通信業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説

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通信業界とは

私たちの生活に欠かせない、通信に関するサービスを提供するのが通信業界です。

テレビ放送やインターネット関連サービスを含めた「情報通信業」の一種で、「NTT」「ソフトバンク」「au」など知名度の高い企業やブランドが軒を連ねています。

スマートフォンを含む携帯電話、固定電話、インターネットなどさまざまな商品を扱うので、関連する職種は豊富です。

携帯電話ショップでの販売職、ITサービスを取り扱う技術職、企業に通信サービスを販売する営業職が存在します。

最先端の技術を取り扱っており、今後も発展が見込める業界です。

ただし、国内市場はやや頭打ちなので、海外展開を素早く行うのが生き残りの鍵といえるでしょう。

平均年収が高いので学生からの人気も高く、どちらかといえばバリバリ仕事をこなすことが必要です。

労働時間や残業も発生しがちなので、心身ともにタフさが必要となるでしょう。

若い人材が集まっており、堅苦しくないフランクな雰囲気があります。

通信業界の役割

誰もがインターネット回線とスマートフォンを手元に持つ時代なので、通信業界が果たす役割は重要です。

単なる通信だけでなく、電子書籍の配信・支払いや決済・ショッピングなど、生活に関連するあらゆるサービスと密接に関連しています。

離島や過疎地では、自治体を維持する上で欠かせない社会インフラといっても過言ではありません。

通信業界のミッションは、現代科学の結晶といえる通信技術を、企業や個人に最適な形で提供することです。

一般人では扱えないサービスや機器もあるので、専門技術を持った専門家の密接なサポートは欠かせません。

単なる利益追求や価格競争ではなく、「通信技術を通じて社会を豊かにしたい」という志が、今後の通信業界には求められます。

通信業界の企業の種類とビジネスモデル

それでは、通信業界のビジネスモデルを細かく見て行きましょう。

通信は国家の根幹をなす分野なので、外資系の参入は法律で厳しく規制されています。

なので、通信業界の企業は基本的には国内資本企業です。

業界を大きく見てみると、固定電話やパソコンに対する通信サービスである「固定通信」、携帯電話やスマートフォンに対する通信サービスである「移動体通信」、インターネット接続を請け負う「インターネットサービスプロバイダ」がおもな事業です。

キャリア

通信業界で代表的な存在が、「NTTグループ」、「KDDIグループ」、「ソフトバンクグループ」で構成されるキャリアと呼ばれる存在です。

自社専用の通信設備を保有することを国から認可されており、「MNO(モバイルネットワークオペレーター)と呼ばれることもあります。

近年は、スマートフォンの普及が進んで移動体通信の売り上げが飛躍的に伸びた反面、固定通信の売り上げが減少中です。

通信サービスの利用料を徴収することが、キャリアのビジネスモデルとなっています。

通信事業だけでなく、アプリ開発、固定電話設備施工、人工知能(AI)提供など多種多様なサービスが展開しています。

それらをユーザーに利用してもらうことで、ARPU(1人あたりの平均売り上げと契約者数)を向上させるのが狙いです。

MVNO

中小企業はMVNO(モバイルバーチャルネットワークオペレーター)と呼ばれており、「楽天モバイル」、「mineo」、「UQmobile」などが大きなシェアを持っています。

