ブックデザイナー(装丁家)の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「ブックデザイナー(装丁家)」とは

ブックデザイナー(装丁家)の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

ブックカバーや表紙、扉、帯など、手に取りたいと思わせる本の外観をデザインする仕事。

ブックデザイナー(装丁家)は、ブックカバーや表紙、扉、帯など、本の外観をデザインする仕事です。

編集者や著者から依頼を受けて打ち合わせを行い、テーマやコンセプトに合う魅力的なデザインを企画して形にしていきます。

勤務先は出版社やデザイン事務所が中心となりますが、「グラフィックデザイナー」や「イラストレーター」「エディトリアルデザイナー」がこの仕事を兼務することもよくあります。

平均年収はデザイン事務所であれば300万円~400万円程度となっているようです。

装丁は本の売り上げに大きく関わるため、有名なブックデザイナーに仕事の依頼が集中する傾向が強く、成功するためには地道に実績を重ねていく必要があるといえるでしょう。

「ブックデザイナー(装丁家)」の仕事紹介

ブックデザイナー(装丁家)の仕事内容

さまざまな本をデザインする仕事

ブックデザイナーとは、ブックカバーや表紙、扉、帯など、本の外観をデザインする仕事で、「装丁家」とも呼ばれます。

デザイナーによっては判型、版面、書体、用紙の指定など、装丁以外の造本まで手がける人もいます。

表紙やデザインの良し悪しによって本の売れ行きが左右されることもあるため、読者の目を引くような印象深いデザインが求められます。

また本の内容や作者の雰囲気に合ったデザインであることも重要です。

編集者や作家から依頼を受けて打ち合わせを行い、デザインソフトを使ってパソコン上でデザインするのが主な仕事です。

別のイラストレーターが描いた装画を使ったり、専業ではないグラフィックデザイナーやイラストレーターが装丁を手がけたりすることもあります。

ブックデザイナー(装丁家)になるには

出版社などで本のデザインについて学ぶ

ブックデザイナーになるためには、まずは出版社の出版部やデザイン事務所の編集デザイナーを経験し、本のデザインについて学ばなくてはなりません。

こうした企業に就職するためには、美術系の大学や短大、専門学校でデザインや編集、印刷について学んでおくと有利です。

一度企業に就職して本のデザインについて学び、経験を積んだあとにブックデザイナーとして独立する人が多いようです。

また、まれですが有名な装丁家に弟子入りして、直接デザインを学ぶという方法もあります。

ブックデザイナー(装丁家)の学校・学費

デザインや編集・印刷について学ぶ

デザイン事務所に就職するためには、美術系の大学や短大、専門学校でデザインや編集、印刷について学んでおくとよいでしょう。

就職の際だけでなく、実務についたときもその知識をすぐに役立たせることができます。

ただし、出版社に就職したい場合は必ずしもデザインや編集、印刷に関わる学部でなくてもかまいません。

大手出版社は大卒が求人条件となっている場合が多く、また学生からの人気も高く試験も高倍率のため、学歴の高い人を採用する傾向にあります。

ブックデザイナー(装丁家)の資格・試験の難易度

資格よりもセンスや力量が問われる

ブックデザイナーになるために特別な資格は必要ありません。

むしろ、資格よりもセンスや力量が問われる世界だと言っても過言ではありません。

学生時代にデザインを学んでいた場合は、ポートフォリオなどでしっかりと自分の力をアピールできるようにしておきましょう。

また、ブックデザインはパソコンで行われるため、さまざまなデザインソフトを使いこなせる技術や、タイポグラフィー(フォント)と呼ばれる文字や印刷する用紙についての知識も必要です。

