コンサートプロモーターの仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「コンサートプロモーター」とは
コンサートを開催するにあたっての宣伝や販売促進について企画・運営を行う。
コンサートプロモーターは、コンサートを開催するにあたってのプロモーション活動(宣伝、販売促進)などの企画・運営をする仕事です。
芸能プロダクションやレコード会社から依頼を受けて行う「委託興行」であれば、会場確保やスタッフの手配、チケット販売、当日の会場設営や観客誘導・警備、さらには進行管理や撤収などまで幅広く請け負い、裏方としてコンサートを成功に導きます。
おもな就職先はイベント企画・制作会社であり、特別な資格は必要ありませんが、興行の企画・運営は独自の慣習や歴史があるため、地道な下積みが必要となります。
華やかに見える世界とは裏腹に上下関係が厳しいといった一面もあり、新人時代は決して高い給料が望めるわけではありません。
時代とともに変化するさまざまな問題を好転させるアイデアを持ち、業界関係者と良好な関係を築きながら臨機応変に立ち回る力が必要とされます。
「コンサートプロモーター」の仕事紹介
コンサートプロモーターの仕事内容
コンサートの企画・プロモーションを行う
コンサートプロモーターは、コンサートの企画をし、宣伝、販売促進などのプロモーション活動を行ってコンサートの開催を円滑に進めていく仕事です。
コンサートプロモーターが手掛けるコンサートの種類は、芸能プロダクションやレコード会社から依頼を受けて行う「委託興行」と、自らが主催者となる「自主興行」の2種類に分けられます。
「委託興行」の場合、会場の確保やスタッフの手配、プロモーション活動、チケット販売、当日の会場設営や観客誘導・警備、出演者の送迎手配、進行管理などを幅広く請け負います。
「自主興行」は海外アーティストのコンサートや音楽フェスティバルが多くなります。
コンサートプロモーターになるには
学生時代からイベント制作会社などでアルバイトをすると有利に
コンサートプロモーターになる方法としては、専門学校や大学卒業後、イベント企画・制作会社に就職するのが一般的です。
特別な勉強をする必要はありませんが、音楽関係やイベント関係の学科がある専門学校や大学で学ぶ人もいます。
コンサートの専門知識や現場経験が豊富な人材が求められるため、学生時代からコンサート会場やイベント制作会社でアルバイトをすると有利になることがあります。
なかには、卒業後にそのまま関わったイベント制作会社に正社員として採用されケースもあるようです。
アルバイトのコンサートスタッフとして多様な業務を経験し、能力を認められることで企画も任されるようになったり、テレビ業界や音楽業界から転職する人もいます。
コンサートプロモーターの学校・学費
大卒者や音楽系の専門学校卒業者が多い
コンサートプロモーターになるために必ず通わなくてはならない学校はありません。
学歴もさほど重視されませんが、大手企業では就職活動の際に大卒者が有利になることがあります。
一方、音楽系の専門学校では、コンサートプロモーターに関連する勉強ができるところもあります。
このような専門学校のなかには、在学中の研修として現場経験ができるカリキュラムを設けているところもあるため、即戦力として就職して活躍したい人は、そのような学校を探してみるとよいでしょう。
コンサートプロモーターの資格・試験の難易度
資格よりも現場経験が重視される
コンサートプロモーターになるために必要な資格はとくにありません。
この仕事では資格というよりも、コンサートを企画・運営していくための知識や経験が豊富な人が求められています。
そのため、テレビや芸能・音楽業界などで働いて転職を目指したり、コンサート会場のアルバイトスタッフから正社員のコンサートプロモーターになる例も多く見られます。
できるだけ早い段階でコンサートに関連する勉強がしたいのであれば、専門学校などでコンサートの専門知識や制作の流れを学び、イベント会社でのアルバイトをしておくとよいでしょう。
コンサートプロモーターの給料・年収
経験を積むことで給料アップが目指せる
コンサートプロモーターは、基本的にイベント企画・制作会社に勤務して働くため、会社から支払われる給料が収入となります。
正社員として雇用される場合、就職してしばらくのあいだは月収17万円~25万円程度、年収250万円~350万円程度でしょう。
