陸上選手の活躍の場
競技生活を続けるための3つの方法
陸上選手が、高校や大学卒業後も競技生活を続けるには、プロになるか、陸上部のある企業に就職するか、本業を持ちながら競技生活をするかなど、いくつかの方法があります。
ほとんどの陸上選手は企業に就職し、その企業の陸上部員として競技生活を続けています。
一方で、プロ宣言をしたのは、マラソンの有森裕子選手と高橋尚子選手、そして、400mハードルの為末大選手など限られた選手だけでした。
選手として独立して、スタッフを雇いながら競技を続けていくことは、そう簡単なことではないことがうかがえます。
一方で、東京オリンピックの男子マラソン代表選考を賭けたレースで日本新記録を樹立したのが、大迫傑選手です。
「最強の市民ランナー」の異名を取り、全国各地のレースに参戦する独自の調整スタイルで世界選手権のマラソン日本代表にもなった川内優輝選手のように、実力と人気を兼ね備えるランナーがプロとして活躍する例も少しずつですが増えつつあります。
20代で正社員への就職・転職
種目や男女別で就職する企業も異なる
陸上選手が就職する企業は、基本的に、陸上選手の競技活動をサポートしようという意志のある会社です。
しかし、陸上競技は種目が多いため、企業によって力を入れる種目や男女別によって就職できる企業が異なっています。
駅伝やマラソンなど長距離選手を積極的に採用している企業としては、男子の場合、トヨタ自動車、コニカミノルタ、日清食品グループ、Honda、中国電力、DeNA、富士通などがあります。
女子の長距離選手を多く採用する企業としては、デンソー、ダイハツ、ヤマダ電機、豊田自動織機、パナソニック、第一生命、九電工、ユニクロ、しまむらなどがあります。
トラック競技やフィールド競技の選手を積極的に採用している企業としては、ミズノ、富士通、住友電工、九電工、東邦銀行、モンテローザ、ゼンリン、七十七銀行などがあります。
本業をもちながら競技生活を続ける
本業をもちながら、陸上競技を続けている選手もいます。
現在はプロに転向しましたが、埼玉県庁の職員として働きながら、マラソンの日本代表として世界陸上に出場した川内優輝選手がよく知られています。
川内選手は、趣味としてマラソン大会に参加する「市民ランナー」と同じスタイルながら、日本のトップ選手として活躍しました。
各地のレースに、特別招待選手として呼ばれることも多くなり、2019年4月からプロランナーに転向しています。
女子では、2020年の大阪国際女子マラソンで日本人2位に入った、山口遥選手も市民ランナーです。
東京のランニングクラブであるAC・KITAに入り、実業団選手さながらにレースに出場しています。
山口選手は23歳で結婚し、28歳までは専業主婦でした。
現在は自身の競技に加えて、日本ブラインドマラソン協会の職員として働き、ブラインドランナーの練習支援や伴走者なども務めています。
20代で正社員への就職・転職
陸上クラブの運営会社に所属する
最近は、陸上競技クラブの運営会社も設立されています。
2005年に、日本で初めて設立されたのが、新潟アルビレックスランニングクラブです。
地元の企業や個人の支援で成り立っています。
地元の小学生から大人までが会員になってトレーニングをしたり、コーチやトップ選手が地元でランニング教室を開くなど地域密着型の運営をしています。
トップ選手は、陸上教室の講師を務めたり、イベントに出演したりしながら、選手として大会に出場しています。