公務員の臨時職員・非常勤職員とは? 違いはある?【 副業・最新の法律改正も詳細解説】

「臨時」や「非常勤」で働くことを、世間では一般的に「非正規」と呼んでいます。

そんななか、ここ最近では公務員の非正規化が進み続け、実に地方公務員の約3分の1は非正規職員と発表されています。

公務員といえば、安定して長く働き続けられるものと考えられがちですが、今回は、公務員のなかでも正規職員とは立場が異なる臨時職員や非常勤職員に焦点を当てて、その特徴について紹介していきます。





臨時職員・非常勤職員とは?違いはある?

非常勤職員・臨時職員

 

臨時職員・非常勤職員とは、公務員として働く非正規職員のことです。

主な特徴は以下の通りです。

臨時職員・非常勤職員の特徴
  • 臨時職員:緊急の場合に雇用され、期間は原則6か月以内でフルタイムが多い
  • 非常勤職員:専門知識を持ちフルタイムではなく副業も認められていることが多い

どちらも正規職員以外の公務員という立場ですが、働き方が異なります。

詳しく見ていきましょう。

臨時職員とは

臨時職員とは
  • 正規職員が一時的に欠けるなど緊急・臨時の採用
  • 任用期間は6か月が基本
  • 地方公務員法の適用により副業は禁止

公務員の臨時職員とは、正規職員が一時的に欠けるなどの緊急の場合や、臨時の職がある場合などに採用される人のことをいい、地方公務員法22条に基づいて任用されます。

臨時職員の任用期間は基本的に6ヵ月ですが、場合によっては一回の更新があり、最大で1年間勤務することが可能です。

ただし、実態としては1年間が過ぎたのち、一定の空白期間をもうけて再度雇用するケースもあるようです。

臨時の場合、一時的にではありますが、正規の公務員とほぼ同等の立場で働くことになります。

地方公務員法が適用されるため、副業は禁止といった決まりがあります。

非常勤職員とは

非常勤職員とは
  • 専門知識が必要とされる非正規の公務員
  • 任用期間は1年以内が基本だが自治体による
  • 1週間のうち決まった日や時間に勤務

公務員の非常勤職員とは、定期間に専門的知識を要する職員を必要とする場合に雇用される職員であり、地方公務員法上の特別職の地方公務員です。

一週間のうち決まった日や時間のみ勤務することが多いようです。

非常勤職員に関する条例は自治体によって異なっており、任用期間は一年以内と定められているところもあれば、それ以上のところもあるなどまちまちです。

なお、非常勤では副業が認められているケースが多いようです。

臨時職員と非常勤職員の違いは?

公務員の臨時職員・非常勤職員の違いをまとめると以下の通りです。

臨時職員 非常勤職員
勤務形態 基本的にフルタイム 週の決まった曜日・時間
雇用期間 原則6か月 原則1年だが自治体による
副業 不可 可のことが多い
仕事内容 正規職員の補助業務 専門知識が必要
ボーナス 基本的になし 基本的になし

どちらも、非正規の公務員として自治体ごとに決められた条例によって働き方が決められている点では同じです。

一方で、副業や勤務時間に関しては働き方に違いがあります。

非常勤職員は掛け持ちで仕事をしている人も多くなっています。

臨時職員・非常勤職員と派遣社員の違いは?

派遣社員とは、人材派遣会社に登録して働く非正規社員のことです。

派遣社員も公務員が働く役所などに、人材派遣会社から派遣されることがあります。

派遣社員は臨時職員・非常勤職員などと同じく非正規の雇用ですが、民間の派遣会社に雇用されています。

一方、臨時職員や非常勤職員は公務員と同じく、自治体などから任用されていると言う点で派遣社員とは異なります。

臨時職員・非常勤職員の仕事と給与・待遇

 

 

