ドラッグストア業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





ドラッグストア業界とは

コンビニストアと同じように、あると便利なお店として認知されているドラッグストア。

薬に特化しているので、コンビニとは明確に差別化できている一方で、日用品も広く扱い、安売り品なども取りそろえていることから、安定した売上を誇る業界でもあります。

しかも、医薬品の利益率は高く、国内の高齢化による需要の増加が考えられることから、将来性も他と比べて明るい業界だといえるのです。

もっとも、国内の市場自体は飽和しつつあると考えられており、順調に売上を伸ばしてきている今の流れも鈍化してくと考えられいるのが実情です。

また、すでに多くの企業が参入しており、全国で新規出店を競い合っていることから、再編や合併も多く、競争環境は今後も激しいと予想されています。

平均年収は、ランキング上位の企業においては比較的高く、実際2018年から2019年にかけてトップの平均年収だったクリエイトSDHDは、1,000万円を超えています。

ただし、ドラッグストアには薬剤師が就職することも多く、一般的に薬剤師の給与の方が高く設定されることを忘れてはいけません。

他の小売業界の企業と比べて、ドラッグストアの年収が著しく高いとわけではないと理解しておきましょう。

ドラッグストア業界の役割

ドラッグストア業界の代表的な役割は、一般医薬品(処方箋なしに購入できる医薬品)を販売することで、消費者と医薬品を結びつけることだといえるでしょう。

一部の一般医薬品はネット通販でも気軽に買えるようになっています。

しかし、パソコンやスマートフォンを持ち合わせていないにも関わらず、医薬品を必要としている高齢者のことを考えると、実店舗のドラッグストアが果たしている役割は大きなものでしょう。

また、調剤薬局が併設されており、処方薬が出せるケースも多々あり、医療提供の場としての機能を果たしているドラッグストアも多いです。

ドラッグストアは、医薬品の他にも食品や日用品、店舗によっては生鮮食品などもあつかっていますから、小売店としての役割も果たしています。

普段は日常的な買物をしつつ、予防や軽い病気のときは一般医薬品が買え、病院に行ったときには処方薬が買えるという、身近で便利な小売店という社会的な役割を果たしているといえるでしょう。

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ドラッグストア業界の企業の種類とビジネスモデル

ドラッグストアの店舗面積で、ビジネスモデルが大別されており、代表的な種類は以下のとおりです。

・メガドラッグストア
・スーパードラッグストア

また、上記の分類とは別に、ナショナルドラッグストアとよばれるドラッグストアの広域連合もありますので、上記とあわせて紹介します。

ナショナルドラッグストア

競争が激化しているドラッグストア業界では、業務・資本提携やM&Aがすすんでおり、複数のドラッグストアによる大きなグループが形成されています。

過去には中堅規模や地方レベルのドラッグストアが複数連携してグループを形成しているケースもありましたが、現在では大手企業が取りまとめているケースがほとんどです。

代表的なナショナルドラッグチェーンと参加企業は、以下のとおりです。

・パピコム:イオン、ツルハホールディングス、ウエルシアホールディングスなど
・マツモトキヨシグループ:マツモトキヨシ、ぱぱす、弘陽薬品など
・富士薬品グループ:富士薬品、セイムス、スマイルドラッグなど

メガドラッグストア

店舗面積が600㎡以上と大きく、医薬品はもちろん食品や日用品をふくめた商品を取りあつかっており、日常のいろいろなシーンを支えてくれるドラッグストアをメガドラッグストアといます。

所属している薬剤師やスタッフの方も健康食品や美容商品、一般的な食品にいたるまで幅広い知識をもっており、総合的な悩み相談にのれるといった差別がなされています。

調剤薬局が併設されているケースも多いので、地域に密着した医療機関としての役割もはたしています。

メガドラッグストアとしての出店を得意にしている企業としては、株式会社カワチ薬品やゲンキー株式会社があげられます。

スーパードラッグストア

店舗面積が300㎡程度の店舗のドラッグストアをスーパードラッグストアといいます。

多くのドラッグストアが該当し、住宅地などで日常の買物をするのに適している形態です。

スーパードラッグストアが比較的得意な企業としては、コスモス薬品やスギHDなどがあげられます。

ドラッグストア業界の職種

小売業界に属するドラッグ業界の職種は、企業ごとに内容や名称が異なる場合も少なくないため、入社を目指す各企業で詳細を調べる必要性があります。

名称が違う場合はあっても、どのドラッグストアでも必要な職種として、以下4職種があげられますので、詳細を知っておきましょう。

・薬剤師
バイヤー
・販売
・販売支援

薬剤師

ドラッグストアといえば、コンビニなどにはない第1類医薬品も購入できますが、薬剤師の説明が必要になります。

また、体調に応じて市販薬などをうまく活用しようというセルフメディケーションの広がりから、ドラッグストアで体の不調や病気に悩む人から相談がよせられることも多いです。

