広告業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説

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広告業界とは

広告業界は、企業が自社商品やサービスを多くの人に知ってもらうために行う広告活動を請け負う業界です。

一昔前は、新聞広告や、テレビコマーシャル、雑誌広告、ラジオ広告、駅や街中での交通広告が主流でしたが、近年はインターネット広告の市場が拡大しています。

特に、スマートフォンなどに配信される、モバイル広告や動画広告、SNS広告など、新しい技術を活用した広告配信の市場が急速に拡大しています。

インターネット広告は、テレビなどのマスメディア広告よりも比較的安価に制作でき配信できるので、今後も需要が伸び続けていくと予想されデジタル広告を取扱う企業も増えています。

そのため、従来のマスメディア広告の売上は減っている状況ですが、デジタル広告の伸びによって全体の広告売上げは増えている状況です。

どんなに良い商品やサービスであっても、知ってもらわなければ収益につながりにくいため、企業にとって広告活動は必要不可欠なものです。

今後も、配信方法がマスメディアからデジタルに移管しつつも、市場は減少することなく一定規模を保って成長していくと予測されています。

広告業界の役割

広告とは、企業の商品、サービスなどを広く世間に告知し,購買欲を促進するためのコミュニケーション活動全般を指しますが、広告の役割は時代とともに変化してきたといえます。

高度経済成長期やバブル期には、旺盛な消費意欲を掻き立てるきっかけとして、バブル経済の終焉後は落ち込んだ消費欲を刺激する役割がありました。

近年は、インターネットやスマートフォンなどのデジタルデバイスの普及により、企業だけでなく消費者もSNSなどを通じて、情報発信を容易に行うことができるようになりまし
た。

この状況の中での広告の役割は、商品の魅力を伝える情報発信の機能だけにとどまらず、消費者との双方向のコミュニケーションツールとしての役割を担っています。

また、広告で発信されるメッセージは、購買意欲だけでなく社会に影響を与えるトレンドになることがあり、私たちの価値観に影響を与える可能性があるという意味で、生活に密接に関係しています。

