図書館司書の仕事の実態とイメージとのギャップ
「仕事中に本は読めるの?」
「一日中座りっぱなしなの?」
「図書館司書は本が好きな人ばかりなの?」
といった多くの人が持つ図書館司書のイメージとそのギャップについてお話します。
一日中座りっぱなしの楽な仕事?
図書館司書というと、一日中カウンターで座りっぱなしの仕事と思う人も多いでしょう。
しかし、実際は館内を歩き回ったり、重たい書籍を持ったりすることもとても多いです。
体力のある若手の図書館司書は非常に重宝されます。
片手でたくさんの本を持ち、もう片方の手で本棚に戻すので、片方の腕だけが太くなるという人もたくさんいます。
カウンターに座りっぱなしだと他の作業ができないため、たいていは、カウンター当番が決められていて、ローテーションで仕事を行います。
カウンター当番でない人は、調査以来のあった資料について時間をかけて調べたり、書架整理をしたり、電話応対などのデスクワークもします。
仕事中に本が読める?
図書館司書というと、仕事中に本が読めていいね、と言われることもありますが、多くの図書館では仕事中に本を読むことはできません。
これは禁じられているというわけではなく、単に業務量が多く好きな本を自由に読む余裕がないからです。
図書館司書の仕事は非常に幅広く、たとえ利用者が少なくても作業は膨大にあり、なかなか仕事中に本をゆっくりと見る時間はないのです。
ただ、仕事中にほかの図書館司書と本の情報交換をしたり、新しく入ってきた本や雑誌の中身をぱらぱらとチェックしたりすることはありますし、休み時間は自由に本を読むことができます。
新しい本をすぐに読める?
図書館には週ごとや月ごとに新しい本や雑誌が入ってきますが、本屋のように発売日当日に入ってくるわけではありません。
多くの図書館では納品業者に本を注文して配達してもらっており、以下のような流れで本が納品されます。
↓
・新刊が選書リストに載る
↓
・選書担当が購入を決める
↓
・納品業者に発注する
↓
・図書館に納品される
↓
・データをつくったり、分類をしたりして装丁を整える
あらかじめ定期購入が決まっている雑誌などは発売日から数日で納品されることが多いですが、単行本の場合、この流れをとると発売日から早くても2週間から一ヶ月ほどかかります。
とくにテレビや新聞で紹介された本、ドラマや映画になった本などは人気が高く、リクエストや予約が多く入ってしまいます。
図書館司書は一般の利用者がすべて読み終わった後でしか手に取ることができないため、新刊はほとんど読めないのです。
話題の新刊などは「自分で買ってもう読んだ」という職員が多かったです。
図書館司書は全員が本が好きな人しかなれない?
図書館司書の仕事をしていると、ほとんどの人が「本が好きなんでしょう?」と聞かれると思います。
私自身は本が好きなことがきっかけで図書館司書になりましたが、実際に図書館に勤めると、意外なのですが特別本が好きではないという人も多く働いていました。
私が見た中で面白かったのは「紙が好きで本の修理や保存に興味がある」「郷土の歴史に興味があり、働きながら古地図や写真などの資料を集め調べたいと思った」というものです。
本が好きという人のなかにも、文学だけでなく絵本が好きという人や、写真集が好きだという人もいました。
図書館司書の仕事について具体的にイメージできるようになったでしょうか。
図書館司書の仕事は本やメディアで取り上げられることも多いですが、図書館司書を目指す人は、ぜひその仕事内容や実態についてより深く知ってほしいと思います。