葬儀屋の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「葬儀屋」とは

葬儀屋の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

亡くなった方の葬儀手配から式場準備、司会進行まで、葬儀に必要な一連の業務を担当する。

葬儀屋とは、亡くなった方の葬儀を開催するために必要な各種手配や準備、管理、進行を手掛ける人、もしくは企業のことです。

お客さまから葬儀の依頼を受けると、お通夜の手配、葬式の手配をし、式当日はスタッフが分業して仕事を進めます。

葬儀の規模や地域のしきたりなどにより、葬儀の流れは若干変わってきます。

基本的に、葬儀の連絡があり次第、対応をする必要があるため、葬儀屋の生活は不規則になりがちです。

葬儀屋は小規模の事業者が多いため、求人はあまり表に出ず人づてで決まることもありますが、葬儀について学べる専門学校に通えば、学校が就職先を紹介してくれることもあります。

人は誰しもいつか亡くなる以上、葬儀屋の需要がなくなることは今後も考えられません。

しかし家族だけでの小さな葬儀など、葬儀に対するニーズが多様化し、葬儀業界には変革が求められつつあります。

「葬儀屋」の仕事紹介

葬儀屋の仕事内容

葬儀をトータルで管理・進行する仕事

葬儀屋は、亡くなった方の遺体を管理し、葬儀のはじめから終わりまでの運営や進行に携わる人、あるいは企業のことです。

遺族から葬儀の依頼を受けると、まず家族と一緒に内容を確認し、葬儀の手配をします。

病院以外で亡くなった遺体の場合には、葬儀屋自身が遺体を清め、適切な管理を行うこともあります。

葬儀の種類は一般的なもののほか、社葬や家族葬、密葬などいくつかあるため、どんな形でお見送りをしたいのか遺族の希望を聞きます。

葬儀当日は会場準備や司会進行、そして葬儀終了後は場内の片付けといったように、残された家族の気持ちに寄り添いながらも、葬儀を責任を持ってトータルコーディネートします。

お客さまの多様なニーズに応えていく

葬儀の実際の流れは、葬儀の規模や地域のしきたり、宗派などによって多少異なります。

また、葬儀屋といってもさまざまな業務があり、現場のスタッフとして遺族と接しながら動き回る人もいれば、本社で営業や事務などの仕事に携わる人もいます。

近年では葬儀のニーズが多様化しており、個々のお客さまの細かな希望に対応する葬儀屋が増えています。

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葬儀屋になるには

葬儀会社への就職を目指すのが第一歩

葬儀屋になるための方法のひとつとして、葬儀業界を目指す人のための専門学校で学ぶ方法があります。

葬儀関連のカリキュラムは、ホテルやブライダル系の専門学校の学科・コースとして設置されていることが多いです。

葬儀屋の業務に必要な知識を身につけることはもちろん、就職活動のサポートも受けられるため、卒業後はスムーズに就職しやすいのが魅力です。

大手の葬儀会社は、毎年定期的な新卒採用を行うところも多く、業界内では待遇もよいため人気が出やすいです。

なお、葬儀屋の募集職種は「総合職」として一括で採用されることもあれば、「葬祭ディレクター」「セレモニースタッフ」「納棺師」などの名称で出されることもあります。

アルバイトや派遣から現場に入る方法も

葬儀屋を目指すうえで、専門学校に通うことが必須というわけではありません。

葬儀会社の求人は、一般的な求人サイトでも見られますし、学歴・経験が問われないことも多いです。

また、正社員のほか、アルバイト・パートや派遣社員など、さまざまな雇用形態での募集があります。

たとえば未経験の状態からアルバイトとしてスタートしたり、派遣会社に登録し、葬儀の司会業などの派遣を経験しながら葬儀業界にどっぷりと入る人、あるいはコネクションを使って葬儀屋になる人などもいます。

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葬儀屋の学校・学費

葬儀業界志望者向けの専門学校で知識やスキルを学べる

葬儀屋になるために、特別な学歴は必要ありません。

ただ、葬儀屋を目指す人向けの専門学校では、葬儀屋として働くうえで求められる多様な授業科目が用意されています。

たとえば以下のような授業があり、幅広く知識とスキルを身につけることができます。

・葬祭校内実習や接遇のマナー講座
・司会業務講座
・フラワーデザイン
・マーケティング
・衛生学
・葬祭の企画講習

専門学校によっては業界の認定資格である「葬祭ディレクター2級」を取得することも可能です。

なお、葬儀について学べる専門学校は、ホテルやブライダル系専門学校の「葬祭マネジメント学科」や「フューネラル学科」、あるいは「セレモニー専門学校」といった名称が多いです。

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葬儀屋の資格・試験の難易度

資格は必須ではないが、実力を証明する認定資格がある

葬儀屋として働くにあたって、資格は必須ではありません。

ただし、厚生労働省の認定制度として「葬祭ディレクター」という資格が存在しています。

この資格は、葬式を組み立てて作り上げる、いわば「葬儀のコーディネーター」を認定するもので、取得すると葬祭業界においての知識・技能のレベルが一定以上あると認められます。

