ソフトウェア業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
ソフトウェア業界とは
今や私たちの生活に欠かせなくなったパソコンやスマートフォンなどのハードウェアを制御するためのプログラムを「ソフトウェア」といいます。
企業におけるビッグデータ活用やアプリの普及、それに伴うセキュリティ対策の需要増加により、ソフトウェア業界は拡大傾向にあり、今後雇用が拡大するでしょう。
ソフトウェア業界の代表的な企業は、マイクロソフト、NTTデータ、富士通、NECなどがあります。
グローバル化の加速に伴い、国内外問わずにスステムを開発するケースも増えており、外資系企業、国内企業などさまざまな企業が存在します。
この業界の主な職種は、ソフトウェア開発を行う、プログラマー、システムエンジニア、ネットワークエンジニア等が挙げられます。
いずれも、ソフトウェア開発を行い、パソコン等のハードウェアに処理させたい多種多様な作業を可能にするためのプログラムを作ったり、環境整備する業務が主要です。
ソフトウェア業界の役割
私たちの生活に関わる部分の多くに、ソフトウェアは既に浸透しており、なくてはならないものになっています。
例えば、インターネット検索し情報を得ることや、ネット通販で商品を購入するなど、生活に関連する仕組みを構築するのにも、ソフトウェアが必要になっているからです。
そのため、ソフトウェア業界の発展自体が、私たちの豊かで便利な生活を維持するうえで重要な役割を担っています。
また、企業においても、取引に関する大量のデータ処理を高速化させて作業効率化を図ったり、今まで人間が行っていた作業を代用するなど、企業活動にも深く関わっています。
今後は、今までITとは縁遠かった分野、例えば農業などでも、IT化が進行すると考えられており、社会・経済的活動において、より便利なシステムを開発することが重要視されてきています。
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ソフトウェア業界の企業の種類とビジネスモデル
ソフトウェア業界には、外資系や国内企業が存在しますが、ビジネスモデルは大きく2つに分けることができます。
それは、自社でソフトウェアを開発し、不特定多数に販売するパッケージソフトウェア開発型企業と、特定の企業に業務委託されて、システム開発・構築を行う受託ソフトウェア開発型企業です。
パッケージソフトウェア開発型企業の特徴と代表的な企業とは
ひとつ目の、パッケージソフトウェア開発型企業では、企業から個人まで、さまざまな状況で使用できる汎用性のあるソフトウェアの開発を行います。
開発コストがかかり、幅広く販売できないと利益が出ませんが、人気の高いソフトウェアを開発できれば、収益が見込めます。
パッケージソフトウェアを販売している大手企業としては、外資系のマイクロソフトが挙げられます。
マイクロソフト社が提供するExcelやWordが使用できるMicrosoft Officeが搭載されたパソコンは世界的に使用されています。
受託ソフトウェア開発型企業の特徴と代表的な企業とは
ふたつ目の、受託ソフトウェア開発型企業では、取引先のシステムに関する課題を解決できるソフトウェアを開発します。
販売先がすでに決まっていますので、売上が急拡大するということはありませんが、開発に対するコストがかからず、利益が安定的に確保できます。
受託ソフトウェア開発の代表的な企業は、NTTデータや富士通、NECといった国内企業がありますが、それぞれ得意分野があります。
NTTデータは、特定業界で使用する基盤となるシステムを開発する、業界インフラの分野を得意としています。
それに対して、富士通とNECは、官公庁や政府関連のシステム開発にも注力しています。
ソフトウェア業界のビジネスモデルは多様化している
汎用性のあるパッケージソフトウェアの開発に注力する企業もあれば、それぞれの企業が得意とする分野に注力し、オーダーメイドの受託システム開発を得意とする企業など、ビジネスモデルはさまざまです。
近年ではマイナンバー制度への対応、顧客情報管理の安全性強化、サイバー攻撃に対抗するシステム構築を重要視する企業が増えており、これに対応するため、システム開発の方法も多様化する傾向にあります。
