インテリア業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
インテリア業界とは
インテリア業界の企業は、「製造」「流通」「小売」などさまざまな事業を展開しています。
かつては各企業が分業化されたいずれかの事業で競争優位を構築していましたが、時代の変化とともに、中小企業には家具メーカーが多く、大企業には小売が多くなりました。
扱うインテリアは、テーブルやいすなどの家具だけでなく、ファブリック、キッチンなどの住宅設備、床材などの建材まで幅広く扱われています。
特に家具の市場は2つに分けられ、オフィス家具は「コクヨ」「岡村製作所」「プラス」、ホーム家具では「カリモク」「大塚家具」「ニトリ」などが有名です。
職種もショップスタッフからインテリアコーディネーター、インテリアデザイナーなど幅広いので、活躍の場も住宅から企業、イベントまでさまざまです。
インテリア市場は2005年から右肩上がりで増加していて、堅調といわれています。
しかし長期的に見ると、今後は「少子高齢化」と「新設住宅着工数の減少」の影響から、家具が売れない時代になり、業界自体が縮小傾向にあると見込まれているのも事実です。
そこで家具だけでなく、雑貨などを含む、住空間を総合的にプロデュースする「ニトリ」や「IKEA」のような「ホームファニシング」の事業展開が進むと考えられています。
インテリア業界の役割
インテリア業界の大手企業では、インテリアの企画、デザイン、製造、販売に関する事業を手がけています。
世の中のニーズやトレンドに合わせて、どのような商品を作るのかを企画・デザインを行い、製造し、消費者に提供しています。
現代は趣味が多様化したことにより、商業施設や店舗だけでなく、一般住宅でもよりセンスを感じられたり、上質な室内環境を整えたいという年々増加しているようです。
そのため空間全体を提案する「ホームファニシング」の業態や、ニーズに合わせて空間のプロデュースを行うインテリアデザイナーやインテリアコーディネーターの需要は高まりつつあります。
またファッションと同じように、インテリア業界の新しいトレンドを発信するのも大きな役割の一つといえるでしょう。
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インテリア業界の企業の種類とビジネスモデル
国内大手企業
インテリア業界の大手企業には、業種や扱うインテリアの種類も多様にあります。
その中でも代表的なのが、「ニトリ」「良品計画」などの大手企業です。
大手企業は商品企画、製造、流通、販売までを一貫して行っており、国内のみならず、海外にも店舗を展開しているのが特徴です。
現在では実店舗での販売だけでなく、ネット上のオンラインストアでの販売も行われています。
トップ企業の中では、家具だけでなくインテリア雑貨、台所用品、カーテンなど住環境をトータルコーディネートを提案する「ホームファニシング」のスタイルが主流になってきています。
国内中小企業はオリジナリティがウリ
インテリア業界の中小企業はとても多く、家具小売業ではなんと全体の95%を占めています。
売上100億円以上の業界上位の大手企業8社が全体の62.1%の売上をたたき出し、中小企業との差が大きいのが実態です。
多くは、ある分野に特化した企業のオリジナリティを売りにするのが特徴で、たとえば高級家具メーカーの「株式会社カンディハウス」は、日本の伝統技法を活かした社内生産を行っています。
また「株式会社イリア」「株式会社育英」「タカラスペースデザイン株式会社」は、インテリアに関するプランニングやデザインに特化した事業を行っています。
外資系企業
日本のインテリア業界に参入している代表的な外資系企業といえば、「IKEA」です。
ホームファニシングの分野で世界トップブランドとして君臨し、ニトリの経営方針にも大きな影響を与えているといわれています。
ほかにもノルウェー家具メーカーの「株式会社エコーネス」、デンマークのインテリアブランド「株式会社ボーコンセプト・ジャパン」など、グローバル企業が参入しているのが特徴です。
インテリア業界の職種
ひとくちにインテリア業界といっても、その職種には多種多様なものがあります。
インテリア業界の人気の職種をピックアップしたので、みていきましょう。
インテリアコーディネーター
お客さまからのオーダーに応じて、快適な空間をデザインし、プロデュースする仕事です。
壁紙の材質から照明器具まで、細かなところまでアドバイスするので、幅広い知識が必要になります。
コーディネートするのは家の内装からオフィス、店舗、公共施設まで多彩な場が対象となるので、活躍する職場も不動産会社のモデルルームや住宅メーカーなどさまざまです。
インテリアデザイナー
インテリアコーディネートだけでなく、企画や設計、施工管理まで行います。
安全性を考慮するだけでなく、コンセプトに合わせて色味や温度、音、灯りまでその空間をトータルで演出していくので、より専門的なスキルが必要です。
案件は住宅だけでなく、商業施設、公共施設、学校、イベント、ミュージアムまで幅広いプロジェクトがあります。
ショップスタッフ
家具や雑貨などのインテリアショップで働く仕事です。
その仕事内容は多岐にわたり、接客、販売、レジ、商品の検品、入れ替え、ディスプレイ設置など幅広くあります。
