現役ヘアメイクがお伝えするロケでのスチール撮影の裏側
ヘアメイクのお仕事といっても様々なカテゴリーに分かれますが、今回はスチール撮影のお仕事にフォーカスし、ロケの場合どのようなタイムスケジュールでどのようなことが行われるのかを、ヘアメイクの立場から分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
ロケ撮影の一般的な集合時間
スチール(写真)撮影は大きく分けて、スタジオ撮影とロケ撮影に分かれます。
今回はロケ撮影についてお伝えしていきます。
ロケ撮影は様々な場所で撮影が行われます。
例えば、街の中、お店の中、レストラン、花屋、ビルの前、オフィス街、ビーチ、海の近く、etc、、、
特に街の中での撮影になると、人通りが少ない早朝におこなうことが多いです。
また、自然の多い場所や海の近くなどの場合は、都心からかなり遠いロケーションが多かったりするので、集合時間も早くなることが多いです。
具体的に言うと、始発電車で集合できる6時集合などが比較的多いように感じます。
更に早い時間帯だと4時や5時集合という時間帯も何度か経験がありますが、その場合はタクシーで集合することになります。
いずれにしても、ロケ撮影は朝早い時間帯から始動するのが一般的です。
ロケ撮影の移動はロケ専門のバスドライバーの方にお任せします。
ヘアメイクのセッティング
全員集合の後に出発となります。
数十分から数時間後に現場に到着したら即座に、ヘアメイクのセッティングを行います。
ロケバスにメイクルームが完備されている場合は、メイク道具を並べるスペースやライトまで付いているため、明るい場所で心地よくメイクすることが出来ます。
もしメイクルームが完備されていない場合は、自分で用意したライトをちょうど良い場所にセッティングをし、メイク道具に関しては並べずにメイクボックスに入れたままの状態で、座席の上に置いてメイクすることになります。
もちろん大きめの鏡は必需品です。
ヘアメイクの立場としては、事前にロケバスにメイクルームが完備されているかを確認しておく必要があります。
ずっと前ですがメイクルームが付いているか確認したところ、「完備されている」という返事だったので安心してましたが、当日ロケバスに乗り込んだところメイクルームが付いていなかった、、、なんていうことが数回ありました。笑
その時どうしたのかは思い出せませんが、何とか対応したのは覚えてます。
スタイリストさんとの簡単な打ち合わせ
モデルさんのメイクを始める前に、スタイリストの方から撮影の簡単な流れや服、小物の説明があります。
例えば、この服からこの服まではヘアメイクはこんな感じでお願いしますとか、この服からは変えてほしいとか、ここの服では簡単にアレンジしてほしいなどの要望があります。
ロケ撮影のカット数(紙面での写真の数)にもよりますが、大体3~5パターンはヘアメイクチェンジをすることが多いです。
モデルさんにメイクを施す
いよいよメイクスタートです。
先ほどのスタイリストさんとの打ち合わせに沿ったヘアメイクを行っていきます。
いつも心がけているのが、
*モデルさんの気持ちを良い状態にさせてあげる
*気持ちを上げてあげる
ことです。
いくらプロのモデルとはいえ、毎日の生活の中でいろいろな浮き沈みがあるはずです。
撮影前の緊張をほぐしたり、良い気分にさせてあげることが出来れば、写真を通した時の笑顔や表情が必ず良くなるからです。
メイクをするときも「丁寧に素早く」がモットーなので、心地よい雰囲気づくりをしながらも、手は素早く動かすことを忘れないようにしています。
最終的に”気持ちの良い状態で撮影に臨んでほしい”と思っています。
フォトグラファーによる撮影がスタート
メイク終了後、スタイリストの方に着替えをお願いをし、着替えが済んだらフォトグラファーのスチール撮影が始まります。
フォーグラファーによって怖いタイプ、個性的なタイプ、やさしいタイプ、面白いタイプ、寡黙なタイプなど様々な人がいますが、現場の雰囲気を読みながら臨機応変に対応し現場を盛り上げるのがへメイクの役目でもあると思っています。
オールアップ
オールアップとは撮影のすべてが終了することを言います。
ロケ撮影では天候や風に左右されることがとても多いのですが、悪天候だったり風が強すぎると当然、撮影に時間がかかってしまいます。
撮影スケジュールを何としてもこなさなければならないので、スタッフも気が気ではありません。
そんなこんなで、素早さ、臨機応変さ、はとても大事になってきます。
予定された時間内に終わらないこともありますが、最終的にクライアントの方々に喜んでもらうのが最も重要な部分なので、時間が押してしまうことはいた仕方が無いことです。
最終的に無事に「オールアップ」できればそれでよいと思います。
いかがでしたか?
今回は簡単ではありますがヘアメイクの視点からロケ現場での役目をお伝えしました。
ロケ撮影は天候と時間との闘いと言っても良いのかもしれませんね。
私個人はどちらかというと、スタジオ撮影よりロケ撮影のほうが変化に富んでいるので好きかもしれません。
また、帰りのロケバスの中で熟睡できるのが何とも気持ちよく感じます。
今回のコラムがこれからヘアメイクを目指す方、今アシスタントをやっている方にとって参考に繋がると嬉しく思います。
ひらかわ