キャリアから回線設備を借り、それを利用した独自サービスがビジネスモデルです。

MVNOは一般的なサービスではキャリアに太刀打ちできないため、法人向けに特化したサービスや格安SIMカードの販売など、ニッチな分野で差別化を図っています。

近年は、あらゆるものがインターネットで制御される「IoT技術」への投資が盛んです。

通信業界の職種

研究開発

アプリケーションやセキュリティシステムなど、通信に関するあらゆる技術研究を行う職種です。

高速・大容量な通信技術の開発が近年急ピッチで進んでおり、通信業界の発展になくてはならない存在です。

成果を出すには、専門分野に対する好奇心と探求心が必要となります。

設計

開発された通信技術をもとに、実際に運用するシステムの設計を行う職種です。

ハッカーに対抗するための安全対策も、設計によって作成されます。

システムの完成度は設計に左右されるため、最新技術を積極的に吸収する姿勢が必要です。

セールスエンジニア

営業とエンジニアを兼任し、ソフトウェア、ITソリューションの販売から設置まで担当する技術営業です。

繊細な商品を扱っているので、豊富な専門知識と、さまざまな業務に対応できるマルチタスク力は必須となります。

営業職、技術職の両方を体験できるので、やりがいのある職種です。

ネットワークエンジニア

ネットワークシステムの構築や、保守管理を担当する職種です。

通信業ではインターネットが重要な役割を担うので、ネットワークエンジニアの責任も重いものとなります。

システムの導入・監視・トラブル対応に至るまでを一人で担当する場合もあり、心身ともにタフネスな方におすすめです。

ITスキルはもちろんのこと、クライアントとの折衝も頻繁に行われるので、コミュニケーション力が重要となります。

商品企画

通信に関する、新しいサービスや商品を世に送り出す仕事です。

アイディア蓄積・企画作成・販売戦略立案まで一貫して携わるため、調整能力やバランス感覚が必要とされます。

商品の寿命は年々短くなっているとされており、商品企画の重要性は徐々に高まっています。

通信業界のやりがい・魅力

常に最新技術を学べるので、やりがいのある業界です。

自分のアイディアを提案しやすいので、世に出す製品にオリジナリティを加えるのも夢ではありません。

開発した商品が世の中で使われることで、社会に貢献できていることを実感できます。

専門技術が必要となるので、給与や福利厚生など待遇は充実しています。

多様性の観点から、社員の働き方改革にも熱心です。

上場企業では管理職の年収が1,000万円を超えることもあり、高収入にチャレンジできる業界といえるでしょう。

時流に乗ることを重視する企業が多いので、若者の感性は重宝されます。

早くから最新技術の習得に努め、新規プロジェクトに挑むことがキャリアアップへの鍵です。

ただし、携帯ショップの販売員など比較的年収の低い職種もあります。

近年、スマートフォンの普及がひと段落したことにより、業界全体の成長率は落ち着きつつあります。

しかし、データ量の継続的な増加や5Gによるモバイル回線の技術革新など、明るい未来を予感させるニュースにはこと欠きません。

性能が向上すると予測されるIoTやAIとも密接な関わりがあるので、今後の成長が期待できる業界といえるでしょう。

最新技術をもとに、ユーザーの役に立つサービスを提供できるかが問われます。

通信業界の雰囲気

技術系の職種は、資格取得や知識習得を求められるので、好奇心やチャレンジ精神を是とする雰囲気があります。

どんな知識も数年経てば古くなってしまうので、定期的に思考をアップデートする努力が必要です。

時代の最先端を走り、社会の変革に挑戦する気概を持ちましょう。

販売や営業系の職種は、法人個人問わず、さまざまなお客さまとのコミュニケーションが必要です。

他企業に派遣され、派遣先の社員と打ち合わせしながら進めるプロジェクトも存在します。

交渉能力や折衝能力が鍛えられるので、積極的にコミュニケーションに挑戦しましょう。

通信業界に就職するには

就職の状況

安定した大手通信キャリアからスタートアップしたばかりのベンチャー企業まで、さまざまなタイプの企業から就職先を選べます。

新興企業の参入が相次いでいるので、しばらくはこの状況が続くでしょう。

規模が大きい企業ほど着実な給与やキャリアアップが可能ですが、その分他の学生との競争が激しくなります。

ベンチャー企業では裁量権が大きく短期間で成長できますが、業務はハードです。

大企業ではいかに選考を勝ち抜くか、ベンチャー企業ではいかにスキルを磨くかが重要となります、

自身の性格や特性を考慮し、適性のある企業を選びましょう。

就職に有利な学歴・大学学部

通信業界の企業に新卒で入社する場合、主な進路は事務系と技術系の2つです。

事務系は営業・企画・管理など一般企業でもよく見かける職種、技術系は開発・研究・保守など専門性の高い職種が存在します。

「研究開発職」という研究専門の職種を募集している企業もいますが、専門知識が問われる狭き門です。

