プロボクサーの現状と将来性
プロボクサーの現状
日本のボクシングの全盛期は1960年代だったといわれています。
1962年に世界チャンピオンとなったファイティング原田は、当時、プロ野球の王貞治や長嶋茂雄、大相撲の大鵬とともに国民的ヒーローでした。
ボクシングのテレビ中継も週に10本以上あり、日本は世界有数のボクシング市場の一つでした。
1970年代も西城正三や柴田国明、大場政夫らの世界チャンピオンが次々と誕生しました。
テレビの視聴率も高く、日本人選手が出場する世界タイトルマッチは大人から子どもまで大きな話題になっていました。
現在も日本人の世界チャンピオンは数多くいますが、多くの国民が名前を知っているような国民的ヒーローは少なくなっています。
世界タイトルマッチのテレビ中継も2試合か3試合が同時に放映されることが多く、視聴率もそれほど高くありません。
最盛期に比べるとボクサーのプロテストを受ける選手も減ってきており、ボクシング人気の回復が今後の課題とされています。
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プロボクサーの今後の動向
国民的な人気という点では最盛期に比べて下がっていますが、こぶし一つで勝負する実力の世界であるボクシングの魅力に惹かれる人は今も多くいます。
ボクシング人気の高い時代でも日本チャンピオン以上にならなければ生活は安定せず、「ぜいたくな生活がしたければ、世界チャンピオンになれ」というのは昔からボクシング界の常識です。
何ヵ月も厳しいトレーニングを行っても、チャンピオンになれなければ試合でもらえるファイトマネーは多くありません。
それでも今も多くの若者たちが他の仕事やアルバイトをしながらボクシングを続けており、「強さへのあこがれ」がプロボクサーを支えている点は変わっていません。
そんななか、日本のボクシング界に歴史的なスター選手が新たに登場しました。
圧倒的な強さから「モンスター」と呼ばれる井上尚弥選手です。
世界的に注目される井上選手のようなスーパースターがでてきたことは、日本のボクシング界にとって明るい光となっています。
プロボクサーの将来性
テレビのボクシング中継が減り、視聴率も落ちてきていることで、近年は世界チャンピオンになっても知名度があまり上がらないという状況が続いてきました。
しかし、インターネットでの動画配信が普及してきたことで、今後はボクシングの試合中継もインターネットで行われる時代になるといわれています。
井上尚弥選手が世界的に評価されるようになったのも、インターネットの時代だからこそといえます。
日本人選手は世界チャンピオンになっても国内でしか試合をしない人が多いため、これまでは海外での知名度や評価が高まらない傾向にありました。
しかし井上選手の場合、試合映像がインターネットの動画サイトにアップロードされて世界中の人が視聴できるようになっているため、そのすごさが世界にも伝わりました。
また、2008年には第1回の女子選手のプロテストが行われ、日本人の女子選手が増えて世界チャンピオンも誕生。
女子ボクシングは2012年のロンドン五輪からオリンピック種目にもなっており、今後はさらに注目度が高まる可能性があります。
ボクシングは今も世界的に人気の高い競技ですから、今後も新しいかたちで発展していく将来性を十分に秘めています。