臨時職員や非常勤職員は公務員と同じ職場で働くことになり、仕事内容は様々です。

仕事内容の例や一般的な給与やボーナスなどの待遇について、令和2年4月改正の最新情報を含めて解説します。

臨時職員・非常勤職員の仕事内容

臨時や非常勤で働く公務員の代表例は、自治体の役所で働く一般事務職員です。

一般事務職員の仕事内容の例

  • コピー取り
  • パソコンを使った資料作成
  • 事務用品の管理など

一般事務職員として働く場合は、上記のような正規職員の補助業務が中心となります。

市役所や区役所の他にも、以下のような職場があります。

臨時職員・非常勤職員の仕事場の例

  • 自治体の保育所で働く保育スタッフ
  • 図書館の職員
  • 学童保育室のスタッフ
  • 消費者生活相談員
  • 小中学校の教員・講師

さらに、専門の資格を活かして働く場合には、公立学校で勤務するスクールカウンセラー臨床心理士)や、保育園の保育士といった仕事があります。

臨時職員・非常勤職員の給与・ボーナス

臨時職員や非常勤職員の給料は日給月給である場合が多く、一般的な公務員に比べてその水準は決して高くないとされています。

ボーナスの支給は基本的になく、年収にして200万円に満たない人も少なくないようです。

勤務日数が限られており、フルタイムで働きたくても働けないこともあります。

ただし、臨時や非常勤といっても活躍の場は多岐に渡るため、職場環境はまちまちです。

配属先によって業務量や業務時間が正規職員とほぼ同等であったり、忙しい時期には残業を頼まれたりすることもあるようです。

また、公務員の魅力のひとつである共済制度や充実した福利厚生も、基本的には適用されません。

ただし、臨時職員の場合、一定の条件を満たせば共済組合員になることは可能です。

臨時職員・非常勤職員の待遇改善の流れ

2020年(令和2年)4月に施行される法律によって、現在の臨時職員・非常勤職員は基本的に「会計年度任用職員」として任用されることになります。

これまでは、臨時職員・非常勤職員の採用を行う条件や労働条件は自治体ごとにばらばらであいまいな状態でした。

自治体によっては非常に安い賃金しか払われず、ワーキングプアとなっている人もいることが問題になっていました。

今後は、会計年度任用職員として採用されるようになり、地方公務員法が適用されます。

同一労働・同一賃金の観点から、正規の公務員と同じ基準で給与やボーナスが決められるようになり、待遇改善が期待されています。

一方で、服務規定が適用されることになるため、副業の禁止政治活動の禁止などがより厳格になります。

2020年4月から適用される法律のため、今後どのように対応がなされていくのかを見守る必要があるでしょう。

臨時職員や非常勤職員になるには

臨時職員、非常勤職員いずれを目指す場合でも、それぞれの選考試験を受けて、任用される必要があります。

募集要項は、自治体のホームページや広報誌のほか、まれにハローワークで求人が出されることもあるようです。

なお、募集は欠員があった際などに不定期で出されることも多いです。

募集職種も自治体や時期によって異なるため、こまめな情報チェックをしていくことをオススメします。

臨時職員・非常勤職員から正規職員へのステップアップは可能?

臨時職員や非常勤職員から、正規職員を目指していくことは可能です。

ただし、臨時職員や非常勤職員の経験者でも、正規職員になるうえで特別に優遇されることはなく、他の受験生と同様に公務員採用試験を受けて合格し、採用される必要があります。

一度でも臨時や非常勤を経験すれば、面接等で公務員の仕事についてよく理解したうえで志望動機を話せるといったメリットはあるかもしれませんが、合格が保証されるものではありません。

実際、臨時や非常勤として働きながら、公務員採用試験への合格を目指して勉強を続ける人も少なくないようです。

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臨時職員・非常勤職員とは?違いはある? | まとめ

 

臨時職員・非常勤職員の特徴
  • 臨時職員:緊急の場合に雇用され、期間は原則6か月以内でフルタイムが多い
  • 非常勤職員:専門知識を持ちフルタイムではなく副業も認められていることが多い

臨時職員・非常勤職員はどちらも公務員として働く非正規職員のことです。

しかし、それぞれ働き方や副業の可否などに違いがあります。

2020年4月に適用される法律では、今後採用される臨時職員・非常勤職員は「会計年度任用職員」となり、待遇改善が期待されています。

この記事のまとめ

臨時職員や非常勤職員でも他の公務員と同じ環境で働くことができますが、実態としては、正規職員とは待遇面などでだいぶ異なる面もあるため、注意が必要です。

なお、臨時や非常勤に関しては各自治体の裁量に任せられている部分が大きいため、採用や勤務要件等に関する詳細は事前に確認しておくことが望ましいでしょう。

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