図書館司書ってどんな仕事をするの? 11の業務を解説
図書館司書というと、図書館のカウンターにいる人というイメージを持つ人も多いでしょう。
しかし、図書館司書はただ座っているだけではなくさまざまな仕事をこなしているのです。
図書館司書の詳しい仕事内容についてみてみましょう。
1.窓口業務
図書館司書と聞いて、カウンターで利用者とやりとりする姿を思い浮かべる人も多いかもしれません。
利用者に本を貸し出したり、返却された本を確認したりする仕事です。
ただバーコードをなぞっているだけと思われがちですが、本に破れや壊れはないか、間違った本が混ざっていないか、本の中にメモやごみなどがはさまっていないか確認しています。
そのほか、新規の利用者を登録してカードを発行したり、リクエストや予約を受け付けたりします。
2.配架・書架整理
利用者から返却された本を元に戻すことを配架(はいか)といいます。
また、本が正しい位置に置かれているかをチェックし、本を整理していくことも大切な仕事です。
日本の図書館では日本十進分類法(NDC)によってすべての資料が分類されており、0から999までの数を使って本棚に整頓しています。
背表紙に数字が書かれたラベルが貼られているのを見たことがある人も多いでしょう。
これが少しでもずれてしまうと本を探せなくなってしまうため、地味な仕事ですが非常に重要なのです。
3.レファレンス業務
図書館の重要な仕事の一つに、「レファレンス」というものがあります。
レファレンスとは、調べものや探し物をする利用者に対して、図書館司書が必要な資料を紹介したり、調べもののサポートをしたりすることです。
「夏目漱石の『坊ちゃん』はありますか?」
「花の育て方を調べたいので、初心者向けの本を教えて欲しい」
「○○年の東京の天気を知りたい」
「(絵葉書を持って)この絵を描いた人を調べたい」
など、さまざまな質問に答えるためには、幅広い知識が必要です。
4.展示やイベントの企画
図書館の本は、ただ黙っていても利用者に手にとってもらえるわけではありません。
そこで、季節に合わせた展示を行ったり、読み聞かせなどのイベントを行ったりすることで、より多くの人に本を読んでもらおうと努力しています。
たとえば春であれば入園・入学・就職にあわせた書籍をあつめたり、家庭菜園や植物について展示をしたりします。
また、「芥川賞・直木賞」「本屋大賞」など文学に関する大きな賞や、作家の訃報などがあった場合にも特集を組みます。
そのほかには、絵本や紙芝居の読み聞かせ、各種研修会、講演会などを行ったりして、多くの人に図書館に親しんでもらおうと努力しています。
5.蔵書点検
年に一度、図書館を閉館し、1週間から二週間ほどかけて館内にあるすべての本をチェックします。
専用の機械でバーコードを読み取り、本は正しい位置におかれているか、紛失している本はないかなどを調べます。
また、開館中にはできない古い資料の虫干しや、館内の清掃、工事なども行われます。
6.選書
図書館にどのような本を入れるのかを考える仕事です。
資料を購入するために使える費用は週ごとまたは月ごとに決められており、限られた予算内で多くの人に読んでもらえる本を考えるのは難しいです。
また選書に偏りが出てしまうと、図書館の公平性が保てないため、さまざまなジャンルから平等に本を選ばなくてはなりません。
そのほかの仕事
7.相互貸借
図書館にない資料をほかの自治体や大学図書館などから取り寄せる仕事です。
8.身障者対応
目の見えない人に音声データの資料を貸し出ししたり、図書館に来館できない人に郵送で本を貸し出ししたりします。
9.本の修理・廃棄
壊れた本は専門の道具を使って直します。
古い資料や傷みがひどい本は定期的に見直し、廃棄して新しいものと取り替えます。
10.延滞本の督促
返却期限を過ぎても本を返してくれない人に対しては、はがきを送ったり電話をかけたりして返してもらうよう促します。
11.新着本や寄贈本の受け入れ
新しく受け入れる本は、情報をコンピュータに登録し、ラベルやバーコードを本に貼り付け、ブッカーとよばれるフィルムをはりつけます。
これはあらかじめ納品業者がしてくれることも多いです。
図書館司書は図書館のなかで、利用者から見えないところでさまざまな仕事をしているのです。
図書館を運営していくためには幅広い仕事があるんだと知ってもらえたら嬉しいです。