医薬品の知識はもちろん、健康維持や増進といった関連知識のある薬剤師は、ドラッグストアに欠かせない存在といえるでしょう。

バイヤー

ドラッグストアで取り扱う商品となる薬品や日用品、食料品などの仕入れをおこなうのがバイヤーです。

ドラッグストアで売れる商品は地域性が強く出るので、店舗ごとに商品の仕入れを考える必要があるので、バイヤーが商品の選定をおこなっています。

バイヤーは製薬会社との商談や契約も担当しているケースも多々ありますので、マルチな対応力が求められるのが特徴です。

販売

ドラッグストア内のスタッフの支援をするのが、販売職の仕事になります。

具体的には、商品を発注したり、アルバイトのシフトや配置、採用活動などを担当したりと、経営的な業務をする職種といえます。

アルバイトのみならずバイヤーとの連携も必要になりますので、コミュニケーション能力も重要です。

販売支援

ドラッグストアのマネージャー的なポジションを担当しているのが販売支援職です。

基本的にドラッグスト内で販売に携わることは基本的になく、販売職から上がってきた報告を確認したり、問題に対応したりして、より良い店舗作りにいそしみます。

一つの店舗だけでなく、担当地域を持って複数の店舗をみることが多く、担当地域の戦略なども担当しています。

なお、直接販売に関わらないといっても、ドラッグストア内のスタッフ教育やアルバイトの店舗やエリアに特化した教育マニュアルを作ることもあります。

経営者的な視点が培われていく職種だともいえるでしょう。

ドラッグストア業界のやりがい・魅力

やりがい

医薬品を中心として、関わるドラッグストアがある地域に住まう人々の健康や生活を支えられるのが、やりがいだといえるでしょう。

また、基本的にレジ打ちや品出しなどの業務は、アルバイトやパートタイマーメインの仕事になり、ドラッグストアの正社員は、仕入れや販売戦略や人員教育など、上流工程の仕事に関わることが多いです。

経営的な仕事や俯瞰での職務能力が求められますので、仕事への責任とやりがいを感じる機会もあるでしょう。

待遇

ドラッグストア業界の平均収ランキング上位数社は、平均年収700万円を超えていますので、一見すると待遇はいいものです。

しかし、ドラッグストア業界では、薬剤師免許も持っていると、基本給が高めになったり、資格手当が加算されたりするケースが多いのです。

薬剤師からすると、調剤薬局と比べてドラッグストアの待遇がいいケースも多いので、ドラッグストアに入社する薬剤師も多いのが実情です。

したがって、収入のモデルケースなどはきちんと確認しておいたほうがいいでしょう。

将来性への期待

ドラッグストアは、コンビニやスーパーなどと同じく、人々の消費を支えるなくてはならない存在になっています。

コンビニなどではあつえない医薬品も取りあつかっているため、差別化もできており、業界全体として、堅実な将来性があるといえるでしょう。

実際、毎年業界の売上が伸びています。

ただし、国内市場は飽和しつつあると考えられていますし、今後は人口減による対応にも迫られていくことも念頭に置いておきましょう。

ドラッグストア業界の雰囲気

ドラッグストアの店舗内は、アルバイトやパートタイマーをふくめて、比較的女性が多く、和気あいあいとした雰囲気の傾向にあります。

また、販売支援などのマネージャー的なポジション以外だと、数人から数十人程度の固定された人員と関わり続けることになります。

したがって、密で結束感のある職場の雰囲気が育まれやすい状況にあるといえるでしょう。

アルバイトなどはともかく、正社員は配置転換や定期的なジョブローテーションといった要素もあまりない業界ですので、店舗内での良好なコミュニケーションの維持が重要ともいえます。

