パイロットを目指す人へ ・必要な準備や考え方を紹介します
ハッキリ目標を定めた人、または、興味があるという人、いずれにしてもプロのパイロットを目指したいと思う人へお伝えしたいことです。
私は小型機の教官と、観光フライトのパイロットをしていた経験がありますが、ここではエアラインを含むパイロット全般についての記述としました。
準備や現実的なことを私の視点でピックアップしたトピックです。
まず必要なのは英語力と資金
これからどのような道筋を経て進んでゆこうとしても、これだけは絶対に必要不可欠というものでしかも優先度が高いのが「英語力」と「資金」ですね。
英語力の習得レベルについては、パイロットになるための学習と訓練をできるだけ日本国内で行うコースほど楽できます。
そして将来のフライトエリアが日本国内を希望するならなおさらです。
一方、就業に着くまでの期間を短くしたい、訓練費用をできるだけ抑えたいという意図が大きいほど、外国に行く期間が長くなるので高いレベルの英語力が必要となります。
このように英語力と資金力には大きな関係があるとも言えます。
しかし実際のところ多くのパイロット志望者はこの理由で訓練過程を選択してはいないようです。
プロパイロットになれる見込みがベストな方法として総合的にそれぞれの道を決断しているようです。
プロパイロットになる前は資金が最大の壁に見える。
なったあとは「○○○○」が最大の壁だったと思える。
あるあるですよね!
パイロットにとっての国境の考え方
いろんな種類の飛行機のパイロットが活躍している各国で、パイロット職について国境の概念をどんなふうにとらえるかということ。
これは訓練が進むにつれて価値観が変わる可能性もあるのです。
航空業界というよりパイロット業界は世界的視野で見ると狭いと感じました。
私が以前働いていた会社で、日本へ移住する外国人パイロットのサポートをするお仕事をしたことがあります。
それはある日本の航空会社からの依頼でした。
アメリカから派遣パイロットを受け入れるにあたって彼らの住居を決めるお手伝いでした。
単身の方、子どもを含む家族などでした。
要するに日本の航空会社にとってパイロットは日本人じゃなくてもいいのです。
逆に、日本人が外国の航空会社のパイロットで働く例も全然珍しくありません。
私が過去にあった日本人パイロット達では次の3通りのどれかになるようです。
・日本では飛びたくないからどこどこで飛びたい。
・日本で暮らすので日本の航空会社に限る。
・飛べるならアメリカでも東南アジアでもどこでもいい。
さらに、乗務する機種や年収や、フライト路線はどのようなことを目標にしているのか。
そういうことは訓練を始める前に目標を持つのか、航空会社に就職が近くなってきてから考えるのか。
外国の航空会社の勤務でも自国居住という例も増えていくかもしれません。
パイロットが働く国境の概念もそれぞれですね。
技能と人柄も大切
プロパイロットになってゆく過程では、どんな学校でも訓練施設でも人柄の方が重視されるように思います。
教える方も人なので、この人にパイロットのことを教えたい、と思ってもらえる人柄かどうか。
そこが成長の質までも左右します。
それがあってから技能の習得だと私は思っています。
プロになった後は技能の方が大事。
やはりパイロットとしての技術や知識は組織から厳格に評価されます。
あたり前ですが、この段階のパイロットはある程度の社会通念や責任感などは評価しなくても信頼されています。
機長になるには人柄の方が大事。
この飛行機も乗務員も乗客もフライト中は全てあなたに預けます、ということなのだからです。
ここでの人柄とはリーダーとしての判断力、対応能力という感じでしょうか。
私は機長になったことが無いので、過去にいくつかのパイロット関連の本を読んだ上での解釈としました。
パイロットの身体サイズのこと
ご存じ飛行機はアメリカで発明されました。
その流れからコックピットも小型機、ジェット旅客機に限らず日本人の身長よりも高い身長に合わせて設計されています。
とはいっても昨今の機体はシートを調整できる範囲もやりやすくなっていますし、工夫すればそれなりに適応できます。
機体側については機体にもよりますが、固定されている計器やレバー類が自分から離れている場合もあります。
私自身のことです恐縮ですが身長は178cm 67㎏と恵まれた体形でした。
ジェットやフルコックピットのフライトシミュレーターに座らせていただいたこともあります。
計器パネルやスクリーンも全て申し分無く見れて、その気になればどの操作に触れることもできました。
ということなので正直私は背の低い人が訓練過程でどれだけの不便さを味わっているのか、全く同じ体験をすることはできません。
ですがこんな感じだそうです。この瞬間にあることがものすごく大事というときに、見えにくい、動作がやりにくい経験をすると自分の身体に劣等感を感じる、というのです。
背の低さや太めの体形であることによるなんらかの不便さを感じることは実際あります。
しかし、それを飛行訓練やパイロットの技術に影響がある理由にするかどうか。その解釈は本人に委ねられるのかもしれません。
でも本当にそういうことにしていいのかどうかという疑問もありますが、単に物理的な事実ではあります。
これらのことについてお伝えしたいことをまとめます。
何らかの身体的特徴が有利だからといってうぬぼれの態度はパイロットとして好ましくありません。
それよりも一番は「身体的特徴が不利であると思った」ことを理由にパイロットを諦めて欲しくないという想いを個人的には持っています。
なぜそう思うかというと
「えっ、そんな人がこんなプロになってるの?」
と驚いたことが何度かあったからです。
私もいくらか固定概念のような見方を持っていたのですね。
準備期間にやるべきこととして私が勧めることは
・英語力の強化
・学費や訓練資金の貯蓄
・心身の健康の維持と体力の増強
・何らかの社会経験をなるべく深く積む
・人とのコミュニケーション能力を磨く
・パイロットでなければならない明確な理由を持ち続けること
実際の勉強や訓練は始まってから一所懸命にやればいいと思います