小型機パイロットでやりがいや、おもしろいと感じたこと。 いやだなと思ったこと
小型機の飛行教官、それに観光フライトの仕事をしていたとき、この仕事ならではと感じたことがあります。自分にとって本当に貴重だったこと。パイロット個人によっても違いはあると思いますが、私の場合はこんなことを感じられたということをお伝えいたします。
パイロット業務の価値が読者の方にもいくらかご理解いただけたら幸いです。
やっぱり空からの風景
ハッキリ言って飛行中に見られる眺めは飽きませんでした。
実は教官の方が訓練生よりもこの楽しさを味わっています。
訓練生は飛行機をコントロールすることに精一杯だからです。
しかしそれでも風景の楽しさを毎回味わっています。
当たり前ですが人は普段、地上にいて、高くても高層ビルや山頂程度。
一方、空中を飛びながら外を眺めることは非日常的な体験です。
空には空の自然があります。
光や雲は見えるし、気流も気温も湿度も感じられます。
景色や眼下の風景をただ見ているだけで面白いし、癒しさえも感じられました。
飛行機を飛ばしている充実感
人を乗せてこの空を飛んでいる、自分はなんてすごいことをしているんだろう、ってちょっと優越的な気分にもなりました。
でも本当はこういう心理状態でのフライト行為は好ましくありません。
だから着陸後にしっかりとそう感じればいいのです。
一人で飛んでいてもその充実感は他の何とも比べられない、やっぱり飛行機を飛ばすことってすごく特別なことだと感じられました。
乗客やパッセンジャーの笑顔
観光フライトが終了したあと、パッセンジャーが「ああーたのしかったー!」と言いながら飛行機から降ります。
その後しばらくずっと良い笑顔でいてくれるのです。
その笑顔は私に大きなやりがいを与てくれました。
人さまに飛ぶことを提供した喜び、そんな瞬間だったのです。
いまでも多くの人に飛行機にからの眺めを楽しんでもらいたいな、と思っています。
関連ブログ↓
https://ameblo.jp/idearshasta/entry-12385255894.html
訓練生の頭の中がわかってしまう瞬間
飛行教官の私は右シートに座り、訓練生は左の機長席に座って真剣に飛行機を操縦しています。
あるとき二人ともフライトに集中しているシーンで私は面白いことに気づきました。
飛行機をコントロールしている訓練生を感じるということ。
今この計器は見てなかったなとか、今のストレスレベルはさっきの同じ操作よりも低下したなとか、数秒後のエアスピードがどうなるかを理解しているなとか。
彼が何も操作してなくても、何も言わなくても私には自然にわかってしまったのです。
ちなみにスピリチュアルとか霊感などとは全くの無縁です。
人の持ち合わせている感覚器官と知覚を研ぎ澄まして感じた結果、わかってしまったということです。
物理的にも心理的にも近い状態だと相手の中身がわかっちゃうのって面白いです。
価値のある収入
私の場合、お仕事が毎日あったわけではありませんでした。
習いたい、飛びたいという人が来てくれて初めてお仕事の量、つまり収入が左右されていたわけです。
とても単純な成行きですね。
そういう訳でパイロットで得たお金は自分にとって特別な価値がありました。
例えば運よく手に入れた同額のお金よりも大事にしていました。
しかしこういう価値観はお金持ちにはならない思考だと、あとから聞いたことがあります。
私はそれでも不満はありませんでした。大好きな飛行機に乗れるのですから。
人からの尊敬の目
パイロットの仕事をしています、と言うと小型機でさえ、「えー、すごーい!」と人から尊敬した眼差しで見られたりもしました。うれしかったです!
でも自分としては、好きなことをしているだけなので特別な目で見て欲しくない、普通に見て欲しいとも思っていました。
一旦プロパイロットになってしまうと、それが自分にとっての普通になってしまいます。
別な言い方では自分らしさです。
人とのコネクション
当然のことかもしれませが(人によっては違うかも)航空関係の人達とお知り合いになるチャンスは多かったです。
パイロットだけでなく、航空管制官、飛行機整備士、空港で働く人達、エアライン関係者、客室乗務員、現役パイロットを退いて別な仕事をしている人などなど。
皆さん真面目で魅力的でした!
そんな憧れの人と知り合えてうれしかったです!
責任、やりがい、収入
これらの項目をグラフみたいに表したとすると、やりがいが一番高く、収入が一番低かったです。
実際に私のような仕事だけで生計を確立しようとするには収入面の個人差がかなりあると思います。
しかし決して不可能でもなく、簡単でもないことだと思います。
地元の組織で「災害時のボランティアパイロット」という公認の組織があり、私もその登録パイロットになり定期ミーティングに参加したことがあります。
こういう活動も含め、パイロット職についてのやりがい度は間違いなく高かったです。
準備に時間がかかる
飛行教官にしろ、観光フライトにしろ、準備にかかる時間は実際の飛行時間よりも長かったし、ケースによっては何倍かになりました。
パイロットによって準備の行動には差があると思います。
怠慢とか熱心とかそういうのではなく、必要性や得意不得意が影響しているのだと思います。
自分の場合は準備をきちんとしないと自分で納得のゆくフライトにならないので時間をかけていました。
でもハッキリ言って面倒でした。
辞めたあとも他の仕事に生かされた
この仕事を辞めた理由は、私達夫婦に子どもが生まれるからでした。
当時はもっと収入が必要で、転職が必要になったからです。
それはともかく、パイロットのキャリアで培われた能力と人格は私の宝物です。
それらは
・計画性
・真面目さ
・ストレスマネジメント
・感情のコントロール
・ある目的の為に限られた物を最大限に活用する力
・柔軟な思考
・その気になればなんでも達成できる
・もっと自然を大切に生きたい
こんな感じです
計画性はその後ツアコンの仕事に就いたときにかなり役立ちました。
旅程管理というお仕事ではとても重要で、旅の進行と、参加者の満足度に大きく影響しました。
感情のコントロールがパイロットに必要だというのは、おおよその見当がつくと思います。
このスキルは自己理解と、人とのコミュニケーションがより円滑になったということに繋がりました。
私自身、当時はそんなに優秀なプロパイロットとは思っていませんでしたが、幸せ度は最高でした。比較的、短い期間のお仕事でしたが、やりがい度ナンバーワンだったことは間違いありません!