棋士の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介
棋士の仕事とは
棋士とは、日本将棋連盟に所属し、将棋の対局で報酬を得る人のことです。
業務内容はプロ棋士として対局で勝つことで、八大タイトル戦や公式戦を勝ち続け、成績上位を狙います。
対局がある日は1日がかり、もしくは2日にわたって対局が行われる場合もあるため、高い集中力とともに体力が必要です。
しかし対局は多い人でも年間70局もなく、平均では30局〜40局ほどとなるため、残りの日数は将棋の研究を行っています。
対局が増えて、優勝できれば年収アップも期待できますが、負け続けるとその分年収も下がってしまうので、この準備期間や熱心な研究が勝利のために大切だといえるでしょう。
ほかにも将棋の解説をしたり、各種イベントに参加したり、将棋教室で指導をするなど、多くの人に将棋を普及する活動も棋士の大切な仕事です。
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棋士の業務の内容
対局で勝つ
将棋棋士の本業は対局で、名人を頂点とするプロ棋士が所属するリーグ戦(順位戦)で対局を行い、名人を目指します。
ほかにもタイトル戦(棋戦)やトーナメント戦などに出場し、対局を行うことで対局料や賞金を稼ぎ、生計を立てているのです。
賞金で1番多いのは竜王戦で、優勝すればなんと4,400万円を受け取ることができます。(2020年現在)
対局料でも一局あたり数十万円になるものもあるため、棋士は将棋で勝ち続け、多くの対局の機会を得ながら優勝を目指すことが大切な仕事です。
将棋の研究
プロ棋士になっても、毎日対局があるわけではありません。
2019年度の実績では多い人でも対局数記録は67で、平均が30〜40ほどのようです。
2日に分けて行われるタイトルもあるので単純計算はできませんが、一般的には年間で対局がない日の方が多くなります。
そのため棋士にとって、将棋の研究を行うことが対局の備えとしてとても重要です。
多くの棋士は、有志で作った研究会などに所属し、日々研究や勉強の時間を確保しています。
将棋で勝たなければ対局の機会も増えませんし、対局料や賞金も入ってこなくなるため、日々の準備が大切です。
将棋の普及活動
プロ棋士が所属している「公益社団法人日本将棋連盟」は、「将棋の普及発展と技術向上、伝統文化の向上発展に寄与すること」を目的にしています。
つまり将棋の技術向上だけでなく、将棋をたくさんの人に広めるという活動も、棋士の重要な仕事のひとつなのです。
具体的には各種イベントでの指導対局やタイトル戦などでの解説、子ども将棋教室やアマチュア向けの大会、教室などを開きその運営にたずさわることもあります。
また近年では国際交流なども行っており、さまざまな形で棋士が関わることが可能です。
棋士の役割
棋士の役割は、将棋界を盛り上げることです。
将棋の原型は平安時代にはあったといわれており、日本人にとって国民的な娯楽として親しまれてきました。
棋士が対局で勝ち進んで優勝することは、歴史に名を残すことができるほか、将棋の伝統を守ることにつながります。
また対局が盛り上がって世間から注目を集めるほど、業界全体を盛り上げることにつながるため、社会的な役割も大きいといえるでしょう。
たとえば史上最年少の14歳でプロ棋士となった藤井聡太さんは、多くのメディアに取り上げられその対局が注目されました。
これまで将棋に興味がなかった人たちが目を向けるきっかけになったり、実際に将棋を始める子どもたちが急増し、減少傾向にあった将棋人口も増えつつあるなど大きなインパクトを残しています。
ほかにも多くの棋士がタイトル戦の解説や、講演、雑誌の投稿、街の将棋教室でアマチュアの人への指導、イベントで公開対局などさまざまな活動を通じて、将棋の魅力を発信しているのです。
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棋士の勤務先の種類
プロの棋士は、全員「公益社団法人日本将棋連盟」に所属しているため、勤務先の種類や違いはありません。
現在プロの棋士は男性のみで、現役・引退した人を合わせて人数は約200名です。
棋士になるには、満19歳以下で「奨励会」と呼ばれる棋士養成期間の受験に合格して入り、6級から三段まで勝ち進む必要があります。
三段では年2回の三段リーグがあり、三段リーグの勝者2名が四段となり、プロ入りすることができる厳しい世界です。
プロ棋士になると「竜王戦」「名人戦」「叡王戦」「王位戦」「王座戦」「棋王戦」「王将戦」「棋聖戦」の8つのタイトルと、7つの公式棋戦に出場することができます。
これらの対局で得られる対局料や、タイトル戦での賞金額で年収が決まる仕組みとなっており、勝ち続けると年収1,000万円以上稼ぐことも可能です。
以前は給与が支払われていましたが、現在は給与の支給はなくリーグ戦で確保されている対局数がその代わりとされています。
成績を残さなければ年収も下がってしまうため、棋士の中には将棋教室を開いたり、イベントで将棋の指導をするなど、そのほかの仕事も手がける棋士も多いようです。
棋士の仕事の流れ
棋士の仕事の流れは、対局がある日とない日でまったく異なります。
対局が多い棋士でも1年間に約70局しか戦わないため、平均すると週に1局あるかどうかです。
対局がある日は、前夜から対戦相手の戦法を分析し、丸一日対局に費やします。
対局場所はたいてい東京・千駄ヶ谷の将棋会館となるため、東京や東京近郊在住の棋士は当日の朝もゆっくりできますが、地方在住の場合は前夜から東京のホテルに宿泊するのが一般的です。
対戦相手が目上の棋士の場合は、先に入って入室を待ちます。
10:00から対局が開始となり、早ければ17:00に終わることもありますが、深夜になることも珍しくありません。
将棋にたいする情熱や才能はもちろん、数時間没頭できる集中力や体力が求められる仕事です。
対局のない日はほとんど自由で、仲間と研究会で戦法や棋譜の研究をしたり、将棋教室での指導を行います。
棋士と関連した職業
棋士と囲碁棋士の違い
囲碁棋士は、囲碁の対局を行うプロ棋士のことです。
仕事内容は将棋の棋士と同じように、囲碁を打って対局を行うほか、囲碁の普及活動も行います。
囲碁棋士になるためには「日本棋院」または「関西棋院」「中部棋院」に入院して研修を重ねた後、採用試験を受ける方法と、院生ではない人たちが外来予選を受ける方法の2つです。
棋士とプロゲーマーの違い
プロゲーマーは国内外のゲーム大会に出場し、優勝や上位入賞の賞金獲得をして生計を立てる人のことを指します。
仕事内容は大会出場のほか、ゲームの練習をすること、動画配信やメディア出演などさまざまです。
プロゲーマーになるのに資格はとくにありませんが、国内外のゲーム大会でよい成績を収めることが求められます。
日本での認知度はあまり高くありませんが、2022年のアジア競技大会では「eSports」がメダル種目として実施予定で、今後さらに発展が見込まれている職業です。