主に扱う商品が医薬品であるため、薬の知識は定期的に勉強する必要があり、薬剤師は一般的に理知的な人が多いので、まじめで堅実な雰囲気なケースが多い傾向です。

ドラッグストア業界に就職するには

就職の状況

ドラッグストア業界は、市場全体の成長が続いており、店舗数も増加傾向にありますので、就職の需要は毎年あります。

実際、ウエルシア薬局株式会社などは、2017年~2019年の採用人数が200人を超えており、他の業界の企業と比べても、採用人数が多いです。

業界自体が成長しているので、採用部門の門戸も広く、営業からバイヤー、マーケティングに人事などの間接部門まで、幅広く募集されている傾向にあります。

なお、企業の数自体は多くありますが、売上高も店舗数も業界上位10社が半数以上を握っており、M&Aのリスクがあることなどは、念頭に置いておいたほうがいいでしょう。

就職に有利な学歴・大学学部

薬剤師の免許を持っていると明確に有利であり、給与も高くなる傾向があります。

有名私大などの採用実績がある企業も散見する一方で、芸術大学などの採用実績もありますので、比較的高学歴であることは求められない傾向にあるといえるでしょう。

実際、短大卒以上が条件になっている企業もありますので、大学院以上の学歴も薬剤師免許を活かせる場合をのぞいて有利になるケースもあまりないと思われます。

学部に関しては、バイヤーやマネージャー、マーケティング的なポジションを希望するなら、経営学部などが有利になるでしょう。

就職の志望動機で多いものは

コンビニのように地域の消費を支える一方で、健康やQOL向上に寄与する医薬品をあつかえるという点が、志望動機にされる傾向にあります。

また、比較的女性の採用比率が高い業界であり、育児休暇などの支援が充実しているのも志望動機として多いです。

もちろん、ドラッグストアと一口にいっても、企業によって業務内容や注力している分野や参入している地域などが違います。

したがって、ドラッグストアの仕事を通して、自分自身が何をしたいかを明確にしましょう。

あなたがしたいことと、企業が注力していることが一致するポイントを志望動機としてアピールできれば効果的です。

ドラッグストア業界の転職状況

転職の状況

業界全体がいまだ成長しており、店舗数も増えていることから、中途採用を通年でしている企業もあります。

また、メーカーなどの業界と比べると、勤続年数は短く、転職が活発で受け入れられやすい下地もできているといえるでしょう。

実際、業界大手の企業であっても勤続年数10年未満の企業も散見します。

転職の志望動機で多いものは

地域の消費を支えている点と医薬品の販売による人々の健康やQOL向上に寄与する現場に関われる点が志望動機の根底にある場合が多いです。

また、基本的にアルバイトを管理するマネージャーやバイヤーなど、店舗経営の上層に関わる仕事も多いので、前職で培った経験をアピールするのも鉄板です。

もちろん、薬剤師免許を所有しているなら、業務と関連づけて強くアピールしましょう。

転職で募集が多い職種

ドラッグストア業界は、基本的にジョブローテーションや配置転換などが少ないので、店長候補をふくめた販売支援職などの募集が多い傾向にあります。

企業によって、職種名は様々ですが、コミュニケーション能力やマネジメント能力、仕入れをふくめた店舗経営能力を要求される職種が多いといえるでしょう。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

ドラッグストア業界への転職で最も重宝されるのは、やはり薬剤師免許を持っていることです。

医薬品の販売から、仕入れ時のメーカーとの折衝にまで役に立ちますので、薬剤師として働いた経験があるなら、応募している職種とからめてアピールしたいところです。

他に重宝されるスキルとしては、多数の人間をまとめ上げてきた経験やコミュニケーション能力、仕入れや在庫管理など店舗運営に関わる経験などが上げられます。

ドラッグストア業界の有名・人気企業紹介

ウエルシア薬局株式会社

業界最大手のドラッグストア企業であり、北海道や吸収をのぞいて広く店舗を運営しています。

イオングループに属している企業でもあり、グループ内での連携を取っているケースも多々あります。

ウエルシア薬局株式会社 ホームページ

株式会社ツルハ

全国でツルハドラッグやクスリのツルハなどを展開している大手ドラッグストア企業です。

同一地域に一定以上の店舗を構えるドミナント戦略を取り入れているのが特徴的な企業でもあります。

株式会社ツルハ ホームページ

株式会社コスモス薬品

福岡市に本社を構え、中四国や九州、関西に多数のドラッグストアを展開している大手企業です。

業界に先駆けてポイント還元を始めたり、品揃えを絞って目的買いを促したりといった戦略が功を奏して、急成長してきた歴史があります。

株式会社コスモス薬品 ホームページ

ドラッグストア業界の現状と課題・今後の展望

競争環境

ドラッグストア業界は激しいシェア争いがおこなわれており、すでに再編や買収が行われてきている歴史があります。

業界全体としては、今なお成長を続けてはいますが、国内市場は飽和しつつあり、成長度合いも鈍化しています。

今後はますます競争が激しくなり、資本提携や買収などが増えていくと考えられています。

最新の動向

日本の医薬品や化粧品といった商品の安全性や多様性を活かして、海外への進出も始まりつつあります。

実際、マツモトキヨシなどは、台湾へ進出しており、現地の人々に支持されているのです。

台湾でも高齢化が進んでおり、現地にドラッグストアの大手企業もすでに存在しているところに、日本の商品を上手く落とし込んだ形といえるでしょう。

他の国でも同じような商機はあるでしょうから、飽和する国内市場からの脱却が徐々に始まると思われます。

業界としての将来性

ドラッグストアは、消費者の生活に根ざしており、コンビニなどでは販売できない医薬品を販売できるという点で、差別化もできている業界です。

小売業界の中では、高齢化が進んでいく状況下で、ますます重要度が増していくという珍しい業界だといえるでしょう。

シェア争いはすでに激しいものですが、医薬品の需要がつきないことを考えると、業界全体の将来性は安定したものだと考えられます。

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