ただ接客するのではなく、お客さまにとって最適な商品を提案したり、的確なアドバイスが求められるので、知識も重要です。
組み立て作業や搬入など力仕事が求められることもあります。
家具デザイナー
家具デザイナーは、ベッドやテーブル、椅子など家具をデザインする仕事です。
見た目の美しさだけでなく、使いやすさを追求することも大切で、素材の知識、設計技術、造形学、CAD(キャド)の操作などの専門的なスキルが求められます。
1点もののオーダーメイド家具のデザインから、インテリアデザイナーとともに家具全般をプロデュースすることもあるので、お客さまのニーズをヒアリングするコミュニケーションスキルも重要です。
インテリア業界のやりがい・魅力
コミュニケーション力が大切な仕事
インテリア業界の仕事は、お客さまのニーズを引き出し、よりよい提案をすることが求められます。
そのためコミュニケーション能力が何より重要で、ショップスタッフや営業、デザイナーでも、お客さまにぴったりな提案ができ、喜んでもらえたときにやりがいを感じるようです。
キャリアアップするにつれて、特にデザイナーやコーディネーター職は、徐々に大きなプロジェクトを任せられるので、大きな達成感ややりがいを感じられるでしょう。
インテリアは私たちの暮らしに密接に関わる商品なので、業界全体は右肩上がりに堅調で、一定の需要があります。
しかし景気の影響を受けやすく、「少子高齢化」と「新築住宅着工戸数の減少」で家具が売れない時代が訪れると予想されていますので、今後さらに時代のニーズをつかむ力が求められています。
女性が働きやすい業界
インテリア業界の中でも、特にインテリアデザイナーやコーディネーターは、実務経験が評価される職種です。
そのため結婚や出産などのライフイベントで女性にブランクができても、これまでの仕事が評価され、復帰するケースが多数あります。
子育て経験からライフスタイルに根ざしたデザインや提案も可能になり、仕事の幅も広がるので女性の強みを感じられるでしょう。
もちろん男性も多数活躍していますが、女性でも平均勤続年数が長いのが特徴です。
性別に関係なく、イキイキとキャリアアップを目指すことができるのが働きやすい業界だといえるでしょう。
インテリア業界の雰囲気
インテリア業界は、毎日おしゃれな家具に囲まれて仕事をすることができるので、インテリア好きな方なら楽しく働くことができるでしょう。
コミュニケーション能力が高い人が多いので、職場でも協力しながら働くことができるのも嬉しいポイントです。
インテリアが好きな人が集まっているので、職場ではトレンド情報で盛り上がったり、いち早く話題をキャッチすることができ、モチベーションを感じられるでしょう。
働く職場にもよりますが、男女比はほとんど50%ずつが一般的で、男女ともに活躍しています。
職種にもよりますが、お客さまからのヒアリング、コーディネイト、プランニング、接客、在庫管理など幅広い業務があるので、多くの人と関わることで日々キャリアアップやスキルアップが可能です。
また海外展開している大企業では、海外で働くチャンスにも恵まれます。
インテリア業界に就職するには
就職の状況
日常的に目にすることが多く、華やかでおしゃれなイメージがあるインテリア業界は、就活生の中でも特に女性から人気のある業界です。
多くの大企業では、新卒採用が毎年実施されています。
店舗スタッフや店長、エリアマネージャー、本部スタッフ、海外勤務を行う幅広い仕事に関わる人材は「総合職」として採用され、学歴は「大卒以上」または「専門学校卒以上」が求めらることが多いです。
またデザイナー職は学校からの推薦のみ、学歴不問、大卒以上など企業によって違いがあるようです。
現在は海外展開に力を入れている企業も多いことから、グローバルに活躍したい人にとっても魅力ある業界でしょう。
就職に有利な学歴・大学学部
インテリア業界の大企業で「総合職」として活躍したい人は、「大卒以上」の学歴があると有利です。
大手の良品計画では「専門学校卒以上」でも応募資格があるので必須ではありませんが、大卒・院卒の方が選択肢が広がるでしょう。
またインテリア業界では特定の学歴や学部を出るよりも、実務経験が有利に働く傾向にあります。
気になる企業があれば、アルバイトやインターンシップを利用して入社し、実際に経験を積むのがおすすめです。
どの職種でもお客さまへの見積もりや資料作成にパソコンのスキルが求められるので、Word、Excel、PowerPointは最低限身につけておきましょう。
デザイナー職を希望する場合は、図面を描くためのCADソフト、Illustrator、Photoshopを使えるように習得すると、有利に働きます。
就職の志望動機で多いものは
インテリア業界を目指す人は、「インテリアや家具が大好き」という人が多いようです。
そのため志望動機もインテリアに興味がある、おしゃれなデザインを作りたいという前向きで意欲的な人が多く、入社後にやってみたい商品開発や企画を伝えています。
またどんな職種でもお客さまのニーズをキャッチし、提案することが主な仕事になるため、「人と話すことが好き」「相手の立場に立って考えられる」「お客さまをおもてなししたい」というコミュニケーション能力をアピールする内容も多いです。
さらに新しいトレンドに左右されやすい業界だからこそ、「トレンドに敏感」「センスに自信がある」「チャレンジする姿勢」も評価されやすくなります。