ブックデザイナー(装丁家)の給料・年収

装丁で生計を立てる人はごくわずか

ブックデザイナーは、グラフィックデザイナーやイラストレーターを兼任していることが多く、本のデザインだけで生計を立てることのできる人はごく少数しか存在しません。

デザイン事務所に勤務する正社員の平均年収は300から400万円程度です。

出版社勤務の編集者が装丁を手がけることもありますが、平均年収は400から500万円程度でしょう。

フリーランスの場合は実績により収入には個人差があり、人気のブックデザイナーは年収数1,000万円になることもあります。

ブックデザイナー(装丁家)の現状と将来性・今後の見通し

独自性のあるデザインを

出版不況といわれる昨今は経費削減のため、出版社内で社員が装丁まで担当することも少なくありません。

一方で話題作を装のブックデザインをした人が大々的にクローズアップされることもあります。

誰にもまねできないオリジナリティのあるブックデザインができる人が、今後も生き残っていくことでしょう。

また、電子書籍のデザインをしたり、本以外のデザインも手掛けたりするなど、紙媒体以外にもマルチに活躍できるスキルが求められていくことでしょう。

ブックデザイナー(装丁家)の就職先・活躍の場

出版社や本を扱うデザイン事務所

ブックデザイナーの多くは、出版社やデザイン事務所で働いています。

ただし、就職したからといってすぐブックデザイナーになれるわけではなく、エディトリアルデザインや本の編集方法を学びながら、経験を積んでブックデザインに関われるようになります。