広告業界の企業の種類とビジネスモデル

企業が広告の出稿を決めてから、それが発信され、私たちが目の当たりにするまでには、さまざまな役割を果たす企業が関わっています。

この章では、広告出稿までの各プロセスに関わる企業の役割を解説します。

広告代理店

広告代理店は、広告業界の中で中心的な役割を果たします。

広告を出稿したいと考えている企業、広告を制作する企業、広告を発信する各種メディア企業、それぞれの橋渡し役を担います。

企業が広告を行う場合、どのような広告を、どのメディアで、どのように発信すればいいのかをまず決めなければいけませんが、これには専門知識が必要になります。

広告代理店はこれらのプロセスを企業に代わって、代理で行います。

広告代理店の代表的な企業は、株式会社電通、株式会社博報堂、株式会社ADKホールディングスなどがあります。

広告制作会社。セールスプロモーション会社

 
広告代理店にて広告戦略が組み立てられた後は、制作のプロセスに入ります。

広告代理店が自ら制作する場合もありますが、すべての作業を1社で行えるとは限りません。

そのような場合に、必要となるのが広告制作会社やセールスプロモーション会社です。

映像を制作したり音楽を付けるなどを制作会社が行い、広告と連携した販促イベントを企画実行するのがセールスプロモーション会社です。

広告制作会社の代表的な企業は、株式会社AOI Proや株式会社東北新社があります。

これらの企業は広告代理店から案件を受注するだけでなく、広告主から直接依頼されることもあり、ビジネスモデルは流動的であることを覚えておきましょう。

各種メディア媒体企業

 
各種メディア媒体企業とは、テレビ、雑誌、新聞、ラジオなどが該当します。

各種メディアは、番組や記事などの媒体に、広告枠を設けており、それを広告主である企業に販売することで、収益を得ています。

しかし、数ある広告枠を、毎回企業に販売するのは非常に手間が掛かりますので、販売は広告代理店が請け負うのが一般的です。

メディアの代表的な企業は、日本テレビ放送網株式会社、株式会社フジテレビジョンなどのテレビ局、株式会社朝日新聞、株式会社日本経済新聞社等の新聞社などがあります。

広告業界の職種

広告業界では、プランニングから広告出稿までに、さまざまな職種の人たちがかかわることになります。

この章では、広告業界の特徴的な職種をご紹介します。

プランナー

広告を行う際に、どのような広告が効果的かを調査する職種です。

市場分析やマーケティングリサーチを行い、ターゲットユーザーを想定し、広告が広く認知される方法を考える役割を果たします。

分析結果から効果的な広告戦略を立案しますので、ロジカルに物事を考えて施策を組み立てることが得意な人が向いている職種です。

クリエイティブ

プランナーが企画した広告プランにそって、それを実際の映像やメッセージなどに落とし込み、広告を形にする役割を担います。

広告したい内容を表現する仕事ですので、クリエイティブな能力やセンスが重要となる職種です。

完成した広告が社会的に影響を与えたり、名作として語り継がれる場合もあり、広告業界の中では、花形の職種といわれることも多いです。

メディア

  
テレビ局や出版社など、実際に広告を流すメディア企業との関係性を構築し、制作した広告を希望通りの広告枠で流してもらうように、調整を行う職種です。

広告内容を魅力的に提案するだけでなく、普段からコミュニケーションをとり、良い関係性を構築することが重要となります。

そのため業務内容としては、営業職と近い内容となっていますので、人と話すことが好きだったり、コミュニケーション能力に自信がある人が向いています。

営業

  
広告業界で最も人数が多い職種といわれています。

広告を出稿したいと考えている企業を探し出し、広告プランを提案、信頼関係を構築し広告出稿の具体的なプランを話し合います。

広告会社は、広告主から案件を受注し、広告制作に関わる業務を代理で行うことでお金を貰いますので、広告主となる企業を見つけ出さなければ話が始まりません。

そのため、収益源となる企業を発掘し、関係性を構築する重要な職種となります。

広告業界のやりがい・魅力

広告業界のやりがいは、なんといっても、自分が関わった広告が世の中に出て、人びとの目に触れる瞬間を味わうことにより、達成感を感じることができる点です。

特に、自分が関わった広告の効果により、商品の購入が増えたり商品の知名度が上がるなど、結果が目に見えてわかる点もやりがいにつながります。

また、広告のキャッチフレーズが社会現象となったり、映像が後世まで残る名作となる可能性もあるなど、人の感情に訴えかけるクリエイティブで芸術的な側面もある仕事です。

広告業界の平均年収は、570万円~670万円といわれています。

ただ、広告業界に属する企業は大中小さまざまな規模の企業があり、職種や雇用形態も多様で年収の幅も大きいため、平均年収はひとつの目安として理解しておきましょう。

広告業界の中心的存在である広告代理店の大手企業となりますと、平均年収が1000万円を超える企業もあり、好待遇であることがわかります。

また、このような大手企業は、給与だけでなく福利厚生も充実していることから、毎年多くの就活生が採用試験を受験しており、就職活動人気企業ランキングでも常連となる競争率の高い企業でもあります。

一般的に、広告主の会社の業績が悪化したり、景気が下向きになってくると、広告出稿を抑制しようと考える傾向が強くなり、広告業界の業績に影響を及ぼすことがあります。

しかし、企業と広告活動は切っても切れない関係性のため、急激に広告業界の市場が悪化するということは考えづらく、今後も一定規模の市場を保ち成長してく業界であるといえます。

広告業界に就職するには

就職の状況

広告業界は、就職活動を行う学生から不動の人気を誇っています。

そのため、多くの学生が応募するので競争率が高い状況が続いています。

毎年、定期的に新卒採用を行っており、大企業は多くの学生を採用しています。

しかし、有名な企業であればあるほど応募する学生が非常に多いことも理解して、就職活動の準備をしっかりと行いましょう。

また、華やかな雰囲気があり、クリエイティブな感性を求められる仕事が多いイメージの広告業界ですが、地道な作業も多く体力や忍耐力が必要な業務もあります。

しっかりと業界や企業の研究を行い、実際の仕事内容がどのようなものであるのかを、理解しておくことも重要となります。

就職に有利な学歴・大学学部

広告業界に就職するために、必ず必要になる資格やスキル、専門知識は特にありません。

そのため文系や理系を問わずに採用されています。

多くの広告企業では、職種を限定しない「総合職」で採用し、入社後の社内教育などで適性を加味して配属部署を決定する方法をとっています。

ただ、可能であればマスコミ学、メディア学、デザイン、映像などを選考し、広告業界とそれに関連する学問を学んでおくと、入社後に基礎知識を学ぶ段階で役立つでしょう。

また、映像、音楽を制作する広告制作会社などは、制作に関わる職種を即戦力の人材として採用する場合もあり、映像やCG制作の専門学校を卒業し、スキルを身に着けておくと有利になる場合もあります。

就職の志望動機で多いものは

広告業界の志望動機として多いのは、

・広告主が消費者に伝えていきたい商品やサービスの魅力を的確に理解し、それを心に訴えかけることができる映像や音楽として表現し、世の中に送り出していきたい。
・商品の良さを、広告を通して多くの人に知ってもらい、その商品を利用してもらうことで、人の生活を豊かにする手伝いをしたい。

