陸上選手に向いている体型・体格の特徴【種目別に紹介】
しかし、陸上競技は非常に種目数が多く、種目ごとに向いている体型や体格も異なります。
この記事では、陸上選手の体型・体格の特徴について、種目ごとの違いにも触れながら紹介します。
陸上選手の体型・体格の特徴は?
陸上競技は種目が多いため、種目ごとに体型や体格の特徴も異なります。
ここでは、陸上種目別の選手の体型の特徴を説明します。
スラリ系とガッシリ系
ひとことで「陸上競技」といっても、五輪では男子が24種目・女子が23種目、合計47種目実施(東京2020)されているほど、多種多様です。
そのため、陸上選手の体型や体格も、種目によってバラバラですが、大きく見ると、「スラリ系」と「ガッシリ系」に分けられます。
トラック競技や跳躍系の種目は、どちらかといえばスラリ系タイプの選手が多いです。
それに対して、砲丸投げやハンマー投げといった投てき競技の選手にはガッシリ系タイプが目立ちます。
ハンマー投げの選手がガッシリ系なのは?
たとえば、ハンマー投げや砲丸投げで世界のトップクラスの選手は、例外なく体が大きいです。
平均体重は100kgを超えています。
というのも、ハンマー投げや砲丸投げは、自分が回転することによって生じる遠心力を利用して投げます。
ハンマー投げの場合、その遠心力が最大で400kg近くまでになるといわれており、それに耐えるには、体重が重いほうが有利なのです。
アテネ五輪のハンマー投げで、金メダルを獲得した室伏広治選手も、身長187cm・体重99kgと、日本の選手としてはガッシリしています。
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男子短距離では180cm台が有利?
トラック競技や跳躍種目は、いかに前方へ速く、あるいは遠くまで体を運ぶかを競います。
それには体重が重いより軽いほうが有利であるため、トラック競技や跳躍種目にはスラリ系の選手が多いことが特徴です。
たとえば、陸上界では、男子の短距離選手は身長180cm台が最も有利といわれています。
このように、高い成績を残した多くの選手が180cm台です。
190cm以上の選手は、スタート後の加速が鈍く、出遅れやすいために不利というデータが出ているのです。
また、世界のトップクラスの選手は、100mを43〜45歩で走り抜けます。
平均の歩幅は2.20〜2.30mで、身長が180cm以上なければ、この歩幅で走ることは難しいと考えられています。
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自分の体型・体格の特性を理解する重要性
陸上選手として成功するためには、自分の体型や体格の特性をよく知り、上手に管理・維持していくことが大事です。
ここでは、トップ選手が実際にどのように体型コントロールをしているかを紹介します。
身長170cm台で世界のトップに挑む日本人選手
男子100mで、日本人初の9秒台をマークした桐生祥秀選手は、身長が175cm・体重が65kgと、世界トップクラスの短距離選手の中では小柄です。
桐生選手の走りを分析すると、スタート後の加速はよくても、後半の失速が大きいようです。
さらに、100mを走るのに47歩前後かかっていて、平均の歩幅も2.13mと、世界のトップ選手と比べて短くなっています。
一方、男子100mで9秒58の世界記録をマークしたウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)は、身長が194cm・体重が94kgです。
スタートで出遅れるものの、100mを41歩、平均の歩幅も2.44mで駆け抜けるため、後半の追い上げで巻き返します。
ボルト選手が世界記録をマークする前は、スタートのうまいアサファ・パウエル選手(ジャマイカ)のスタートを研究してタイムを縮めることに成功しました。
大切なのは自分の体型に合った走り方とレース戦略
桐生選手は歩幅が短い分、ピッチ(回転)数を上げることで補うことは可能です。
さらに技術的に無駄な部分を修正していけば、もっとタイムを縮めることができるとも考えられています。
大切なことは、自分の体型や体格にあったスタイルを追求するとともに、技術的な無駄を省くことでフォームを洗練させることです。
「陸上選手に向いている体型」まとめ
陸上競技は種目数が多いため、種目ごとに選手の体型や体格にも違いが見られます。
トラック競技や跳躍系の種目ではスラリとした選手が多い一方、投てき系の種目ではガッチリとした選手が多いことが特徴です。
体型の目安はありますが、選手は自身の身体特徴をよく理解し、ベストなパフォーマンスが出せるような体づくりを続けていくことが重要です。