神父・牧師の年収はいくら? 教会の収入源の仕組み、シスターの給料についても解説

神父(司祭)はカトリック教会、牧師はプロテスタント教会と、それぞれ所属先は違いますが、どちらも信者からによる献金によって生活しています。

決して高給とはいえませんが、神父・牧師ともにあまり贅沢をせずつつましい生活をしているため、お金に困ることはほとんどないようです。

この記事では、神父・牧師の収入事情について詳しく説明しています。

神父・牧師の平均年収・給料の統計データ

まずは神父・牧師の平均年収・給料について、各種統計データに触れながら説明します。

神父・牧師の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

神父の平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、神父の平均年収は、45.5歳で514万円ほどとなっています。

  • 平均年齢:45.5歳
  • 勤続年数:16.1年
  • 労働時間/月:171時間/月
  • 超過労働:2時間/月
  • 月額給与:347,400円
  • 年間賞与:974,500円
  • 平均年収:5,143,300円
  • 出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」

    神父の年収の推移_r5

    ※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
    ※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

    神父・牧師の給料はどれくらい?

    教区ごとに神父の給料は異なりますが、参考までに、都市部のある教区では、司祭(神父)の基本給与は15万円となっています。

    これを基に計算すると年収は180万円程度となりますが、神父は独身で、住居、水道光熱費、通信費などはすべて教会がカバーするため、生活が成り立つようです。

    プロテスタントの場合も所属する教派によって異なりますが、基本的には同程度となることが多いようです。

    神父の勤務先の規模別の年収(令和5年度)

    神父の年収は、勤務先の企業規模とあまり相関がないようです。

    10〜99人規模の事業所に勤める神父の平均年収は505万円、100〜999人規模は555万円、1,000人以上の規模では363万円、10人以上規模の事業所平均は514万円となっています。

    神父の年収(規模別)_r5

    上記グラフの基タイトルは「宗教家」で僧侶など他職業を含むデータです。

    賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

    神父の勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

    神父の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の738万円です。

    全年代の平均年収は514万円となっています。

    神父の年収(年齢別)_r5

    上記グラフの基タイトルは「宗教家」で僧侶など他職業を含むデータです。

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    神父・牧師の福利厚生の特徴

    神父・牧師の福利厚生は、一般企業のものとは少し異なります。

    神父・牧師が教会などで生活する場合、家賃や水道光熱費など生活に必要な費用は全て教会がカバーしてくれます。

    これにより、給料が低くても生活していくことができるのです。

    また宗派によっては、万一、教会からの給料が教派が設定した最低賃金に満たない場合、教会が所属する教区から補助金を出してくれることもあります。

    こうしたしくみを利用すれば、たとえ他の職業に比べて給料が低かったとしても、実際に生活する上で困ることはないでしょう。

    神父・牧師の給料・年収の特徴

    ここからは、神父・牧師の給料・年収について、より詳しく特徴を説明します。

    神父の給料

    カトリック教会は、教皇を頂点にしてまとまった単一の教派です。

    現在、日本のカトリック教会は地域別に16の教区に分けられて、教区ごとにひとつの宗教法人として管理されています。

    神父は宗教法人の職員とされており、神父の給料は各教会が所属する教区から支払われます。

    給与額は教区ごとに定められており、各教会ごとの収入の多寡に左右されないため、同じ教区内の神父は基本的に同額の給料を受け取れることになります。

    教区ごとに神父の給料は異なりますが、前述の通り基本給与は15万円程のところが多いようです。

    東京教区においては基本給与額が18.5万円となっており、立場によらず一律で支払われています。

    カトリックでは、基本的な思想が「清貧」を是としており、神父の給料も高給とはいえない金額となっています。

    清貧とは、無理に富を求めようとはせず、貧しい生活ながらも清らかな心を持っていること、私欲をすてて質素な生活をおくることです。

    こうした考えは修行の一部ととらえる人も多く、多くのお金を求めるよりも、キリスト教の教えを堅く守るために貧しい生活を受け入れているという人が多いです。

    牧師の給料

    プロテスタントの牧師の給料「謝儀(しゃぎ)」を巡る状況は、所属する教派によって異なります。

    プロテスタント教会は、カトリック教会とは違いさまざまなプロテスタント系教派に分かれています。

    全国に教会があるような大規模な教派の場合、原則的に牧師の給料は所属教会から支払われます。

    さらに、教会が運営する幼稚園園長などを務めている牧師の場合、園長としての給与も受け取れます。

    教派によっては牧師の住居費、水道光熱費などを所属教会が肩代わりするケースもあります。

    日本基督教団年鑑2012年版によると、大手教派の牧師の平均年収は、280万円弱となっています。

    神父・牧師の収入源は信者からの献金

    カトリック教会、プロテスタント教会の収入源は、どちらも信者からの献金です。

    柱になる献金は、月々の月定献金(維持費、教会費ともいう)、ミサ(礼拝)で集めるミサ(礼拝)献金です。

    献金以外の収入源には、結婚式・葬儀関連の謝礼、教会に併設した幼稚園・保育園、駐車場の利用などがあります。

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    教会のシスター・修道女の給料・収入はどれくらい?

    カトリックの修道女は「シスター」とよばれます。

    シスターは生涯未婚を貫き、私的な財産を持たず、キリスト教の教えに従い、修道院などで共同生活をしながら暮らしています。

    基本的には、シスターには給料が支払われません。

    修道院で生活するシスターは、自分たちが自給自足するために働いており、私的な金銭を持ちません。

    また修道院以外にカトリック系の学校で教員をして給料を得るシスターなどもいますが、こうした仕事で得た収入は、修道院やそこで暮らすシスターたちの共有財産となります。

    多くの場合は、必要経費を除き学校に返納するか修道院に寄付をしており、こうして得たお金から税金や保険などが支払われています。

    アメリカの神父の年収は?

    キリスト教が広く普及しているアメリカでは、神父や牧師は「権威ある地位」を認められており、日本と比べるとはるかに高い給料を得ている人も多いです。

    ある2014年の調査では、牧師の全米平均年収が4万9804ドル(約650万円)となっています。

    ほかの宗教職との年収の違い

    厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、僧侶(住職坊さん)の平均年収は、45.5歳で514万円ほどとなっています。

    多くの檀家を抱える場合は、高収入を得ている人も多いです。

    神主の場合、神社本庁が「どんなに収益のある神社であっても神職の給料の上限は月額60万円まで」という規定を定めており、300万円に届かない人もめずらしくないといわれています。

    月収にすると20万円から40万円前後になると考えられます。

    どちらの場合も神父や牧師よりははるかに高いですが、幼稚園や保育園の経営、学校の教師など、ほかの仕事をして生計を立てている人も多い職業です。

    神父・牧師が収入を上げるためには?

    神父・牧師の収入は、一般的な職業と違い、仕事量が増えたり経験を積んだりすれば給料が上がるしくみではありません。

    神父・牧師が収入を上げるには、信者を増やし献金を多くする方法がありますが、信者が減り高齢化している現在では、あまり現実的ではありません。

    そのため、副業やアルバイトをして収入を増やしている人が多いようです。

    幼稚園や保育園などを運営したり、学校や教育施設に出向いてキリスト教を教える講演をしたり、本を執筆したりするなどするなどさまざまな工夫をしています。

    「神父・牧師の年収・給料はどれくらい?」まとめ

    神父・牧師は、決して高い給料をもらえるわけではありません。

    そのため、収入を第一に考える人には、とても向いている職業とはいえないのが現実です。

    一般企業のように、仕事量が増えたり経験を積んだりしても給料は上がらないため、副業やアルバイトをする人もいます。