活躍の場
ウエディングドレスメーカーや専門店などで活躍
ウエディングドレスデザイナーの活躍の場は、ウエディングドレスを扱う、さまざまな場所にあります。
具体的には、オーダードレスの専門店、ウエディングドレスブランド(メーカー)、アパレルブランド、結婚式場、デザイン事務所などが挙げられます。
就職先によって、デザインだけを手掛けるのか、パターンや裁縫まで携わるのかなど、仕事内容が異なります。
また、社内で企画してデザインしたドレスを作って販売するのか、それとも一人ひとりのお客さまの要望を受けてオーダーメイドで作るのかなど、特徴もさまざまです。
十分な実力を備えると、独立して自社ブランドを立ち上げる人もいます。
ウエディングドレスデザイナーの1日
お客さまとの打ち合わせやデザインが中心
ウエディングドレスデザイナーの1日の過ごし方は、お客さまとの打ち合わせや、デザイン業務が中心となります。
お客さまの予約状況に応じて動き、それ以外の時間でデスクワークや製作を進めていきます。
ここでは個人経営のドレスショップに勤務しているウエディングドレスデザイナーの1日の例をご紹介します。
ウエディングドレスデザイナーのやりがい、楽しさ
お客さまの幸せな日を彩る特別なドレスを作ること
ウエディングドレスは、新郎新婦はもちろん、そのご家族や友人など、多くの人の一生の思い出に残る衣装です。
そのため、多くの打ち合わせを重ね、長い時間をかけて大切な一着を仕上げます。
完成したウエディングドレスを着たときの新婦の美しい姿や心からの笑顔は、デザイナーにとっても大きな自信とやりがいとなります。
一般的な服飾のデザイナーとは異なり、より「特別感」のあるドレス製作に携わることができるのは、ウエディングドレスデザイナーならではの魅力です。
多くの人のハレの日を彩り、幸せのサポートができるという点でもやりがいのある仕事です。
ウエディングドレスデザイナーのつらいこと、大変なこと
デザイナーとしての細かなこだわり、高い技術が要求される
ウエディングドレスを仕立てに来る人は、さまざまなこだわりを持っています。
その人たちの要望にしっかりと応えられるデザインができなければ、ウエディングドレスデザイナーとしては評価されません。
人生で何度も着ることがない貴重なドレスを作る存在として、大きなプレッシャーを感じることもあるでしょう。
ウエディング関連の仕事は華やかなイメージを抱かれがちですが、ウエディングドレスデザイナーの日常業務は、いたって地味で根気強さが求められるものです。
ドレス製作ならではの知識や技術を身につけるために、日々の地道な努力が欠かせません。
ウエディングドレスデザイナーに向いている人・適性
豊かな発想力や感性があり、デザインすることが好きな人
ウエディングドレスデザイナーとして求められるものはたくさんありますが、とくに「発想力」は重要です。
流行を先取ったデザインを考えたり、お客さまが求める以上のオリジナリティあるデザインを生み出したりするためには、豊かな感性とセンスを磨き、発想力を高めていく必要があります。
また、お客さまが頭で描いたイメージを上手にくみ取って表現する力も欠かせません。
同時に、ドレスのデザインを完成させるには、ミリ単位での細かな修正を繰り返すこともあります。
デザインが好きなことはもちろん、集中力が高く、コツコツとした作業に没頭できる人が、ウエディングドレスデザイナーに向いているといえるでしょう。
ウエディングドレスデザイナー志望動機・目指すきっかけ
華やかで特別なドレスをデザインしたい
「ファッションデザイナー」を目指す人はたくさんいますが、さまざまな服飾品のなかでも、ウエディングドレスは特別感のあるアイテムです。
きらびやかで華やかなウエディングドレスに憧れて、ドレスを専門に扱うデザイナーを目指す人が多いようです。
最近は、服飾の専門学校でもドレスについて深く学べる学科・コースを置くところが増えており、学校で学んだことがきっかけで、この道に進む人もいます。
なかには、趣味でドレスづくりをしていたのが評判になって本格的にドレスデザインを始めたという人や、友人のウエディングドレスを作っているうちに仕事にしたくなったという人もいるようです。
ウエディングドレスデザイナーの雇用形態・働き方
アシスタントはアルバイトなど非正規で働くことも
ウエディングドレスを扱うブランドなどに勤務するウエディングドレスデザイナーは、正社員として雇用されることが多いです。
「ウエディングドレスをデザインできるということは、一般的な服飾のデザイナーとして一人前にやっていけるだけの技術が備わっている」と判断されます。
ただし、新人や未経験者などで「アシスタント」や「デザイナー助手」としてウエディングドレスデザインに関わる場合は、アルバイトや契約社員として雇用されるケースも少なくありません。
個々のスキルが厳しく問われてくる専門職であるため、まずは仕事を覚え、腕を磨くことが安定した雇用につながっていきます。
ウエディングドレスデザイナーの勤務時間・休日・生活
勤務先によっては平日中心の休みになる
自社ブランドを持つドレスメーカーなど、法人相手の取引が多い会社では、一般的な企業と同じように、平日の朝から夕方にかけて働くことが多いです。
ただし、オーダードレス専門店や結婚式場など、一般のお客さまを相手とする職場で働く場合には、土日祝日を含むシフト制勤務となる可能性が高いです。
一般的に婚礼時期のトップシーズンは春と秋で、ドレスデザインは、その前の段階となるために12月から3月、また6月から8月が繁忙期といわれています。
この時期は休みが取りにくくなり、代わりに繁忙シーズンを終えるとまとめて休みをとるといったケースもよく見られます。
ウエディングドレスデザイナーの求人・就職状況・需要
求人は少なく、倍率が高くなりがち
同じブライダル業界の仕事でも、挙式を企画・立案したりドレス選びのサポートをしたりする「ウエディングプランナー」に比べると、ウエディングドレスデザイナーは求人自体が少なく、競争率も高いです。
また、ウエディングドレスのデザインには、有名ブランドや芸能人も参入しているため、いち個人がデザイナーとして活躍できることはまれです。
まずはウエディングドレスを扱っているアパレルブランドやドレスメーカーに就職し、下積みからスタートして腕を磨くのが一般的なキャリアとなるでしょう。
経験・実績がしっかりとできれば、より有名なブランドに転職をしたり、独立したりする道筋も見えてきます。
ウエディングドレスデザイナーの転職状況・未経験採用
未経験者はアシスタントからスタートする心構えを
ウエディングドレスデザイナーは、誰でも目指せるチャンスはあるものの、決して簡単に活躍できる職業ではありません。
未経験者の場合は、ウエディングドレスを制作・販売する自社ブランドやオーダーメイド専門店などで、ウエディングドレスデザイナーのアシスタントや助手からスタートするのが一般的です。
経験を積みながら技術力や表現力を高め、第一線で活躍できるデザイナーを目指していくことになります。
なお、アシスタントやデザイナー助手の期間は「見習い」として、アルバイト採用となることが多いです。
転職によって、収入が下がることも見越して計画を立てていくほうがよいでしょう。