法務教官の需要・現状と将来性
法務教官の現状と需要
法務教官の仕事を理解するうえで、少年犯罪の現状について確認しておきましょう。
警視庁の公表する「少年育成活動の概況」によれば、2010年度の犯罪少年人数は85,846人でしたが、そこから年々減少し、2019年度は19,914人にまで減ってきています。
このように非行少年の全体数は減ってはいるものの、その犯罪内容は多様化をみせている点は課題といえるでしょう。
具体的には「万引きをする」「暴走族と一緒に暴走行為をする」「覚せい剤やMDMA(麻薬の一種)などの薬物に手を出す」など、少年たちが行う非行にはさまざまなケースがあります。
加えて、近年は「特殊詐欺」での検挙数も増えています。
特殊詐欺とは、電話やメールなどを用いて面識のない人をだまし、預金口座へ振り込みをさせるなどの方法によって現金をだまし取る詐欺の一種です。
たとえば「オレオレ詐欺」「架空料金請求詐欺」「還付金詐欺」などがこれに該当します。
以上が少年犯罪の大まかな現状ですが、これらは犯罪を直接取り締まる立場にある警察官だけでなく、非行に走ってしまった少年たちを更生させる法務教官にも大きく関わる内容です。
多様化する犯罪行為にともない少年たちが抱える心の闇も複雑化しており、あらゆるタイプの少年たちと真正面から向き合あえる、多様な経験を積んだ人材が法務教官として求められているのです。
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法務教官の将来性
少年犯罪をゼロに近づけていくために、少年法改正などによる「少年犯罪の厳罰」については日々活発な議論が繰り広げられています。
それと同時に、非行少年の再犯率を抑えることも重要な課題です。
前述のとおり非行少年の数自体は減少傾向にありますが、一度罪を犯した少年の再犯率は2019年度で34.8%と決して低い数字とはいえません。
非行少年が真に社会復帰を果たせるかどうかは、少年院における法務教官の教育方法や日頃の接し方などが大いに影響するでしょう。
そのような意味で法務教官の役割はますます重要度を増しており、平和な社会の構築に向けて今後もなくてはならない存在といえます。
法務教官の今後の活躍の場
少年犯罪自体が減少傾向にあることや少子化の影響などを考えると、法務教官の採用数が今後大幅に増えることは考えにくいでしょう。
しかしインターネットやSNSの発展によって、今後は少年犯罪の低年齢化や多様化がさらに進行していく可能性もあります。
同時にさまざまな心の闇を抱える少年が増えてきていることから、「少年たちの心に寄り添い、真っ向から向き合あえる法務教官」が必要とされています。
いったんは人生のレールから脱線してしまった少年たちをいかに社会復帰へ導いていくか、法務教官に求められる役割はけっして簡単なものではありません。
解決しなければならない問題は多くありますが、それだけ法務教官に対する世間からの期待も高まっています。