葬祭ディレクターは「2級」と「1級」があり、2級は個人葬のプランニングが可能であることを、上級資格である1級を取得すれば、個人葬に加えて社葬までプランニングできる能力を持つことを証明できます。

葬祭ディレクターの受験資格

葬祭ディレクターの資格には受験資格があります。

2級は「葬祭実務経験を2年以上有する者」で、在学中のアルバイトなどの期間は葬祭実務経験年数に算入することはできません。

1級は「葬祭実務経験を5年以上有する者、また2級合格後2年以上葬祭実務経験を有する者」とされています。

実務経験者を対象としている資格のため、業界で働きはじめてから、ステップアップのために取得を目指す人が多いです。

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葬儀屋の給料・年収

勤務先のほか、職種や役職などによっても収入は変わる

葬儀屋の規模は、大手企業から中小の個人事務所までさまざまです。

一般的に大手のほうが収入はよい傾向にあり、平均年収は400万円台~500万円以上が見込めます。

ただし、職種や働く地域によっても多少の違いがありますし、管理職になるなどキャリアを重ねることでもっと多くの収入を得られる可能性もあります。

一方、中小規模の葬儀屋では、年収350万円~400万円台にとどまるケースもあるようです。

葬儀屋も、他の企業と同じような福利厚生がありますが、各社で内容が異なります。

大手企業は各種社会保険のほか、休暇制度、手当などが充実している場合が多いです。

葬儀屋として収入を上げるためには

葬儀屋として経験を積んだ人のなかには、独立して自分で葬儀屋を立ち上げる人もいます。

うまく各地域の需要をつかみ取ることができれば、年収1000万円以上も目指せます。

しかし、葬儀の数・ニーズが少なければ経営は苦しくなってしまうため、リスクもあり、大きな挑戦だといえるでしょう。

企業勤めの場合でも、実務経験を重ねて「葬祭ディレクター」の資格取得を得たり、「エンゼルケア」などに携われるようになったりすると、収入アップにつながることもあります。

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葬儀屋の現状と将来性・今後の見通し

競争は厳しいが、時代を問わず一定のニーズがある

人間が亡くなることは避けられないため、葬儀屋という職業は時代を問わず一定の需要がある仕事です。

ただし、最近は大手の葬儀事務所だけでなく、個人経営や家族経営の小さな葬儀屋が増加し、業界内での競争は激化しつつあります。

基本的にはお客さまの依頼ありきで動く仕事ですが、各社とも魅力的なサービス、他社にはないきめ細やかな対応などでの差別化が必要になっています。

また、最近では価値観の変化や核家族化の影響から、葬儀に大きなお金をかけない人も増えているため、葬儀屋にとっては厳しい状況といえます。

生き残りをかけ、時代のニーズに合わせたプランを打ち出せる人や、営業力を持った人が必要とされています。

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葬儀屋の就職先・活躍の場

日本各地に大小さまざまな葬儀屋がある

葬儀屋の就職先は、葬儀サービスを手掛けている葬儀会社です。

葬儀会社といっても、全国に店舗を展開する大手企業から、各地域・エリア中心で営業する中規模の会社のほか、家族経営の小さな会社までさまざまです。

また、葬儀の内容は、各土地の風習や習慣によっても変わってくるため「地域密着型」の葬儀会社も多いことが特徴です。

葬儀会社に就職した場合、本社で営業や事務などの職種に就く人もいれば、現場のスタッフとして葬儀の進行管理・運営に携わる人もいます。

葬儀屋の1日

日によって仕事の流れ、過ごし方は変わる

葬儀屋の1日の流れは、終日事務所にいる日もあれば、お通夜で現場に出る日もあるなど、日によって異なります。

基本的に葬儀の依頼はいつ入るかわからないため、葬儀会社は365日24時間稼働しているところがほとんどです。

正社員であれば土日祝日を含むシフト制勤務となり、早朝出勤や夜間の勤務がある職場もあります。

ここでは、葬儀当日のある1日の流れを紹介します。

8:30 葬儀・告別式会場準備
10:00 葬儀・告別式開始
11:00 出棺
12:30 火葬・お骨上げ
13:00 初七日法要・精進落とし
16:00 事務所へ戻る

