日本語学習のゴールとは? 日本語が「ペラペラ」になるために大切なこと
私の周りの日本語を学んでいる方たちは口を揃えて「日本語がペラペラになりたい。」と言います。
みなさんも一度は外国語を学んだことがあると思いますが、その時ペラペラになりたいと思いませんでしたか?
では、日本語がペラペラに話せるようになるとはどういった状態のことなのでしょう。
一語一句間違わなで日本語が話せるようになることでしょうか。
それとも、間違っていても相手に気持ちを伝えることができるようになることでしょうか。
学習者が日本語を使って何がしたいのかがポイントとなります。
ペラペラの指す意味は人それぞれ
大学に行くため、仕事で日本語を使うため、生活に必要だから、など、日本語を勉強している理由はみんな違います。
でも、日本語を勉強している方はみんな「ペラペラになりたい。」と言います。
日本語初心者の方でも「ペラペラ」というオノマトペを知っているのは面白いといつも思います。
「日本語がペラペラになりたい。」と聞いてあなたはその方のどんな状態を思い浮かべますか?
日本人と不自由なく日本語でコミュニケーションが取れる状態を思い浮かべるのではないでしょうか。
でも、大学なら授業を聞いたり発表したりレポートを書いたりしなければなりませんし、仕事なら専門のビジネス用語を使うでしょう。
日常生活ではお友達と話したり、子供が持って帰ってきた学校のお知らせを読んだりしなければいけません。
「ペラペラ」とは話すことをイメージしますが、ただ上手に話すことだけでは不十分な方もいるのです。
だから、「ペラペラになりたい。」という学習者を前にして、日本語教師がしなければならないのは、その学習者が本当に必要としている日本語を探ることだと私は思っています。
日本語の授業は何のためにするのか
私たち日本語教師は学習者とずっと一緒にいることはできません。
一緒に生活をすることもできないし、仕事場についていくこともできません。
日本語教師が学習者に日本語を教えることができるのはレッスンの時間内だけです。
そして、その日本語を生活の中で実際に使うのは学習者です。
習った日本語しか使えない、もしくは、習ったけど日本語が使えないとなると、永遠に日本語教師が傍についていなければならないことになります。
なので、学習者には習っていない日本語でも自分で対応できる力が必要になるのです。
あなたが子供の頃のことを思い出してみてください。
分からない言葉があるとモヤモヤしていませんでしたか?
その言葉をどの場面で使うのが適切なのかに気づいたとき、そして、その言葉が使えたとき嬉しく思いませんでしたか?
それに、言葉にはそれぞれ概念があります。
例えば、
「ご飯できたよー。」って声をかけられたとき
「今行くよ。」って答えますよね。
でも英語だと
「I‘m coming.」って言いますよね。
行くとgoが対応するとは限らないんです。
このように、母語を日本語に置き換えるだけでは伝わらないこともたくさんあります。
なので、私は学習者に日本語の意味を教えるのではなく、日本語の概念を教えることで、その言葉が使われる場面に気づいてもらって、使えるようになってもらいたいと思っています。
日本語がペラペラになるために大切なこと
「日本語を話す自信がつきました。」
これは私が言われて一番うれしい言葉です。
“自信”が第二言語を習得する上で最も大切なことだと私は思っています。
日本で生活する上で、病院で症状の説明ができたり、スマホの契約ができたり、会社で同僚と話ができたり、学習者の思いが相手に伝わった時、それが自信に繋がります。
言葉はコミュニケーションの道具です。
たとえペラペラじゃなくても、間違えながらも自分の思いを伝えることができれば、それはもう日本語が使えるということだと思います。
だから、私は間違いを恐れずに、日本語で日本人とコミュニケーションが取れるという自信を付けてあげられるような授業を考えていきたいと思っています。
また、自信を持ってどんどん日本語を話すことでペラペラに近づいていくのだと思います。
第二言語学習にはゴールはありません。
だからこそ、学習者が楽しんで学び続けようと思える授業ができればといつも思っています。