奨励会とは
奨励会(しょうれいかい)とは
プロ棋士になるための登竜門
奨励会は正式名称「新進棋士奨励会」といい、日本将棋連盟のプロ養成機関です。
プロ棋士として活躍するには、まず日本将棋連盟の「奨励会」に入会し、四段以上になる必要があります。
四段以上になると日本将棋連盟に所属するプロ棋士として認められ、リーグ戦で名人を目指したり、棋戦と呼ばれるタイトル戦やトーナメント戦に出場して対局料や賞金の獲得が可能です。
将棋界にはアマチュアも存在しますが、プロ棋士には独自の段級位制があるため、アマチュアからプロへの転向はほとんどありません。
そのため基本的に棋士になるためには、奨励会への入会が必要となっています。
入会資格
奨励会に入会するには資格が設定されており、19歳以下でプロ棋士の推薦があれば希望の級位を受験することができます。
そこで対局、筆記試験を通過すれば晴れて奨励会会員として、プロ棋士を目指すスタートラインに立つことが可能です。
リーグ戦を勝ち抜く
奨励会に入ってからは、ライバルたちとの厳しい戦いが始まります。
日本全国の腕自慢が集まるリーグで好成績をあげ、昇級・昇段をしていかなければいけません。
30名ほどが在籍している棋士になれる一歩手前の三段リーグで、上位2位以内になれば晴れて四段になり、プロ棋士になることができます。
三段リーグは半年に1回行われ、1年間に4人しかプロになれないため、非常に狭き門となっています。
年齢制限
奨励会には年齢制限があるため、いつまでも所属できるわけではありません。
21歳の誕生日を迎えるまでに初段、26歳の誕生日を迎えるまでに三段リーグで勝ち越しできなければ退会となります。
勝ち越しできれば29歳まで延長して在籍することもでき、そのほか細かい規定がありますが、奨励会に入会できてもプロになれるのはほんの一握りの世界です。
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女性と奨励会
奨励会は女性もチャレンジできる
奨励会には性差がなく、当然女性も入会することができます。
しかし今のところ、奨励会から四段の棋士になった女性はいません。
2020年3月に第66回奨励会三段リーグでは、女流棋戦で活躍している西山朋佳三段が好成績をあげたことが注目されましたが、惜しくも3位という結果でプロ棋士になることができませんでした。
来年以降に初の女性棋士が誕生するかもしれないということで、今後の活躍が期待されています。
女流棋士
「棋士」とは別に、女性のみで構成された「女性棋士」という制度もあり、2019年10月時点で現役・引退を合わせて70名以上の女流棋士がいます。
奨励会の2級以上であれば女流棋士の資格を得ることができるほか、奨励会の下部組織である「研修会」においても、一定の基準を満たせば女流棋士としての資格を得ることが可能です。
女流棋士になると女流公式戦に出場することができ、「マイアビ女性オープン」「女流王位戦」などの7つのタイトル戦と、「YAMADA女流チャレンジ杯」という一般女流棋戦があります。
中学生棋士
中学生棋士とは
中学生棋士とはその名のとおり、中学校在学中にプロ棋士になることです。
奨励会には小学生から入会することができるため、短期間で四段への昇格を果たしていることになります。
中学生なのに報酬を得ることができるのは、ほかの競技ではあまり見られないことでしょう。
中学生棋士の多くは幼少の頃から「神童」と呼ばれるほど将棋が強い子どもで、プロになっても例外なく活躍しています。
これまでの中学生棋士
過去、中学生棋士になったのは5名のみです。
1人目の加藤一二三棋士は天才と呼ばれ、名人位にも就きました。
2017年6月の対局を最後に77歳で引退しましたが、約63年に及ぶ現役生活は大記録として伝説になっています。
また2人目の谷川浩司棋士は「光速流」と呼ばれ、終盤に相手を追い詰めるスピードがすごく、一時代を築いて名人位を通算5期以上獲得しました。
引退後は永世名人を名乗る権利を有するほどの大棋士で、日本将棋連盟の元会長でもあります。
3人目の羽生善治棋士はご存知の人も多いでしょうが、10年以上トップを走り続け、一時は将棋のすべてのタイトル保持者となる史上初の「七冠王」になりました。
そして4人目の渡辺明棋士は、名人以外の棋戦(タイトル戦)の最高峰である竜王戦を9連覇し、また史上最年少の21歳7ヶ月で最高段位九段になったという天才棋士です。
5人目の中学生棋士は藤井聡太棋士で、2016年に中学2年生の14歳2ヶ月でプロデビューしました。
62年ぶりに最年少記録を更新したことで話題になりましたし、プロデビュー後も3年連続勝率8割以上という大記録を打ち立てています。
このように中学生棋士は、いずれも将棋界に名を残す大棋士になっているのも注目する点でしょう。
棋士と学校の両立
中学生でプロ入りしたからといって、そこで高校に行かず、将棋に専念したかといえばそうではありません。
プロ棋士の対局をこなしつつ、みな高校に通っていますし、加藤棋士は将棋に専念するために中退したものの大学にも進学しています。
中学生棋士としてデビューするほどの頭脳を持つため、成績もよいそうですが、東京や大阪に対局で遠征するとその分学校に通えなくなってしまうため、出席日数が足りなくなるのが課題のようです。
学業とのスケジュール調整は必要になりますが、学校に通いながらプロとして活動できるのも将棋の魅力といえるでしょう。