経験が浅いうちは収入の少ない状態が続くこともありますが、実績を重ねて能力を認められると年収は上がります。
定員数万人の「スタジアムクラス(ドームクラス)」の興行を多く請け負うと、高収入を目指せるようになるでしょう。
コンサートプロモーターの現状と将来性・今後の見通し
人間力が高く、周囲を巻き込む力を持つ人材が求められる
音楽業界としてはCDの売り上げが減少している一方で、コンサートやライブ、フェスティバルで音楽を楽しむ人口は増加している現状があります。
時代とともに変化するさまざまな問題を好転させるようなアイデアの持ち主は、多くのイベント企画関連会社で求められています。
また、この仕事では調整事や交渉事が多いため、多数の関係者と円滑なコミュニケーションができる人材のところに仕事が舞い込みやすいという特徴があります。
フットワーク軽く、周囲を巻き込んで自分からどんどん行動を起こせるタイプの人は、コンサートプロモーターとして幅広く活躍できるチャンスが掴めるでしょう。
コンサートプロモーターの就職先・活躍の場
イベント企画・運営会社が中心
コンサートプロモーターのおもな就職先は、イベント企画・運営会社です。
このほか、芸能プロダクション、音楽プロダクション、コンサートホールやライブハウスなどの音楽施設、レコード会社、広告代理店などで活躍している人もいます。
ほとんどのコンサートプロモーターが、こうした企業に就職して働いていますが、コンサート自体は全国各地のコンサート会場で行われるため、場合によっては自分自身も全国を飛び回る生活になることもあります。
コンサートプロモーターの1日
コンサートの内容や抱えている業務によって動きは変わる
コンサートプロモーターの仕事では、コンサートに向けての準備をしている時期と、コンサート当日でまったく異なる1日となります。
また、同じ準備期間でも日によって動き方は異なり、ルーティンワークが少ない仕事だといえるでしょう。
ここでは、イベント企画会社で働くコンサートプロモーターの、コンサート当日のある1日のスケジュールを紹介します。
09:00 現場入り
コンサート会場へ入り、当日の流れを再度確認します
10:00 スタッフ会場入り
関係者が次々と集まります。
10:30 機材搬入
機材搬入がスムーズに進んでいるかチェック。
12:00 打ち合わせ、
関係者と公演内容について打ち合わせ。
13:00 出演者会場入り
挨拶をして場を和ませます。
14:00 小休憩
手が空いている時間を見計らい、ほんのわずかの休憩をとります。
14:30 確認事項
終演後の撤収や移動の段取りを最終確認。
15:30 グッズ販売状況チェック
グッズ販売が順調に進んでいるかを確認。
18:30 開場
お客さまが次々とやってきます。
19:00 開演
急なトラブルが発生しないか慎重に見守ります。
21:00 終演
すぐに機材を搬出し、撤収作業に取り掛かります。
22:30 業務終了
長い1日が終わりました。日によっては関係者と打ち上げに参加することも。
コンサートプロモーターのやりがい、楽しさ
ひとつのイベントを作り上げる感動と興奮
コンサートプロモーターは、ひとつのコンサートを無事にやり遂げるために、企画から準備、プロモーション、運営など幅広い業務に関わっていきます。
関係者との交渉事や調整事も多く、気苦労は計り知れませんが、だからこそ腕のいいコンサートプロモーターはたくさんの人から信頼されます。
自分の力でコンサートを形づくることができ、無事にイベントが成功したときには、毎回新しい感動と興奮を味わえます。
変化に富んだ仕事であるため刺激も多く、飽きることなく働き続けられることもコンサートプロモーターのやりがいだといえます。
コンサートプロモーターのつらいこと、大変なこと
一つのミスで多くの人に迷惑をかけてしまうことも
コンサートは、数多くの関係者の力を結集することで作られていきます。
そのなかでコンサートプロモーターは、状況を瞬時に判断し、臨機応変に行動する力が求められます。
スケジュールの調整や交渉なども主体的に行うことになり、自分の判断によって多くの関係者が動くことになるため、もし何かちょっとしたミスがあれば現場は大騒ぎになってしまう可能性があります。
多忙な日々のなかで、つねにプレッシャーを抱えながら仕事をしなくてはならないのが、コンサートプロモーターの大変な一面だといえます。
コンサートプロモーターに向いている人・適性
