介護士として働く上で最も大事なこととは
私は今、介護老人保健施設(老健)で介護士をしています。
実際に働いている中で心の底から『大事だな』と思うことがあります。
今回の記事では介護士を目指している方に向けて、介護士として最も大事なことをご紹介します。
最も大事なこと
介護士として大事なのは『普通であること』です。
これは『能力や性格が平凡である』とか『一般常識がある』という意味ではありません。
介護士、特に施設介護は『施設』という狭いコミュニティの中で介護士の基準に合わせた常識ができてしまいます。
しかし、その常識は必ずしも利用者様の事を思ってのことではありません。
また、利用者様の事を思っていても、介護士の偏見から考えられた施設内ルールや介助方法もあります。
その施設内ルールや介助法は世間の常識から考えたら明らかにおかしいのに、働いている内に感覚がマヒしてしまうのです。
『普通であること』とは感覚がマヒすることなく、世間一般の常識と照らし合わすことができる能力のことです。
そしてただ単に『普通である』だけでなく、『普通であり続けること』が最も重要なことです。
介護現場の常識
なぜ『普通であり続けること』が大事なのか?
実際に施設であったケースから考えていきます。
例えば排泄介助(利用者様のオムツ交換)。
失禁した利用者様がおられた場合に「トイレ行きましょう。」という声かけをする介護士がいます。
介護士に悪気はないのですが、他の利用者様にも聞こえるボリュームで話してしまいがちです。
もしあなたが生活している中で失禁している人が居た場合はどうするでしょうか?
きっと失禁した人の羞恥心に配慮して小声で話しますよね。
他にも利用者様の介助をする際の「〇〇させます。」という言葉づかい。
例えば臥床(利用者様にベッドに寝ていただくこと)の場合。
「利用者様を寝かせてきます。」
そう言う介護士も結構多いです。
しかし、利用者様はお客様なので、そのお客様に「何かさせてくる」というのはとても不適切な言葉です。
この様に、長く働いている介護士ほど世間の常識からズレてしまいがちなのです。
普通であり続けなければ不適切な介助に気づくことができません。
私も7年以上介護士として働く中で、自分の常識がズレてしまっていると思ったことが何回もあります。
常識がズレ過ぎればどうなるか?
世間からズレていけば最終的にどうなるのか?
答えは『日常的な虐待の発生』です。
多くの人間は利用者様をイジメようと思って虐待をしているわけではありません。
利用者様の為にという意識で、いつの間にか虐待をしているというケースが大半です。
中にはごく一部の悪人がストレス解消のために、利用者様に虐待を行う事件もあります。
その事件さえも始まりの部分は『虐待を許す施設』という常識からズレた施設風土から起こっているはずです。
虐待かどうかの判断は世間の常識でされるのに対し、普段の介助は介護士側の常識で行われます。
この常識のズレの大きさがそのまま虐待に繋がります。
そして虐待の果てにあるのは、施設の閉鎖や介護業界全体のイメージダウンです。
そういうネガティブなことが繰り返されれば、介護業界の人手不足はどんどん加速してしまうでしょう。
普通であり続ける為に…
経験を積むほどに常識がズレてしまうとしたら、どうすればずっと普通でいられるのでしょうか?
その方法は二つあります。
一つ目が「自分の常識がズレているのではないか?」という疑問を持ち続けることです。
疑問を持つことで、自分の常識のズレに敏感になり、気づきやすくなります。
虐待に関する本を読んで、自分の常識を見つめ直すのも良いでしょう。
二つ目が介護士以外とも交友関係を持つことです。
別の業界の友達や知り合いと話すことで、一つの業界に染まり切ることを防止できます。
ぜひ自分が常識だと思って話したことに引かれて下さい。
そういう会話の積み重ねがあなたを『普通』に繋ぎ止めてくれます。
虐待をする介護士は介護士ではありません。
また、もし将来的に管理者など出世を目指していくのならば、虐待を止められる、虐待に気づける人間になる必要があります。
そこで求められるのが『普通であり続けること』なのです。
そして虐待のない介護の先に、利用者様の生活の質(QOL)の向上という業界の理想の姿があります。
駄文失礼しました。最後まで読んで頂きありがとうございます。