美容師になりたい貴方に伝えたいことと、僕が過去にドロップアウトした話
今回の記事は、美容師になりたいと考えている方にとって、シビアな内容かもしれません。
お洒落で華やかなイメージとは裏腹に、美容師の離職率は他の業種に比べて高い、というデータが出ています。
そして僕自身も、若い頃にドロップアウトした経験があります。
ですが、一人前になった美容師さんたちは、皆このハードルを乗り越えた上で、このステキな仕事を続けることができています。
美容師がドロップアウトする理由は?
美容師は、修行期間のことを「アシスタント」、習得した一人前の美容師を「スタイリスト」と呼びます。
美容室で辞めてしまう人は、アシスタントがほとんどです。
かつては、修行期間には3〜5年かかると言われましたが、アシスタントが辞めてしまう理由は、その期間の厳しい生活にあります。
「若い頃にビンボー生活」は、美容師にとってあるある
美容師は、スタイリストになることで収入を得られるようになりますが、それまでの間は、金銭面で苦労します。
特に美容師は「職業別の初任給」が低く、また昇級による給料アップも微々たるものです。
加えて、都市部での一人暮らしをする場合、家賃と生活費でカツカツの生活を送ることになります。
実家通いの方でなければ、美容師は誰もがビンボー生活を経験している、と言えるでしょう。
営業後に練習するのは、早くスタイリストに昇格したいから
多くの美容室では、アシスタントは営業後に練習をします。
忙しく働いた後に練習をするのは、体力的にも精神的にも疲れてしまいますが、これは営業中は忙しく、時間を割いて練習ができないケースが多いからです。
アシスタントの練習は、美容室が用意したカリキュラムに沿って進みます。
シャンプー
↓
カラー
↓
パーマ
↓
カット
この順番は、覚えた技術で美容室の仕事をアシストできるように、使える技術から優先されています。
そのため、「カット」はアシストができない技術になるため、カリキュラムの一番最後に教わります。
ですが、その技術を習得しないといつまでも先に進めず、アシスタントの期間が長引くほど、ビンボー暮らしも長引く事になります。
「早くスタイリストに昇格したい」そのためには、練習にかける時間もおざなりに出来ないのです。
アシスタントが遅い時間まで練習するのは、早くスタイリストに昇格したいからです。
美容師は、再就職する人も多い
ほとんどの美容師は、アシスタントのうちに挫折しそうになる経験をしています。
そして、結果的に勤めている美容室を辞め、再就職を経験している美容師もとても多いです。
美容業界にとって、「辞めることは悪」ではありません。
なぜなら、美容室によって“仕事の価値観”が全然違うからです。
【実体験】僕が美容師をドロップアウトした過去の話
僕自身、新卒で入社した美容室を一年でドロップアウトしたことがあります。
理由は、美容室の価値観に共感できず、そのやり方に適応できなかったからでした。
当時は「自分には美容師は向いていないんだ」「美容業界はこういうモノ」と挫折し、美容師を諦めるつもりで離職しました。
ですが数ヶ月後、美容師を諦めきれず、「もう一回だけ試してみよう」と、前職とはテイストの違う美容室に再就職しました。
すると働き始めてすぐ、“新しい美容室の価値観”が、“前職で教わった価値観”とは驚くほど違うことに気が付きました。
そしてその価値観は、僕がなりたかった美容師像に近いモノでした。
例えば、前職で「これはやってはダメ」と言われたことを、再就職先では「それは素晴らしいから、積極的にやっていこう」と言われることもありました。
その美容室で僕は、羽を広げて仕事をすることが許され、スタイリストに育ててもらうこともできました。
美容室は“井の中の蛙”。その職場が自分に合ってないだけかもしれない
美容室は、「大規模なチェーン店」よりも「小規模の個人店」が多いのが特徴です。
美容師は毎日、美容室内で仕事をするため、出張もなく、外の美容室との交流も中々ありません。
すると、外の美容師さんがどんな環境で、どう働いているのかが見えない、そんな“井の中の蛙”になりやすいのです。
そのため、サービスや働き方への「価値観の違い」はとても大きく、今の職場がのやり方が独特で、実は自分に合ってないだけかもしれないのです。
美容師の「楽しさ」や「やりがい」は、高いハードルの先にある
美容師という仕事は、スタイリストになってからの方が「楽しさ」や「やりがい」を見出せると感じています。
ですが、多くの美容師経験者がスタイリストに昇格するまでに離職して、本当の素晴らしさを体感できないことは、残念でなりません。
高く厳しいハードルではありますが、乗り越える若手が増えることを、願ってやみません。
この記事が皆さんの将来の参考になれば、幸いです。
僕は「意外と知らない髪の毛の話」や「美容業界の話」などを、noteでも書いています。
操作イトウのnote @美容師なのにライター
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