⑤パイロット in カナダ 〜カナダでパイロットとしてキャリアを積んでいく〜
前回、「専門職コラム」第4回目では「教官パイロットとして日々考え・大切にしていること」と言うテーマで、私が飛行教官のお仕事をさせて頂く中で日々大切にしている考えや、心掛けている事についてお話させて頂きました。
第5回目の今回は、「カナダでパイロットとしてキャリアを積んでいく」と言うテーマで、私が今後カナダでエアラインのパイロットになるとこを目標に現在行っていることや、今後の目標などについてお話させて頂きたいと思います。
双発計器証明訓練(Multi engine rating, Instrument rating)
今後、エアラインパイロットになるにあたって必須のライセンス、双発計器証明。
現在の教官の仕事では、VFR(=有視界飛行)での訓練を単発エンジンの小型飛行機で行っているため必要ではないのですが、今後IFR(=自分の目で見える視界に頼らず、計器のみを頼りに飛行する航法)で、エンジンが2つ以上の飛行機を操縦するために必要なため双発計器証明の訓練を行っています。
久々に自分自身が「生徒」に戻って、新しいライセンス取得のための訓練を行うのはとても新鮮な気持ちです。
自家用、事業用、教官ライセンス取得訓練の時と違うのは、双発計器訓練の担当教官Gさんは自分の同僚でもあること。
私自身のも教官なので、教官がどういう視点で生徒の訓練を行うのか、生徒にどんな事を求めているのか理解できることもそうですが、担当教官Gさんも同僚である私には通常の生徒さんとの訓練プラスαの知識を積極的に教えてくれるので、とても有難く思います。
また、双発計器訓練と並行して、ATPL(Airline Transport Pilot License=定期運送用操縦士)の筆記試験勉強も行っています。
ATPLは航空機を機長として操縦する場合などに必要なパイロットとしては最上位の資格で、この筆記試験に合格し、さらに規定の飛行経験に達すると、正式にライセンス取得となります。
カナダでの永住権申請
外国人がカナダでエアラインパイロットになるために飛行機のライセンスと同等以上に必須となる、永住権の取得。
エアラインの応募要綱の一つに、ほぼ間違いなく「永住権、あるいは市民権を保持していること」が明記されています。
永住権の取得は様々な方法があるので、自分の状況にあった方法を選択する必要がありますが、私の場合は以下の方法で現在申請し、現在、審査の経過を待っています。
尚、カナダでの移民法(ビザの種類や申請条件などを含む)は頻繁に変わるため、最新の情報を確認して対応する必要がありますので、私の経験談はあくまでご参考まで。
・2017年〜2019年:Study permit(学生ビザ)でライセンス訓練
・2019年〜現在:3年間有効なPost Graduate Work Permit を取得し教官として就労中。2021年中旬に永住権を申請し、現在、審査の経過/結果待ち
Post Graduate Work Permitは政府指定の教育機関で一定期間以上の修学を行った場合に申請/取得できる就労ビザです。
パイロットとしてステップアップ
コロナ禍で大幅に減少したパイロット需要も少しずつ回復してきているという明るい話を、最近耳にする機会が多くなってきました。
私自身は、現在、双発計器証明の訓練、ATPLの勉強と並行して永住権の取得を待っている状況ですが、現在の教官職で経験(主に飛行時間)が付いてきたので、2022年の春頃から、主に国内や特定の地域を運航しているリージョナルエアラインなど、次のステップに進むことができるよう準備をしています。
チャンスが巡って来たときに掴めるように、引き続き準備をしながらアンテナを張って居たいと思います。
これから夢や目標に向かっていく皆さんへ
私は物心ついた頃にパイロットになりたいという夢を抱きながらもその時は視力が規定に達しておらず、一旦は別の新しい夢に向かって社会人として海外営業の仕事をさせて頂き、30歳を過ぎてからパイロットの夢に挑戦し今に至ります。
社会人時代も、とても充実した生活でしたが、今は天職に就いてさらに充実して幸せな生活を送っています。
ある人から見れば、「回り道、遠回り」の様に見えるかもしれませんが、私自身は、これまでの全ての経験が今の自分には欠くことができなかったものと実感しています。
私のコラムを読んで下さっている皆さんの、現在置かれている状況は様々だと思いますが、人生の経験に無駄なことは一つもないと思いますので、その一つ一つを次に繋げる糧にして、ご自身の夢や目標を叶えられることを、陰ながら応援しています。
「専門職コラム」第5回目の今回は、「カナダでパイロットとしてキャリアを積んでいく」と言うテーマで、私が次のステップに向けて現在行っている訓練や準備についてお話しさせて頂きました。
日本でパイロットになるのか、あるいは海外でパイロットになるのか、どんなパイロットになりたいのか、その道のりは、十人十色、皆さん異なると思いますが、私の経験談が少しでも参考になれば幸いです。
それでは。