また、金融業など、信用が重要となる業界では、個人認証システムの開発が行われるなど、業界別の特性に合わせて、ニーズも変化すると予想され、新しいビジネスモデルが生まれる可能性も高いのがこの業界です。
ソフトウェア業界の職種
ソフトウェア業界において、必要となる基礎知識は、プログラミング言語です。
一般的にプログラミング言語は、世界共通であるため、知識を身につければ、グローバルに活躍するスキルのひとつとなります。
このプログラミングスキルを使った、ソフトウェア業界の特徴的な職種を3つご紹介します。
プログラマー
プログラマーは、文字通りプログラミングを行いソフトウェア開発の基礎を構築する仕事です。
プログラミング言語は数多くあるため、習得している言語により、担当できる開発案件が異なります。
また、プログラミングを効率よく構築することが重要となるため、プログラムを正確に書く知識、経験が重視されます。
システムエンジニア
システムエンジニアは、システム開発に関わる業務に総合的に関わる職種です。
一般的に「SE」と略されて呼ばれることが多く、開発プロジェクトのマネジメントを行ったり、コンサルティングを行うこともあります。
そのため、システムエンジニアの業務範囲は企業によりさまざまですが、プロジェクトの一部分の作業を担当する場合はは少ないといえます。
開発プロジェクトに幅広く関わる役割を担いますので、プログラミングの知識のみならず、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルも重要視されます。
ネットワークエンジニア
複数のパソコンなどをネットワークで繋ぎ効率的な運用と、保守メンテナンスを行うネットワークエンジニアという職種があります。
例えば、企業ではパソコンでの作業が多く、事業部門や従業員が多ければ多いほど、使用するシステムの数も増えていきます。
これらが、正確で効率的に稼働していなければ、業務が滞り、取引や企業活動に悪影響を及ぼしかねません。
そのような状態を防ぐために、ネットワークを構築し効率的に運用する役割を担っています。
そのため、ソフトウェアの知識だけでなく、パソコン機器などのハードウェアの知識も必要となり、幅広く知識とスキルを身に着けることが重要となります。
以上のように、システム開発に必要な基礎知識となるプログラミング言語、周辺機器の知識だけでなく、ビジネスマンとしてのコミュニケーションスキルなど、職種により幅広いスキルが必要となります。
ソフトウェア業界のやりがい・魅力
私たちの生活に深く浸透しているパソコンやスマートフォン、オンライン上のサービスなどを正しく稼働させる基礎となるのが、ソフトウェアです。
そして、便利なシステムを開発することで、今までになかった新しいサービスを作り、人々の生活を便利で豊かにしたり、経済・企業活動を効率化させることができるのも、この仕事のやりがいの1つです。
この業界特有の職種としてご紹介した、プログラマーやシステムエンジニアですが、その待遇は、2017年の厚生労働省の賃金構造基本統計調査をによりますと、平均年齢30.7歳で月収29.1万円、年収にすると528万円ほどとなっています。
国税庁の2017年民間給与実態統計調査から、日本の平均年収は432万円であることから、プログラマーの年収は平均並み、システムエンジニアは好待遇であることがわかります。
システムエンジニアは、ソフトウェアの設計だけでなく、顧客対応やプロジェクトマネジメント、コンサルティングなど、業務範囲が広いため、幅広い知識、経験、能力が求められることが多くあります。
それらが給与額にに反映され、システムエンジニアの待遇が良くなっている理由のひとつといえます。
ソフトウェア業界は、日々新しい技術が開発され、注目を集める業界です。
IT業界以外でも、これらの技術を積極的に取り入れ、産業を発展させていこうという動きが活発になっています。
ですから、ソフトウェア開発の人材需要も伸び続けていくと予想され、市場はさらに広がっていくでしょう。
ソフトウェア業界の雰囲気
ソフトウェア業界で働く人の特徴としては大きく2つに分かれます。
プログラマーやネットワークエンジニアなど、開発に携わる人は、コツコツと自分の作業を早く正確にできる人が多い傾向にあります。