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葬儀屋のやりがい、楽しさ

無事に故人をお見送りし、遺族に感謝されたとき

葬儀屋の仕事内容は、特殊だといえるでしょう。

たとえば遺体を運んだり、清めたり、死化粧をしたりといった亡くなった人のお世話は、葬儀屋でなければなかなか経験できることではありません。

葬儀の場では、悲しんでいる遺族を気遣いながらも冷静に事務的な仕事を進める必要があり、厳しく難しい仕事です。

しかし、精一杯に心を込めて取り組むと、遺族の方々からとても感謝されます。

無事に故人をお見送りすることができ、遺族の人たちからいただく感謝の言葉を聞いたときが、葬儀屋が一番やりがいを感じる瞬間です。

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葬儀屋のつらいこと、大変なこと

葬儀が立て込むと多忙な日々を送ることも

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葬儀屋に向いている人・適性

他のスタッフと協力し、真摯な姿勢で仕事に取り組める人

冠婚葬祭ビジネスは、人の人生に立ち入る仕事です。

どのような仕事でも真剣に取り組むことが大事ですが、とくに葬儀屋は、適当な気持ちで仕事に臨むことは決して許されません。

悲しみを抱いている遺族に寄り添って、真心を込めて自分の仕事に向き合うことが求められます。

また、この仕事はチームプレーでなければ成立しないため、ほかのスタッフと協力・連携しながら動ける人も適性があるといえます。

突発的な依頼が入ることもあるため、臨機応変な対応を苦にしない人に向いている仕事といえるでしょう。

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葬儀屋志望動機・目指すきっかけ

人と深く向き合い、人生の大切な1日をつくること

葬儀屋で働いている人がこの仕事を目指すきっかけは、さまざまです。

身近な人が亡くなって葬儀を経験し、そこで働く人の姿を見て葬儀業界で働きたいと考えたと話す人もいますし、接客業の仕事を調べているうちに自然と葬儀屋に興味をもったという人もいます。

また、最近では葬儀屋をテーマにした小説や映画を見たことがきっかけで、葬儀屋の仕事に興味をもつ人も増えているようです。

一般の人にはあまり知られていない葬儀屋の仕事ですが、「人と深く向き合う」「人生の大切な1日に関わる」という面があるからこそ、その部分に魅了されて葬儀屋を強く志す人も少なからずいます。

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葬儀屋の雇用形態・働き方

正社員のほか、アルバイトや派遣として働く人もいる

葬儀を専門に行う葬儀会社では、正社員として働く人もいれば、アルバイトやパート、あるいは派遣社員として働く人もいます。

葬儀ディレクターなど、やや専門的で難易度が高めの仕事は基本的に正社員が担当しますが、葬儀の現場での案内や誘導、配膳、設営、配送などの仕事については、アルバイトでも携わることができる場合があります。

葬儀業界に興味をもった場合、まずはアルバイトとしてこの仕事を経験するのもよいでしょう。

やや特殊な業界であり、厳しい面もあるからこそ、現場を経験し、きちんと続けられるか判断するのもおすすめです。

関連記事葬儀屋の働き方の種類とその特徴

葬儀屋の勤務時間・休日・生活

正社員のほか、アルバイトとして働く人もいる

葬儀会社の勤務時間は、一般的な日勤の仕事と同様、9時ごろから18時前後に定めている企業が多いようです。

ただし、通夜や告別式が入れば、早朝から夜まで仕事が続きますし、葬儀屋は人が亡くなるとすぐに駆けつけなければならないため、深夜でも仕事が入ることもあります。

そのため、多くの葬儀屋では当番制で夜勤の仕事を回しています。

休日は週休2日制であったり、不定期で月に6日程度であったりと会社によってまちまちです。

正社員の場合、必ずしも土日祝日に休めるわけではなく、不規則な勤務スタイルになる可能性が高いです。

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葬儀屋の求人・就職状況・需要

大手葬儀社が集まる都市部のほうが求人は多め

葬儀屋の求人情報は、各葬儀社の公式ホームページ、あるいは一般的な就職情報サイトや求人サイトに掲載されています。

人手を欲している企業は多く、求人を見つけるのは難しくないでしょう。

ただし、葬儀会社の求人数や求人内容は、都市部と地方でも事情が異なります。

都市部では、大手の葬祭専門業者や中堅の葬儀屋が定期的に社員を募集していますが、地方では家族経営の小さな葬儀屋も多いため、都市部に比べるとやや仕事が見つけにくい状況です。

ただし、地方でも冠婚葬祭互助会などがある地域では定期的な求人があります。

アルバイトから正社員を目指す道も

正社員の就職が難しい場合には、まずは葬儀屋でアルバイトし、実務経験をアピールして正社員を目指すのがよいでしょう。

会社によっては、アルバイトとしての働きぶりが認められれば、そのまま正社員雇用されるチャンスが得られることがあります。

またアルバイトであっても、葬儀の実務経験がある人は歓迎されやすいです。

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葬儀屋の転職状況・未経験採用

熱意や意欲があれば、別業界からの転職も可能

葬儀屋は、他業界と比較すると転職がしやすい職業です。

「人の死」という特別な場面に多く立ち会うことから、ある程度年齢を重ねた人生経験豊富な人材が求められる傾向にあり、転職者を積極的に受け入れる企業が多いようです。

年齢を重ねても働きやすいのは、葬儀業界の魅力といえます。

未経験者でも、営業職や接客・サービス業の経験、そして葬儀屋に対する強い熱意や意欲があれば、採用される可能性は十分にあります。

業界内での転職も積極的に行われ、優秀で有能な葬祭ディレクターは、他の葬儀屋からヘッドハンティングされることもあります。

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