周囲への気遣いができ、細かなところまでよく気が付く人
コンサートといってもさまざまなジャンルがありますが、音楽全般について詳しい知識のある人はコンサートプロモーターに向いているといえるでしょう。
なお、ひとつのコンサートを開催するには多数のスタッフが関わるため、コミュニケーション能力や交渉力、英語など語学力に優れた人、細やかな心配りや気づかいのできる人は適性があります。
また興行の企画・運営は歴史のある仕事です。
上下関係も厳しく、挨拶に始まり挨拶に終わるような礼儀が重んじられる業界でもあります。
コンサートの専門知識や現場経験も必要ですが、一般常識をわきまえている人に向いている仕事ともいえます。
コンサートプロモーター志望動機・目指すきっかけ
コンサートやイベントを盛り上げたいという思い
コンサートプロモーターを目指す人は、もともと音楽イベントや各種コンサートに足を運ぶことが好きで、芸能や音楽関連の仕事に就きたいと考えるなかで、この仕事に興味を持つことが多いようです。
とくに、コンサートをただ観客として楽しむ側として終わるのではなく、自らがその作り手になりたいという思いを持つようになったことがきっかけで、コンサートプロモーターを目指すようになったという声も聞かれます。
この仕事では、コンサートに関連する幅広い知識やスキルが求められるため、仕事に情熱を持ち、あらゆることをどんどん吸収していく熱意が大事になってくるでしょう。
コンサートプロモーターの雇用形態・働き方
アルバイトからステップアップしていく人も
コンサートプロモーターのおもな就職先はイベント企画・制作会社です。
雇用形態は正社員、契約社員、アルバイトとさまざまで、実務未経験者や若い人はアルバイトとして働く人も比較的多く見られます。
アルバイトやインターンシップで学生時代に現場経験をしていると、そのまま卒業後に正社員として採用される確率は高まるとされます。
この仕事は実務経験が重視される傾向が強いため、何らかの形で業界に入りこんでさまざまな経験を積み、人脈を広げていくとよいでしょう。
コンサートプロモーターの勤務時間・休日・生活
一人前になるまでには多忙な日々になることも
コンサートプロモーターは、ひとつの興行に対して最初から最後まで関わります。
正社員であれば、基本的に会社が定める勤務時間や休日に沿って働きますが、コンサートは土日祝に開催されることも多いため、休日出勤することはあります。
なお、企画を担当できるようになるまでには、さまざまな現場経験を積む必要があります。
まずは会場の調整やチケット販売、宣伝活動のような地道な業務を務め、開催当日は1番に会場入りして機材の搬入や観客の誘導などをサポートします。
公演終了後も最後まで残って掃除をし、打ち上げの手配をすることもあります。
数多く存在するスタッフのなかでも拘束時間は最も長く、体力的に厳しい仕事です。
開催地に合わせてあちこち飛び回ることもあるでしょう。
コンサートプロモーターの求人・就職状況・需要
さまざまなイベント関連企業で求人が出されている
コンサートプロモーターは、どのイベント企画・運営会社でも必要とされる存在であり、芸能プロダクション、音楽プロダクション、コンサートホールやライブハウスなどの音楽施設、レコード会社、広告代理店などでも求人はあります。
イベント関連企業は東京や大阪といった大都市のみならず全国各地に点在しているため、生まれ育った地元近くで正社員として就職することもできます。
ただし、コンサートの開催地は各地におよぶため出張することも日常茶飯事です。
なお、大手企業では新卒など未経験の若い人材の採用も積極的に行われていますが、比較的規模の小さな企業では即戦力になれる中途採用の求人がメインになっている場合があります。
コンサートプロモーターの転職状況・未経験採用
芸能や音楽関係の勤務経験がある人は有利に
コンサートプロモーターは、音楽や芸能関連の幅広い知識、イベントの企画力・実行力などが求められることから、どちらかというと経験者が歓迎されやすい仕事です。
実際、テレビ業界や音楽業界で勤務経験のある人が、転職によって中途採用されることも多いようです。
未経験者を募集する会社もゼロではありませんが、学生時代にコンサート会場でアルバイトとして働いていた経験がある人は優遇されることがあります。
経験がない場合、アルバイトからでも業界に入り込み、地道にステップアップする努力が求められるでしょう。