通信制大学の学費は? 通信制のメリット・デメリットは?
しかし、大学の中には「通信制大学」もあることをご存知でしょうか。
通信制大学は働きながら学びたい社会人など、幅広い年代の人々に注目されています。
通信制大学と通常の大学との違いはどんな点にあるのでしょうか。
通信制大学の仕組みや学費、メリット・デメリットについてまとめました。
通信制大学とは?仕組みと学費について
通信制大学は新しいものと思われがちですが、実は1947年に学校基本法で定められた歴史のある教育機関です。
令和2年現在、全国には44校の通信制大学と27校の通信制大学院が設置されています。
まずは通信制大学の基本的な仕組みと学費について見ていきましょう。
通信制大学と一般的な大学の違い
通信制大学が一般的な大学と大きく異なるのは、通学する必要がない点です。
オンライン講座をはじめとする放送・メディア授業や、教科書を自分で読みながら学ぶテキスト履修といった学習方法により研究を進めていきます。
オンライン講座にはインターネットで教員と双方向のやり取りをする方式のものもありますが、講座の動画を視聴する方式のものが多くなっています。
講座の動画を視聴するのであれば、通学型の大学とはちがって授業時間帯に制限がありませんので、自分にとって都合のよい時間帯に学ぶことができます。
そのため、働きながら大学で学びたい社会人で通信制大学を選択する人が多くなっているのです。
通信制大学の中には、通学制の授業も開講している大学があります。
オンライン講座を中心としながらも、定期的にキャンパスに通学して講義を受けるスクーリングと呼ばれるが授業が行われる場合もあります。
通信制大学の仕組み・学べること
通信制大学はキャンパスに毎日通学する必要のない仕組みの大学ですが、教育機関としては正式に大学として認められています。
所定の講義を受けて単位を取得することで、大学卒業資格を得られます。
通信制大学で学べることは、一般的な大学とほとんど変わりありません。
教員免許や司書、学芸員といった大卒資格が必須の資格も取得することができます。
ただし、大規模な実験施設を利用する研究など、施設・設備の面で制限を受ける学部・学科は通信制大学では受講することができません。
また、社会人など学ぶ目的が明確な人を想定している大学も多く、実用的な分野の学問を学ぶための学部・学科がよく見られるという特徴が挙げられます。
通信制大学の学費
学費に関しては、通信制大学は一般的な通学型の大学よりも安く抑えることができます。
具体的な学費としては、4年間でおよそ50万円から100万円程度までのことが多いです。
一般的な大学の場合、国立大学は4年間で200万円以上、私立大学で400万円以上の学費が必要になりますので、通信制大学の学費がいかに低く抑えられるかが分かるはずです。
学費を抑えられる理由として、大学の設備費や教員の人件費を抑えられる点が挙げられます。
また、講義を受けるにあたってキャンパスに通学する必要がないため、通学制の大学生活では必須となる交通費や転居費用も発生しません。
このように、通信制大学は一般的な通学制の大学と比べて学費を大幅に節減できるのが特徴です。
通信制大学のメリット
通信制大学には通学制の大学では得られないメリットがいくつかあります。
もともと通学することが困難な条件の人のために設置されたのが通信制大学ですので、通学という時間的・空間的な制約を受けないことで多くのメリットを得られるのです。
通信制大学に通うメリットとしては、主に次の3点が挙げられます。
一般的な大学よりも学費が安い
大学に通う場合、必要な学費をどのように準備するかは大きな問題の1つです。
一般的な大学では、授業料のほかに入学金や設備費、教材費用などがかかります。
通信制大学の場合、このうち必要となるのは授業料と入学金、教材費用です。
これだけを見ると設備費以外は通学制の大学と変わりがないように思えますが、入学金は2万円から10万円程度、授業料は年間で20万円程度と、一般的な大学よりも低く設定されていることがほとんどです。
一例として、東京通信大学・人間福祉学部の初年度納入額の内訳は、入学金20,000円、授業料180,000円、学籍管理料20,000円の計220,000円となっています。
同様の学問を通学制の大学で学ぶ場合の一例として、日本福祉大学・社会福祉学部では入学金200,000円、初年度授業料855,000円、施設維持費190,000円、諸経費84,660円の計1,309,660円となります。
