スポーツ科学(読了時間:4分18秒)

スポーツ科学の概要・理念

スポーツ科学とは、スポーツを通して人々が得られる効果や可能性について研究し、その知見を健康・体力づくりや競技の練習プログラムなどに還元することを目指す学問です。

スポーツに効果的に取り組むとともに、競技者として成果をあげ、怪我や故障のリスクを抑えるためには、スポーツそのものだけでなく人間の身体の状態や機能に関する医学的知識を身につけることも求められます。

また、スポーツにおけるパフォーマンスを適切に測定し、分析して活用していくためには、測定方法や分析の観点について科学的な見地から判断する必要があります。

スポーツ科学では、こうしたスポーツを取り巻く問題についてさまざまな切り口から考察し、そこから得た知見をトップアスリートの育成やサポートに役立てています。

トレーニング方法についても、科学的な分析に基づいて改善していくことによって、効果的に記録が伸びることが実証されています。

このように、スポーツと科学を融合させることにより、スポーツに取り組む上での効果の向上を図るとともに、怪我などのリスクを低減させることを目指すのが、スポーツ科学の目標の1つといえます。

スポーツ科学で学ぶこと

スポーツ科学で扱われる分野には、大きく分けると体育分野と健康分野があります。

体育分野では、競技の実技や体育心理学といった、実際にスポーツに取り組む際に直面する問題について考え、理解を深めていきます。

健康分野においては、運動することで心身にどのような影響があるかを考える運動生理学や、運動時の人体と栄養の関係について学ぶスポーツ栄養学などを学びます。

また、スポーツに取り組む人自身だけでなく、指導者の立場で関わる場合のコーチングに対する考え方や実際のコーチング技能についても、科学的な見地から考察していきます。

研究内容によっては、実際にアスリートのトレーニングに付き添いながら運動中の数値データを収集するなど、実験や演習を通じて知識を深めていくこともあります。

スポーツ科学の大学での授業科目の例

運動生理学

スポーツトレーニングに伴う生理的な現象や効果について、科学的な見地から分析していきます。

スポーツ栄養学

多くのエネルギーを消費するスポーツにおいて、運動に必要な栄養と人体への影響について考えます。

スポーツ医科学

競技者の身体能力強化や故障の予防、治療について、医学的な知識を含む科学的見地から研究します。

コーチング科学

年齢や性別がまちまちの競技者に対して、各々に適したコーチングを行うための方法論や技能について学びます。

体育心理学

練習や試合において生じる心理現象とその影響について、心理学的な見地から探求します。

スポーツ科学のレポート・テーマの例

スポーツ科学のレポートでは、競技やトレーニングにおいて直面するさまざまな課題の解決につながる知見から、スポーツの社会的意義に至るまで、幅広いテーマが取り上げられます。

レポートテーマによっては、実際にトレーニングの現場に立ち合ったり、数値分析のためのデータ収集に協力してもらったりすることもあります。

  • ・目標の有無と自主的なトレーニングの継続について
  • ・競技者のドーピング意識調査
  • ・学校の部活動における体罰とその変遷
  • ・日本人のBMIの変遷と痩身化現象について
  • ・心理的状況がスポーツパフォーマンスに及ぼす影響

スポーツ科学と関連する学問

スポーツ学ではスポーツそのものに焦点を絞って研究を進めることもありますが、大学によってはより幅広く健康的な体づくりや生活習慣についても研究対象としているケースがあります。

こうした場合、健康科学との区別はほとんどなく、近接した学問領域であると言えます。

怪我や故障から競技に復帰する過程においては、アスリートにリハビリテーションを施す必要があります。

リハビリテーションの効果的な実施方法や留意点については、リハビリテーション学の知見を参考にすることがあります。

スポーツ科学を学んで就職に有利な業界・仕事

スポーツ科学を学んだことで有利になる就職先としては、やはりスポーツに関連する業界や職業が中心になります。

たとえば、スポーツメーカーに就職を希望するのであれば、スポーツ科学で得た知見や教養を存分に活かすことができるでしょう。

スポーツ科学で得た知識をもとに、競技者のトレーナーや指導者として後進の育成に関わり、社会に貢献していくことも可能です。

また、スポーツや健康に関する研究開発に携わったり、スポーツジャーナリストとして活躍するなど、スポーツ科学の知見を活かせるフィールドは他にもたくさんあります。

ただし、スポーツ科学を学んだ人が全員スポーツ関係の仕事に就くとは限りません。

スポーツに直接関わらない一般企業に就職した場合も、スポーツマインドを活かして論理的思考やチームワークを重んじて活躍することができるでしょう。

このように、スポーツ科学を学ぶことで就職が有利になる業界・職種が存在することはたしかですが、そういった分野に限らずスポーツマインドをあらゆる仕事で活かしていくことができるのです。

スポーツ科学の知識は人生でどう役立つ?

高齢化社会においては、いかに健康な状態を維持しつつ長生きしていくかが多くの人の関心事となっていくと考えられます。

学生時代だけでなく、年齢を重ねてからも適度に体を動かして汗をかき、健康維持や増進に役立てることはますます大切な心がけになっていくでしょう。

その際、具体的なトレーニングの進め方や適切な運動量について科学的な知見を持っておくことで、効果的に運動できるだけでなく、怪我を未然に防ぎやすくなる効果が期待できるでしょう。

スポーツについて科学的な見地から考察した経験は、スポーツに取り組む全ての人に貢献できる汎用的な教養となるだけでなく、将来にわたって自分自身の健康維持・増進に役立つ知識となるはずです。

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