また、こうした企業で編集デザインの経験を積み、フリーランスとして独立する人も増えています。

エディトリアルデザイナーや画家などとして働きながら、自分の作品をブックデザインに生かそうと、装丁家に弟子入りして働くという人もいます。

ブックデザイナー(装丁家)の1日

締め切り前は不規則な生活になることも

企業に所属しているブックデザイナーは、基本的に会社員と同じように働きます。

しかし、作家や印刷会社との打ち合わせは夜に行われることも多く、特に本を出版する直前など締め切り前は不規則になりがちです。

ブックデザイナーのある一日

9:00出社

9:30 原稿チェック
依頼されていた表紙のカバーラフ案を編集担当とチェック
依頼があれば細かいところまで修正する

11:00 打ち合わせ
編集担当から次回手掛ける本の依頼を受ける
お昼を兼ねて、世界観やイメージなど打ち合わせを行う

13:00 資料収集
先ほど打ち合わせした表紙にどんな写真やイラストを使うかアイデアを出す
イメージに合うようにさまざまな資料収集を行う

17:00 色校正をチェック
入稿した表紙が、指示通りに印刷されているか、色味は合っているかをチェックし細かい修正を行う

19:00 作家と会食
表紙を手掛ける本の作者と会食
話を聞きながら、本の雰囲気や作家本人のイメージをすり合わせて装丁に生かす

23:00 帰宅

ブックデザイナー(装丁家)のやりがい、楽しさ

作家の作品を売り出すサポート

ブックデザイナーにとって最大のやりがいといえるのは、本を出版する作家のサポートができるということです。

どんなにすばらしい作品を書くことができる作家でも、装丁までを行える人はほとんどいません。

有名なブックデザイナーは、人気作家から指名を受けて表紙を手掛けることもあります。

ブックデザイナーとして制作に携わった本が、多くの人の手に渡ったときは、大きな達成感を感じられます。

また、一般的な編集者と違い、書籍に装丁家として自分の名前が掲載されることも、やりがいを感じられる瞬間です。

ブックデザイナー(装丁家)のつらいこと、大変なこと

出版不況から仕事が減りつつある

近年は出版不況と呼ばれ、本の発行部数が減り続けています。

出版業界全体としても、紙媒体の仕事量は減りつつあるため、今後もブックデザイナーの仕事は減少していく傾向にあります。

そんな中、人気のブックデザイナーに仕事が集中し、新人のうちは仕事が得られず、なかなか芽が出ない、ブックデザイナーになりたくてもなれないという現状もあります。

ブックデザイナーとして長く働きたい場合は、早いうちから人脈や多様なスキルを身につけ、ブックデザインのプロになるという覚悟が必要です。

ブックデザイナー(装丁家)に向いている人・適性

本が好きで読者の気持ちになれる人

まず、大前提として本が大好きでたくさん読んでいる人はブックデザイナーに向いているといえるでしょう。

実際、装丁に魅かれて本に手を伸ばしたことも、本の内容を効果的に表現した装丁に心打たれたこともあるでしょう。

また読書量が多ければ、読解力や情報収集力も磨かれ、本のデザインに生かすことができます。

また、ブックデザイナーとして作り手側に回ったとしても、いつまでも読者の気持ちを忘れずにいられる人が、よいブックデザインを手掛けられるでしょう。

ブックデザイナー(装丁家)志望動機・目指すきっかけ

本が好きなことがすべての始まり

ブックデザイナーを目指す人で、本が好きではない人はいないでしょう。

さまざまな本を手に取る中で、本の中身だけでなくデザインに興味を持ったという人がほとんどです。

また、大好きな本の装丁を手掛けた作家さんに憧れたという人や、もともとデザインやイラストなどを勉強していて、自分の作品を本づくりに生かしたいという思いでブックデザイナーを目指す人もいます。

いずれにせよブックデザイナーは多くの人に届けるための仕事なので、自らも本を愛している人でなければ務まらないでしょう。

ブックデザイナー(装丁家)の雇用形態・働き方

企業勤めかフリーランス

ブックデザイナーは、主に出版社やデザイン事務所に勤める正社員か、フリーランスとして独立して働くかのパターンが多いようです。

ただし、出版社やデザイン事務所に勤めたとしても、ブックデザインを任されるようになるまでは、アシスタントとしてアルバイトで働いたりすることもあります。

また、既にブックデザイナーとして働いている人に弟子入りした場合も、アルバイトとして雇われることが多く、大きな仕事を任され実力を認められるまでは不安定な生活を送るという人がほとんどで、兼業の人も少なくありません。

ブックデザイナー(装丁家)の勤務時間・休日・生活

企業勤めでも比較的自由に時間を使える

ブックデザイナーの勤務形態や仕事量は人によってさまざまなため、勤務時間や休日といった生活も多種多様になります。

正社員の場合は基本的に週休1、2日制で、平日1日はおよそ8時間勤務になります。

編集者との打ち合わせなどもありますが、それ以外は基本的に個人作業で、比較的自由に時間を使うことができます。

仕事量が多かったり、締め切り前だったりすると休日問わず働くこともあります。

人気のブックデザイナーの場合は、フリーランスとして自らスケジュールを管理しながら、忙しい日々を送ります。

ブックデザイナー(装丁家)の求人・就職状況・需要

人気のブックデザイナーに仕事が集中

装丁は本の売り上げに大きく関わるため、有名なブックデザイナーに仕事の依頼が集中するという実態があり、求人はごくわずかです。

こうした人気ブックデザイナーは専業のフリーランスとして活躍できますが、専業のブックデザイナーはけっして多くはありません。

一般的にはグラフィックデザイナーやイラストレーター、エディトリアルデザイナーとして働く人が装丁も手がけることが多く、ブックデザイナーを目指す場合はこうした求人募集をチェックしておくとよいでしょう。

ブックデザイナー(装丁家)の転職状況・未経験採用

兼業から専業への道

近年では、経費削減のため出版社の社内で編集者がブックデザインをすることもあります。

デザイン事務所や出版社に勤務する場合は正社員や契約社員、アルバイトなど雇用形態はさまざまのため、狭き門ではありますが、こうした企業に転職しブックデザインに関わることは不可能ではありません。

また、兼業ブックデザイナーの人数は多く、ブックデザインの公募やコンペなども行われています。

こうしたきっかけをうまくつかむことができれば、ブックデザイナー専業になるという道も開けるでしょう。