コンフリクトマネジメントとは(読了時間:4分13秒)

企業や団体など組織であれば、必ず存在するのが意見の対立や衝突です。

ネガティブなことだと思われがちなため表面化しない場合もありますが、近年ではこのような状況を前向きに捉えようとする動きがあることをご存じでしょうか。

それは「コンフリクト・マネジメント」と呼ばれ、組織内で意見の対立や口論が起きた場合に、放置せず積極的に問題解決を図ろうとする考え方や取り組みのこと指します。

コンフリクトマネジメントの目的

コンフリクトとは「衝突」や「対立」の意味で使われる言葉です。

人が集まる場所であれば、どの組織にも多かれ少なかれコンフリクトが潜んでいます。

その問題解決の手法として用いられるコンフリクトマネジメントですが、なぜ多くの企業から注目を集めているのでしょうか。

その理由は大きく以下にまとめられます。

対立や衝突を改善の機会にする

組織内での対立はできれば避けたい話題のため、長年にわたって組織に存在することも珍しくなく、根深い問題です。

コンフリクトマネジメントのアプローチでは、対立や衝突から目を背けず、その原因に双方が向き合います。

組織で起きたコンフリクトを、より良い組織運営を行っていくための糧とする考え方なのです。

組織に溝や確執を作らない

組織内での対立や衝突は放置され続けると、仕事や組織運営にまで影響を及ぼすことがあります。

深刻さによっては、業績悪化につながることもあるでしょう。

そのような事態を避けるには、手が付けられない状態に至る前に衝突の原因を根本から解決する必要があります。

コンフリクトマネジメントでは、双方が利害の不一致を超えて解決手段を見つける過程を通して、組織に生じかけた溝や確執を解消していきます。

それによって風通しの良い社風や、事業を推進する協力関係が築かれていくのです。

Win-Winで根本的な解決を目指す

コンフリクトマネジメントで重要なポイントは、対立に勝敗をつけないことです。

どちらか一方にとってのみ良い結果になることは、解決策ではありません。

問題の先延ばしではなく、根本の解決が目的のため、コンフリクトマネジメントでは双方にとってメリットのある「Win-Win」の解決策を導くことを目標としています。

コンフリクトマネジメントで大切な行動姿勢

コンフリクト(対立)の状態になった際に、人が取る行動や反応には種類があります。

心理学者ケネス・W・トーマスとラルフ・H・キルマンは、その行動を5つに分類しています。

5種類それぞれの反応を理解し、中でも重要な「協調」について考えてみましょう。

コンフリクトに対する5つの反応

<強制(競争)>
利害の一致しない相手の意見を聞かずに、自己主張をする

<回避>
他人と対立することを避ける

<服従(受容)>
自己主張を強くせずに、相手の意見を受け入れる(日本人に多いとされる対応)

<協調>
自己主張をしながらも相手の意見を理解しようとし、双方が満足する解決策を探す

<妥協>
2人の意見の中間点を見つけて解決しようとする(協調とは違い、双方が不満足の解決策)

問題解決のカギは、双方の「協調」

コンフリクトマネジメントにもっとも必要な姿勢は「協調」です。

できるだけ本音で課題を話し合い、解決のアイデアを出し合う必要があるからです。

答えを見つけ出すためには、双方が協調の姿勢を取ることが欠かせません。

それ以外の姿勢で解決を図ると、どちらかにとって不満が残る状態のままになります。

課題の本質部分を解決できなければ、“シコリ”として残ってしまうのです。

もちろん状況によっては、他の対応方法を取ることが最善の場合もありますが、ここでは組織におけるコンフリクトマネジメントという視点で理解しておきましょう。

コンフリクトマネジメントの入門研修を導入する企業の増加

コンフリクトマネジメントの重要性を意識し始める企業が増えてきています。

日本では終身雇用や年功序列などが長い間制度として定着していたこともあり、組織ではできる限りコンフリクトを生まないよう調和が重視される風潮がありました。

ところが時代の変化によって旧来の制度は多くの企業で姿を消し、価値観も多様化しました。

そこで企業はリーダー層や管理者へ研修参加を促すなどし、組織にコンフリクトマネジメントを取り入れようとしているのです。

入門研修では、建設的な合意形成の手法を理論と実践で学習。

ロールプレイングやケーススタディを通して、知識やスキルを身につけていきます。

医療現場におけるコンフリクトマネジメントの事例

医療関係の機関では以前からコンフリクトマネジメントに力を入れており、学会も存在しています。

医師看護師をはじめとした医療従事者はもちろん、患者やその家族などさまざまな立場の人が関与するため、衝突が起きやすい環境だからです。

医療現場では「医療コンフリクトマネジメント」と呼ばれる現場に即した対応方法があり、患者と接点の多い看護師などが研修などを通し学ぶケースが多く見られます。

学会で共有が行われた事例(発表者:看護師)

入院中におきた不利益に対するクレーム(怒り)に対して、コンフリクトマネジメントが活用された事例を見てみましょう。

<コンフリクトの内容>
・入院中の転倒とその原因の説明に対し、患者の家族が強い怒りを持った

<解決までの流れ>
1.患者家族と医療者で面談を実施。見解について話し合うが平行線のまま終わる

2.調停者との話し合いの場を持つ。患者家族は怒りを含めた想いを調停者へ話し、医療者は家族の怒りの部分に対して、調停者へ本来の意図を伝える(別々での実施)

3.2回目の面談では、調停者が双方に質問を投げかける形で互いの意見を交わす。問題が起きた際の状況を双方が理解し、相手の考えを受け入れる態度へと変容した

<解説>
今回の衝突の原因は、患者家族が混乱状態にあるときに、医療者が心情に配慮せず医学的な正論のみで説明を行ったからだと考察されています。

面談の過程では医療者側が家族の当時の状態を再認識し怒りの心情を受け入れました。

それによって家族側には混乱の沈着化とともに、現実を受け入れる姿勢への変容が見られました。

お互いに相手の想いが理解できたことで、双方が納得のいく結果になった事例です。

利害の不一致で対立しそうな状況において、もっとも有効なのは「協調」の姿勢です。

ただしお互いがその姿勢を持つことがとても重要になるため、難しい場合にはコンフリクトマネジメントを理解した第三者の協力が必要です。

問題に正面から向き合うことは容易ではないかもしれませんが、長期的な視点でみると大きな効果を得られる考え方だといえるでしょう。

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