「やさしい日本語」を知っていますか? 外国人に伝わりやすい日本語とは
突然、道で外国人に「すみません。」って話しかけられたら、あなたはどうしますか?
そんな時は「英語で話さなくちゃ。」って思う日本人が多いんだそうです。
あなたは「外国人=英語」だと思っていませんか?
実は日本国内では英語が話せなくても日本語で外国人と上手にコミュニケーションは取れるんですよ。
ここでは日本語で外国人と上手にコミュニケーションを取る方法「やさしい日本語」についてお話したいと思います。
日本に住んでいる外国人は日本語を話したい
人類には英語が話せる人がたくさんいます。
でも、それは第二言語としてです。
外国人が自分の国で実際に使っている言語(母語)は、英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語、フランス語、などなど。
書けばきりがないくらいたくさんの言語があります。
なので、英語が話せると言っても、英語がペラペラではない外国人もたくさんいるのです。
日本で暮らしている外国人は少なくとも少しは日本語を勉強しています。
ある調査結果によると、日本に住んでいる外国人のうち英語ができる人は44%、日本語ができる人は63%*となったそうです。
「日本に住んでいる外国人は英語ができる人より日本語ができる人の方が多い*」ということです。
日本人とは日本語で話したいという外国人も60%*を越えています。
実際に私の学習者は「日本人と日本語を話したいので、英語が話せない日本人の友達を探している。」と言っていました。
だからと言って、外国人がどんな日本語でも理解できるかというとそうではありません。
日本人が外国人と日本語で話すときにはちょっとしたコツがあるんです。
「やさしい日本語」の始まり
「やさしい日本語」は1995年に起きた阪神・淡路大震災の教訓から生まれました。
1995年はまだ携帯電話やインターネットが普及していなかった時代です。
離れてしまった家族や親せきを探すには避難所を歩いて回るしかありませんでした。
救援物資や生活支援などの情報も錯綜していました。
そんな中、特に困っていたのた外国人だったそうです。
災害時に使用される日本語は普段の生活で使っている日本語とは全く違います。
「避難所」「救援物資」「倒壊」「被害」。。。
私は阪神・淡路大震災の時、神戸に住んでいましたが、日本人でも聞きなれない言葉がたくさん飛び交っていました。
緊急時にたくさんの情報を多言語に訳すのは困難です。
かといって、外国人がみんな英語を理解できるわけではありません。
そこで、簡単な日本語だと理解できるという外国人がたくさんいたことから「やさしい日本語」が生まれました。
始めは、緊急時に外国人を取り残さないために考えられた「やさしい日本語」ですが、今では、地域における外国人との共通言語として使われたり、役所などで使用されている難しい言葉をお年寄りや外国人にも分かりやすく書き換えようとする動きにもつながっています。
「やさしい日本語」とは
みなさんは友達と話すときと、接客やビジネスの場で話すときは違う話し方をしますよね。
でも、外国人には友達と話すときにつかうカジュアルな日本語も接客やビジネスに使う丁寧な日本語も難しすぎるのです。
日本に住んでいる外国人は「めし食いに行こ!」は分からなくても、「お昼ご飯を一緒に食べましょう。」なら分かります。
「ご注文がお決まりになりましたらこちらのボタンを押してください。」のように長い文は分かりにくいのですが、「注文を決めてください。その後、ボタンを押してください。」だと分かります。
このように、普段私たちが話している日本語とはちょっと違って違和感があるけど外国人にとって分かりやすい言葉に置き換えたり、文を短くしたりするのが日本人が外国人と日本語で話すときのコツです。
日本では日本語の正しさでその人の能力が判断されることがしばしばありますし、品格や権威を表現しなければいけない時には難しい言葉が使われたります。
でも、本来の言語が持つ機能はコミュニケーションです。
難しい言葉を使うよりも、相手にきちんと伝わる言葉を選ぶことの方が大切な場面もたくさんあると思います。
パートナーが外国人の場合他の日本人の日本語は分からないけど、旦那さんや奥さんの日本語は分かるという外国人もたくさんいらっしゃいます。
これは自分のパートナーへの「愛」とか「思いやり」から、パートナー間で自然と「やさしい日本語」を使っているということだと思います。
「やさしい日本語」にはコツがありますが、ルールはありません。
「やさしい日本語」は相手にきちんと伝えたいという「愛」や「思いやり」が詰まった日本語だと私は思っています。
正しい日本語が使えないからと外国人をバカにする日本人もたくさんいます。
思い通りにならない日本という外国で日本語を学びながら、仕事をしている外国人がたくさんいます。
そんな彼らの努力をあざ笑うより、日本人から彼らに歩みよるべきだと私は思っています。
もし、外国人と接する機会があれば英語が話せないからとか、日本語が通じなさそうだからといって外国人を避けないで、
思い切って日本語で話しかけてみてはどうでしょうか。
そして、戦争が絶えない今だからこそ、それが世界平和の一歩につながるのではないかとも思うのです。