日々、新しい技術が生まれますので、それらをいち早く吸収し、自分のプログラミングに活かしたり、顧客の要望を正確にプログラミングで設計できる技術が必要になります。
また、システムエンジニアなどの全体管理・進行を担当する人たちは、社内の開発職の人と顧客の橋渡し的役割を担いますので、コミュニケーションが好きな人が多い傾向にあります。
このように、技術開発を行うかプロジェクトの橋渡し役を担うかで、働く人の特徴も変わってきます。
また、比較的自由な社風の会社が多いのもこの業界の特徴であり、在宅ワークやフレックスなど働き方を選択できる会社も多いです。
自分らしい働き方をしたいという人には向いている業界といえるでしょう。
ソフトウェア業界に就職するには
IT技術の導入は、さまざまな業界へと広がっていますので、ソフトウェア業界の求人数は増加傾向にあります。
就職の状況
開発後はソフトウェアが稼働し自動で動きますが、そのシステムを開発するのは人であり、開発人材の確保が充分でないことから、各企業は継続的に採用を行っています。
また、新しい技術として、AIやビッグデータを活用したビジネスに参入する企業も増えており、これらのデータを扱う上で、セキュリティを強化するなど、付随するシステム・技術開発が必須となります。
そのため、さらなる人材が必要となりますし、人材育成を強化する企業も増えていくことでしょう。
就職に有利な学歴・大学学部
業界全体が人材不足ということもあり、出身学科を問わずに、文系大学出身者や未経験者を積極的に採用する企業も少なくありません。
ただ、ソフトウェア業界では、システムを開発していくための基礎知識であるプログラミング言語はもちろんのこと、それらを応用して開発する高度な技術や能力が求められます。
そのため、プログラミング言語やソフトウェアの仕組みなど、基礎的知識を大学で学んでおくと有利になります。
関連がある学部としては、情報工学、情報処理、経営情報学、コンピューター工学などがあり、これらの学部に通いながら情報技術系の資格を取得しておくと就職にプラスになります。
また、基礎知識を身に着けておくことで就職後も実務に早く携われますので、応用的な知識や実践スキルを早い段階で習得でき、仕事の幅を広げることにもつながりやすくなります。
就職の志望動機で多いものは
ソフトウェア業界の志望動機として多いのが、ソフトウェアの技術開発することにより、企業や人びとの生活を良くしていきたいというものです。
例えば、顧客データを取扱う企業ですと、そのデータを活用して消費動向を分析しお客さまに商品提案をする仕組みを作ったり、商品開発に活かすことができる有益なデータを分析できるシステムを開発したいなどです。
また、提案からシステム開発、顧客サポートやコンサルティングまで携わることで、技術開発スキルだけでなく、提案力、課題解決力などのビジネススキルを身に着けたいという志望動機も多いです。
このように志望動機はさまざまですが、ソフトウェアにより課題を解決したり、現状を改善するための仕事に携わりながら自分自身もスキルアップしていくイメージの志望動機が多いです。
ソフトウェア業界の転職状況
転職の状況
ソフトウェア業界は、慢性的な人材不足という状況があり、転職求人も他の業界と比べて多いのが特徴です。
また、高度な開発スキルを必要とする案件も多いことから、知識だけでなく経験が必要となる場面も多いので、転職での人材確保を積極的に行っている企業も多くあります。
即戦力として転職後すぐにプロジェクトに参画しソフトウェア開発に携わことができますので、今後も企業がこのような人材を求める傾向は増加すると思われます。
転職の志望動機で多いものは
ソフトウェア業界での転職志望動機として多いものは、技術力に加えて、マネジメントスキルを向上させたいというものがあります。
プログラミングの開発を主に行っていた人が、今後はビジネススキルの幅を広げるために、システムエンジニアとして開発だけでなくマネジメントやコンサルティング業務に携わりたいという志望動機が多いです。
また、経験があるからこそ、他企業が開発注力している技術の優位性に気づいて興味を持ち、今までの経験を活かしてそれらの開発に携わりたいという動機も見受けられます。
転職で募集が多い職種
ソフトウェア業界の転職求人で多い職種は、プログラマーやシステムエンジニアです。
