陸上選手の現状と将来性
陸上選手の現状
社会人として陸上を続ける方法
高校や大学卒業後も陸上選手として活動するとき、現在はおもに3つの方法があります。
「企業の陸上部に所属する」「本業をもちながら競技活動を続ける」そして、「プロの陸上選手になる」という方法です。
最も多いのは企業の陸上部
最も多くの陸上選手に当てはまるのが、企業の陸上部に所属するという方法です。
社員として給料をもらえるうえに、選手活動にかかる費用もほとんど負担してもらえます。
練習環境にも恵まれ、競技活動に集中することができます。
企業選手には、企業によって会社の仕事も行う「社員選手」と、会社の仕事をしない「契約社員」がいます。
契約社員は、競技生活から引退すると会社も辞めなければなりませんが、社員選手は、競技生活からの引退後も、一般社員として会社に残ることができます。
本業をもちながら競技活動を続ける
学校の先生や公務員といった本業をもちながら、競技活動を続ける選手もいます。
こうした選手は、自分のペースでトレーニングをしたり、大会に出場することができます。
自分の実力に合わせた競技活動を送りやすいです。
しかし、所属する会社や団体からのサポートがないので、活動時間が限られます。
活動にかかる費用も、ほとんど自己負担となり、いろんな面で家族や同僚の協力がなければ、第一線での競技生活を続けることは難しいです。
プロ選手として賞金レースを稼ぐ
プロの陸上選手として活動すれば、賞金レースに出場して賞金を獲得することができます。
また、スポンサー企業と契約して契約金を手にしたり、イベントなどへの出演料も手にできます。
しかし、陸上競技は、日本では大会数も少なく、野球やサッカーと比べ、人気もそれほど高くありません。
種目を問わず、オリンピックや世界陸上といった大舞台で金メダルを狙えるような選手でなければ、スポンサーがつきにくいです。
過去には、有森裕子選手、高橋尚子選手、為末大選手、室伏広治選手がプロ活動をしました。
高橋選手と室伏選手がオリンピックの金メダリスト、有森選手がオリンピックの銀と銅メダリスト、為末選手が世界陸上の銅メダリストです。
20代で正社員への就職・転職
陸上選手の今後の動向
企業は景気や業績に左右されやすい
その一方で、企業の陸上部に所属する選手には、社員の士気を高めたり、企業の宣伝効果が期待されています。
そのため、少々の故障や体調不良があっても、大きな大会には出場しなければならず、無理を重ねることで記録が伸びなかったり、選手生命を短くすることもあります。
企業スポーツは、その会社の規模や業績に左右されやすいものです。
会社の規模や業績によって、給料や活動費、寮などに差があります。
また、会社の業績が悪化すれば、陸上部が廃止されることもあります。
長く現役を続けるなら、移籍も手段
企業の陸上部には、毎年のように高校や大学から若くて優秀な選手が入ってきます。
プロのチームとは違い、企業の陸上部では選手を抱えられる人数には限界があります。
そのため、結果を残せていなかった場合や、ある程度の年齢に達した時にチームを出ることになってしまいます。
ただし、最近ではそうした選手がほかの企業の陸上部に移籍して現役を続けるということも増えています。
加えて、最初に入ったチームでは中々結果をの残せず伸び悩んだ選手が、移籍先で才能を開花させたり、ベテラン選手が若いチームの中でよいお手本として重宝されることもあります。
陸上選手の将来性
日本で、陸上競技は、駅伝やマラソンを中心にある程度の人気があります。
将来的にも、陸上部をもつ企業が選手をサポートしていく体勢は続くはずです。
業績の悪化した企業によっては廃部するところもあるでしょうが、陸上競技に対するマスコミの注目度が高いことは、企業にとっても魅力です。
しかし、とくに企業に所属する長距離選手は、人気の高い駅伝を最優先にしなければならないという風潮が強まっています。
マラソンに挑戦したい選手や、練習方法や練習量を指導者から指示されるのが嫌な選手、さらにチーム練習に向かない選手には、企業の陸上部を敬遠する人もいます。
将来的には、本業をもちながら競技生活を続けていくスタイルを選ぶ選手が増えるかもしれません。