などがあります。

広告主の思いを、映像などで表現し、多くの人にその良さを広めていきたいなど、クリエイティブな業務に関わる機会が多い広告業界ならではの志望動機が多いです。

業界に対しての志望動機のほかに、なぜその企業に入社したいのかを具体的に説明できるように、企業研究もしっかり行い、志望動機を組み立てましょう。

広告業界の転職状況

転職の状況

広告業界の転職求人は、不定期ですがあります。

特に、最近広告の需要が増えてきているデジタル広告を専門に扱う企業の求人は、経験者を中心に求人がある状況です。

また、広告代理店でもデジタル広告分野の事業を強化している状況にあり、経験者を中心に一定数の求人があります。

今後も、広告需要が急激に減るということは考えにくいため、一定数の求人需要が見込める状況が続くでしょう。

転職の志望動機で多いものは

転職の志望動機として多いのは、

・これまでの広告業界での経験を活かして、より大型のプロモーション企画に携わりたいと考え、大手広告代理店への転職を決意した。
・新聞や雑誌などの出版系の広告企業で就業していたが、今後増加するデジタル広告分野のスキルを強化したいため、転職を決意した。

などがあります。

今までのスキルを基礎に、さらにビジネスマンとしてスキルアップするための、転職を決意する人が多いようです。

転職で募集が多い職種

中途採用で募集が多い職種は、デジタル広告を出稿するための、Webマーケティングに関連する職種です。

近年、デジタル広告分野の強化を各社が行っていると前述しましたが、この分野での専門人材を確保するための募集を各企業が行っているためです。

また、営業職も募集が多い職種です。

数ある広告主に対して関係性を構築し、広告出稿の提案を行う営業職は、高いコミュニケーション能力が必要となるため、中途採用で人材を確保する動きがあります。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

広告業界への転職は、同業他社での経験があると有利になる場合が多いです。

採用時の条件として、広告業界に関しての基礎知識や商慣習を理解していることが重要と考える企業が多いためです。

しかし、未経験者を対象とした求人が全くないのかというと、そうではありません。

未経験者の募集の場合は、25歳以下の第二新卒をなどの若手をターゲットとした求人は一定数ありますし、「営業職」の募集の場合は、異業種での営業経験者を募集している場合があります。

広告業界の有名・人気企業紹介

株式会社電通

世界の広告企業の中でも上位に入る大手広告代理店で、東証一部に上場しています。

創業以来、広告業界を牽引する存在でテレビやラジオ、新聞などの大手メディアとの関係性を盤石に築き、現在の地位を築き上げました。

豊富な資本力を背景に、近年はイギリス、中国、カナダの広告企業も買収するなど、グローバルな展開を強化しています。

株式会社電通 ホームページ

株式会社博報堂

 
電通と並び、日本の2大広告代理店として知られる総合広告代理店です。

センスの高い広告を出稿することに定評があり、国内外で数々の賞を受賞しています。

また、市場規模が拡大しているデジタル広告分野で、国内ではサイバーエージェントに次ぐ2位のシェアを獲得しています。

加えて、海外展開も積極的に行っており、国内外での事業展開を行っているグローバル企業です。

株式会社博報堂 ホームページ

株式会社ADKホールディングス

業界3位の地位を確立する、総合広告代理店で、東証入部上場の企業です。

アニメーションを積極的に用いた広告を展開したり、外資系の高級ブランドのラグジュリーな広告を多く出稿しています。

また、多くの国民的キャラクターの版権を持っているという強みもあります。

例えばドラえもん、クレヨンしんちゃん、ワンピースなどがこれに該当しますが、これを他の企業が使用する際にライセンス料をADKに支払う必要があり、ADKにとっては1つの収益源となっています。

株式会社ADKホールディングス ホームページ

広告業界の現状と課題・今後の展望

広告業界は、インターネットの発展によるデジタル広告の振興や、企業の海外進出によるグローバル化の加速など、業界の勢力図が日々変化している業界です。

一昔前は、テレビやラジオのコマーシャルや、新聞広告が、大きな影響を持ち、情報発信力がありました。

企業も、これらのメディアで巨額の制作費を費やして、自社商品やサービスのアピールを行うのが一般的でした。

しかし、インターネットの普及により双方向のコミュニケーションが可能となった現代では、情報を視聴する消費者もスマートフォンなどのデジタルデバイスを使用して、情報発信を行うことが可能となりました。

そのような状況下では、アドテクノロジー(広告の配信効果の最大化を目的とし、最適な人や時間、場所に広告を配信すること)の発展が目覚ましく、個人の好みに合わせた広告を配信する技術も日々進化しています。

大手の広告代理店は、マスメディアに強いパイプを持っている企業が多いですが、今後はマスメディアでの広告は減少傾向となると予測されており、収益の柱をこれらに頼ることができない状況となっています。

そのためアドテクノロジーを駆使した、デジタル広告の出稿に関しても事業を強化している状況です。

今後も、デジタル広告の市場は拡大し続けるため、この分野での人材確保をしようとする動きも加速するでしょう。

同時に、少子高齢化でモノを消費したり、購入する量が減少してく日本ではなく、海外の市場に参入し事業を展開してく動きもますます加速していくと考えられます。

広告業界は、時代の流れや変化を敏感に感じ取り、日々進化していく業界ともいえます。