大規模な開発を行う場合などは、技術力や経験がある人材の確保が重要となりますし、業界自体が拡大していますので、募集は増加傾向にあります。
そのほか、これらのサービスを提案しコンサルティングを行うソリューション営業職も多くの募集があります。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
転職時に最低限必要なスキルとしては、まずはプログラミング言語やソフトウェアの仕組みなどの基礎知識です。
また、ソフトウェア業界で開発をメインに仕事をしていくには、その仕組みや成り立ちだけでなく、実際に自分でシステム開発ができるスキル・経験・能力が必要になります。
ですから、業界未経験者が転職するのは少しハードルが高いのが現実です。
しかし、ソフトウェアを顧客に提案するなどの営業職であれば、高い技術専門知識がなくても、提案力や課題解決スキルがあれば対応できる場合もあります。
ソフトウェア業界の有名・人気企業紹介
ソフトウェア業界の有名企業は、日本国内外に多数存在していますが、代表的な企業を3つご紹介します。
日本オラクル
サーバ開発の大手として、圧倒的な知名度があり、アメリカに本社がある「オラクル」の日本法人です。
日本国内における企業のソフトウェア開発やシステム構築、ハードウェア販売、コンサルティングなど、さまざまなITに関わるサービスを展開する大企業で、2000年に東証一部に上場しています。
トレンドマイクロ
セキュリティソフト業界で知名度のある「ウイルスバスター」を販売しており、日本国内のセキュリティソフト販売数で、トップシェアを誇っています。
2000年に東証一部に上場しています。
また、海外でもセキュリティソフト市場でシェアを獲得している企業です。
グーグル
検索エンジンとして知る人ぞ知る、世界的な企業ですが、検索エンジンのほかに、オンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウェア、ハードウェア関連事業など、あらゆりIT関連サービスを提供しています。
以上のように、ソフトウェア開発だけでなく、ITに関わるサービスを多角的に事業展開している企業が多くあります。
ソフトウェア業界の現状と課題・今後の展望
社会構造を変えるようなサービスが日々開発されるソフトウェア業界ですが、今までIT技術を重視していないかった業界にも、導入が進行し、国内外問わずに需要は決して低くない状況です。
そのため、国内企業、外資系企業など、さまざまな企業で技術の開発競争が起こり、競争環境は激しい状況にあるといえます。
また、市場の成長率も高い数字を維持しており、好調ですが、直近の10数年でソフトウェア開発の台頭企業の顔ぶれががらりと変わるなど、動きの早い業界ともいえます。
現在、世界的に台頭している企業は、それらを総称して、「FANG」と「MANT」と呼ばれています。
「FANG」とは、以下の企業を総称するものです。
F…Facebook
A…Amazon
N…Netflix
G…Google(Alphabet)
また、「MANT」は、以下の企業です。
M…Microsoft
A…Apple
N…Nvidia
T…Tesra
いずれも、クラウドサービスや動画配信、SNSなどのソフトウェア開発を主な事業とする企業で、私たちもよく使うサービスを提供しているテクノロジー企業が名を連ねている状況です。
時代に即した新しいサービスをスピーディーに開発して、世の中に出していくことがソフトウェア業界の使命であり、課題となっています。
また、近年は、あらゆる業界でクラウドコンピューティング、AI、IoTなどの最先端技術の普及が進行しています。
これらの技術要素を活用し、統合的に使用する技術やスキルを開発していくことが、業界の最新動向といえます。
今後もソフトウェア業界は、イノベーションをもたらすような革新的な技術開発が進んでいくと考えられます。
ソフトウェアを利活用していくことで、既存のビジネスモデルを破壊し、再構築が進んでいくでしょう。
以上のことから、ソフトウェア業界は、今後も高い成長を維持していくと考えられます。
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