銀行員になるまで、銀行を利用したことがなかった私の話
銀行員は「専門的な仕事」のイメージが強い職業です。
銀行員を目指すためには、経済学部の卒業など「金融の知識・経験がないと難しい」と思っている人は少なくありません。
私は入社するまで、そのような金融知識はおろか「銀行を利用した経験」すらありませんでした。
私にどれほど金融知識がなかったのかということと、銀行の窓口に就職した経緯についてご紹介します。
また「本当に金融の知識・経験がないと、銀行員になって苦労するのか」についても、本音で振り返ります。
大学での専攻・保有資格
「どの業界で働きたいか決まってないのに、どの学部を選べば良いのだろう」
困った私は、社会学・心理学・プログラミングなど幅広く学べる、総合的な内容の学部に入学しました。
学ぶ内容はどれも広く浅いものであり、最終ゼミで専攻したのは精神病理学。
金融とは直接関係のないものばかりです。
金融に関係する講義に「経済学」がありましたが、私が受講したのは1単位だけでした。
当然、就活でアピールできるほどの知識ではありません。
またその講義をきっかけに「簿記3級」を取得しました。
しかし3級はあまり難しくない資格のため、特別「金融業界に有利な資格」ではありませんでした。
銀行を利用したことがなかった理由
大学時代はバイトのお給料が手渡しで、口座に振り込まれることはありませんでした。
また大学の入学前に作った銀行口座は、奨学金を受け取るためで、親が管理するお金です。
その結果、私は「自分の銀行口座を管理し、お金を引き出す」という機会がないまま4年間を過ごしました。
さらに振込の経験もありませんでした。
ネットで購入した代金を支払ったり、友人に立て替えてもらったお金を返したりという状況がなかったためです。
入社後の振込の指示で初めて、振込方法をネットで検索し、緊張しながらATMを操作しました。
当然ながら「どこから振込をすれば手数料が安くなるか」という考えすら、この時の私にはありませんでした。
なぜ就職先に銀行を選んだのか
それほど馴染みがなかったにもかかわらず、銀行が就職先の候補になったのは、所属していた学部の影響です。
卒業生の多くが金融業界に就職しており、文系にとっては一般的な就職先というイメージが強くありました。
さらに私は仕事内容と同じくらい、労働条件を重視していました。金融業界の中で「銀行」が本命になったのは、以下の4つの労働条件が決め手です。
- カレンダー通りの休日で、土日祝の出勤がないこと
- 有給休暇の取得が必須であり、取りやすいこと
- 2〜3年で勤務地が変わるので「人間関係を理由に仕事を辞めざるを得ない」という状況にはなりにくいこと
- 勤務地が変わっても、基本的に引越しが必要ない距離で配属されること
実際に私は、この条件通りに8年間勤務することができましたが、全ての銀行に当てはまる条件ではありません。
また私が応募した時点の内容です。「土日祝の相談窓口がある銀行」や「どのコースでも引越しを伴う可能性がある銀行」などもあります。
知識がなくて苦労したこと
銀行員として働き始めた後、経済学部の知識や特別な資格を持っていなかったことで、苦労したと感じることは1つもありません。
入社後、銀行口座の入出金や振込の方法について学び、その後は実践的な事務や接客を学んでいきました。
その中で「このような経歴を持った人は、他の新入社員よりも覚えが早い」などの共通点は、私が知る限りありませんでした。
働き続ける上で「入社前に取得しても良かったかな」と思う資格をあえて1つ挙げるとすれば、ライフプランに基づいて家計の見直しや提案を行う「ファイナンシャルプランナー(FP)」だと思います。
銀行の窓口業務に就職した経験から、以下の2つをお伝えしました。
・入社するまで金融・銀行に対する専門知識がなかったが、他の新入社員と比べて「出遅れている」「基礎知識が無いため理解が難しい」と感じたことはない
・入社前に取得しておいても良かったなと感じた資格は「ファイナンシャルプランナー(FP) 」
ただしこれは、私が入社した当時の「窓口担当」の経験に基づくものです。
個人や法人にお金を貸す「融資」の仕事や、外回りをする「営業」など、同じ銀行員でも仕事内容は全く違います。
もし銀行員に興味がある場合は、それぞれの銀行が募集するキャリアコースに合わせて、情報収集が必要です。