これらの2大学を比べると、通信制は通学制のおよそ6分の1の学費で通えることが分かります。
大学入学資格があれば入学試験は行われない
通学制の大学に入学するには、入学試験を受けて合格する必要があります。
国公立大学であればセンター試験や二次試験を受け、合格基準点以上を取らなくてはなりません。
これに対して、通信制大学ではいわゆる筆記試験は行われません。
高校卒業資格(高卒認定も含む)を取得していることが出願条件となりますので、これを満たしていれば基本的には書類審査のみで入学することができます。
通信制大学の中には、このほかにレポートの提出や面接を実施しているところもあります。
いずれにしても、通学制の大学に入学しようと思えば受験勉強をする必要がありますが、通信制大学の場合は少なくとも入試突破を目的とした勉強に取り組む必要はありません。
働きながら学ぶこともできる
現代は平均寿命が伸びつつあり、現役で働く期間も昔と比べて長くなっています。
そのため、一度大学を卒業して働き始めた人も、再び大学で専門的な知識・教養を身につけ、キャリアに生かしたいと考える人は増えています。
しかし、通学制の大学に通うとなると時間の制約がどうしても生じてしまうのがネックとなります。
夜間に授業を行う大学もあるとはいえ、仕事を終えて時間通りに毎日講義に出席するとなると、社会人にとって負担になっていまうことも多いでしょう。
通信制大学は基本的には通学の必要がありませんので、自分にとって都合のよいペースで学ぶことができます。
働きながら時間を見つけて学びたい人にとって、この仕組みは大きなメリットとなります。
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通信制大学のデメリット
さまざまなメリットを得られる通信制大学ですが、一方で通信制に特有のデメリットもあります。
裏を返せば、通学制の大学で得られるはずのメリットが通信制であることによって得られなくなるケースが出てくるわけです。
通信制大学を検討する場合は、次に挙げる2つのデメリットについてもよく理解した上で決める必要があります。
自宅での自学自習が基本となる
通学制の大学であれば、講義に出席し教員から直接指導してもらうことができます。
分からないことや疑問に感じることが出てきた場合は、教員に質問するなどして解決することも可能です。
しかし、通信制大学は自宅での自学自習が基本となりますので、マンツーマンによる指導は受けられないのが原則です。
大学によっては定期的なスクーリングの際に質問を受け付けてもらえる場合もありますが、毎回の授業ごとというわけにはいきませんので、やはり基本は自学自習と考えたほうがいいでしょう。
また、オンライン受講では同じ講座を受講した人の反応が見えないため、自分が受講している内容がどの程度の難易度なのか、周囲の学生の様子から伺い知ることができません。
わからないことが出てきても、自分で調べるなどして解決することが求められます。
入学しやすいが卒業するのは難しい
通信制大学は受講するタイミングや時間帯が自由であるのは大きなメリットですが、この自由度の高さがデメリットにもなり得ます。
授業を受けるペースや時間数を自分で管理し、4年間のカリキュラムを自分でしっかりとこなしていかなくてはなりません。
通信制大学に入学試験がないのは前に触れた通りですが、入学しやすい反面、きちんと卒業できる人ばかりではありません。
4年間でカリキュラムがこなし切れなければ、5年、6年と在学期間が延びていくことになります。
とくに働きながら通信制大学に通っている人の中には、仕事が忙しい時期が続くと大学での勉強に手が回らなくなり、結果的に卒業をあきらめてしまうこともあります。
入学しやすいものの卒業するのは至難の業となるのが、通信制大学のデメリットといえます。
この記事のまとめ
通信制大学には学費の安さや学ぶタイミングの自由度の高さなど、多くのメリットがあります。
一方で、通信制ならではの自由度の高さや自学自習を基本とする学習スタイルがネックとなることもあり得ます。
学ぶ機会を多くの人が得られる点で、通信制大学は優れた選択肢の1つといえます。
ただし、学び続け成果を挙げるには相応の努力も必要となることは肝に銘じておく必要があるでしょう。
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