その企業の戦略やイメージに合わせた志望動機を用意して、自己アピールにつなげられるとよいでしょう。
インテリア業界の転職状況
転職の状況
インテリア業界の転職状況は、良品計画、ニトリ、KOKUYOなどの大手企業では中途採用はほとんど行われていないようです。
しかし多くの会社で、ショップスタッフ、インテリアプランナー、インテリアデザイナー、インテリアコーディネーター、営業、企画、事務など幅広い職種の求人募集が行われています。
扱うインテリアもオリジナルブランドの家具から、住宅、リフォーム、雑貨などさまざまなので、理想の会社を見つけられる可能性も高いでしょう。
転職の志望動機で多いものは
転職での志望動機で多いものは、就活生同様に「インテリアが好き」ということです。
「おしゃれなインテリアに囲まれて仕事がしたい」「空間づくりをデザインすることでクライアントの役に立ちたい」など志望職種への熱意を伝えられるでしょう。
また応募する企業の特色や戦略に共感し、魅力を感じている視点や、資格や学生時代の専攻を活かして活躍できそうだということも、自己アピールを含めた志望動機になります。
転職で募集が多い職種
インテリア業界の転職での募集職種は、幅広いのが特徴です。
インテリアデザイナーからコーディネーター、ショップスタッフ、営業など幅広い職種が募集されています。
ただし中途採用の場合、欠員を埋めるための募集が多く、常に募集がかかっているわけではないので、希望の職種につけるられるかは時期や募集されているタイミングによるかもしれません。
希望の会社や職種がある場合は、こまめに募集がかけられているかを確認しておくのがおすすめです。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
インテリア業界は、未経験でも転職は可能ですが、実務経験が有利に働きます。
他業種の経験でも、そのスキルが活かせる本社勤務の営業、宣伝、通販事業などは優遇される可能性が高いです。
またデザイン職の場合は、CADソフト、Illustrator、Photoshopを使えるスキルや、デザイナー経験が応募条件になっていることが多いので、習得しておくとよいでしょう。
インテリア関連の資格を持つことも熱意の表れとして、武器になります。
逆にショップスタッフの場合は、未経験でも転職は難しくなく、コミュニケーション能力が求められます。
インテリア業界の有名・人気企業紹介
株式会社ニトリ
株式会社ニトリは、日本のインテリア業界のトップを走る企業で、32期連続で増益を記録しました。
現在店舗数は576店、そのうち台湾31店、アメリカ3店、中国に37店と海外にも進出しています。
自社企画した商品を海外で製造、輸入し、低価格で販売し、ホームファニシングのスタイルを日本で最初に確立した企業です。
株式会社良品計画
株式会社良品計画は「無印良品」としておなじみの企業で、インテリア業界で国内シェア2位を誇ります。
自社で企画開発、製造、流通、販売までを行っていて、日常生活全般の商品を扱っているのが特徴です。
国内ではカフェも含めて458店舗ありますが、近年は海外進出に力を入れていて世界中に517店舗と、国内店舗数を上回っています。
IKEA
IKEAはスウェーデン発祥の家具量販店で、世界各地に422店舗展開する企業です。
デザイン性と機能性を兼ね備えた家具、インテリア、台所用品などのホームファニシングを、大量生産により手頃な価格で提供しています。
実は1972年に一度日本に進出しましたが、1986年に撤退、2006年に再上陸を果たしました。
インテリア業界の現状と課題・今後の展望
インテリア業界の競争環境
インテリア業界の競争環境は激しく、その中でもニトリや良品計画、コクヨ、大塚家具などの大手企業や、外資系企業のIKEAが大きなシェアを誇っています。
業界全体は堅調な推移を見せていて増加傾向にありますが、トレンドや景気の影響を受けやすいのも特徴です。
コストパフフォーマンスが高いことで評価を集めるニトリや、シンプルなライフスタイル提案が支持されている良品計画は、海外展開も進めていて、認知度も売上も着実に伸びています。
最新の技術動向
ショールームやショップでの販売に加えて、ネット上のオンライン事業を充実させて、店舗に足を運べない消費者も取り込む動きが盛んに行われています。
また家具の大きさは、実際に部屋に入れてみないとサイズ感がわからず、購入に慎重になる消費者がほとんどです。
そこで「VR」を使って実際の家具を部屋に入れたイメージを持ってもらうことで、購入を促進するためのシステムが開発されています。
IKEAではショールームをVR化するよう開発中で、2020年頃リリースする予定です。
業界としての将来性
堅調な売上を見せているインテリア業界ですが、今後は少子高齢かと新設住宅着工戸数の減少の影響で、家具が売れなくなることが予想されています。
新築購入は減少しているものの、質の高いライフスタイルを求める人が増加しているのが現代の特徴です。
そのためリフォームやリノベーションの需要が高く、増加傾向にあるのでリフォーム事業や、その提案ができるインテリアデザイナー、インテリアコーディネーターの存在が、今後さらに重視されることが見込めます。
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