必要学歴は「大卒以上」となっている企業が多数を占めますが、高卒・専門学校卒で応募できる企業も一部存在します。

気になる企業があれば、募集資格を満たしているか一度確認してみましょう。

学部は基本「不問」となっていますが、一部技術職では理系大学からの募集がメインとなっています。

応募する際は、自身の学歴とスキルがマッチングする部署をよく見極めましょう。

就職の志望動機で多いものは

通信業界ならではの志望動機として、「技術によって人と社会を幸せにする」があります。

時代の最先端を行く業界なので、技術と絡めた志望動機を作成する学生が多いです。

理系の技術職なら、「今までになかったサービスやシステムを開発する」という技術者目線の志望動機もよく見られます。

ただし、「よく見られる志望動機」では、企業に注目されない可能性があるので注意しましょう。

書類選考や面接で「また同じような志望動機か…」と思われるのを避けるため、できるだけオリジナリティを出す必要があります。

とはいえ、あまりに突拍子もない志望動機は逆効果です。

「技術」をテーマにしつつ、独自の調査や考察を加えた志望動機を作成しましょう。

通信業界の転職状況

転職の状況

転職の場合、通信業界全体の求人倍率はかなり高いです。

大手転職サイト「doda」による「転職求人倍率レポート(2019年5月)」では5.90倍となっており、1人につき求人が6件もあります。

一見転職しやすいように思えますが、企業が求めているのは「ITスキルをもった人材」という点に注意しましょう。

日本はITスキルをもった人材が不足しており、先進国の中でも最低クラスという事情があります。

販売・営業系のスキルでは、倍率ほど簡単に転職できない可能性が高いです。

ITスキルを保有している場合は全力でアピールし、ない場合は新しい知識を積極的に学ぶ姿勢を示しましょう。

転職の志望動機で多いものは

就職のときと同じく、「技術」や「インフラ」などがキーワードになっているパターンが多いです。

ただし、「前者での経験を通して何を学んだのか」もセットで語る必要があるので、作成する際の難易度は高くなります。

通信業界での業務を経験した場合は「前社で習得したスキル」、他業界での業務を経験した場合は「通信業界でも活用できるスキル」をいかにアピールするかが選考を左右します。

転職で募集が多い職種

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「代理店」と呼ばれる、大手キャリアの商品・サービスの販売を請け負う企業の募集が数多くあります。

携帯ショップや家電量販店の携帯電話売り場で働く場合、大半が代理店です。

販売・営業系職種での応募が大半を占めており、特殊なスキルも不要で転職しやすくなっています。

他には大手キャリア本体で働く求人・技術者や研究者として働く求人がありますが、いずれも競争率が高く転職しにくいのが特徴です。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

通信業界で働いた経歴・IT系のスキルを持つ方は転職しやすいです。

人手不足で求人も数多くあり、好条件な企業を選ぶことができます。

通信業界のサービス・商品を販売した経験ある場合も、アピールの仕方によっては転職が可能です。

業界未経験でスキルもないという場合は、自身の経歴を振り返ってアピール材料を探す、未経験採用の求人に応募するなど工夫を凝らしましょう。

全体的に人材不足なので、熱意をうまくアピールできれば、経験やスキルのなさをフォローできます。

通信業界の有名・人気企業紹介

NTT

国営企業だった日本電信公社を民営化して誕生した、大手キャリア3社の内のひとつです。

固定電話事業を担当する「NTT東日本」と「NTT西日本」、携帯電話事業を担当する「NTTドコモ」などさまざまなグループ企業が存在します。

携帯電話契約数が一位、多種多様なアプリやサービスを展開しているのが強みです。

NTTグループ ホームページ

ソフトバンク

新興ながら、比較的短期間で大手キャリアにまで成長した企業です。

プロ野球球団「福岡ソフトバンクホークス」や大手ポータルサイト「Yahoo!JAPAN」など通信事業以外にも進出し、経営を多角化させているのが大きな特徴といえます。

海外売り上げ比率が高い、新規事業立ち上げに積極的なのが強みです。

ソフトバンクグループ ホームページ

KDDI

2000年に、複数の電気通信事業者が合併して発足したキャリアです。

運営しているブランド「au」は、エリアカバー率の高さと充実した会員サービスで人気を集めています。

近年は、大手自動車メーカートヨタと、自動車とインターネットを融合させた「コネクティッドカー」の研究に取り組んでいます。

国内携帯端末数シェア2位、電力事業で東京ガスに次ぐ2位が強みです。

KDDIグループ ホームページ

通信業界の現状と課題・今後の展望

競争環境(国内・国外)

国内市場は巨大ですが、総売り上げは近年横ばいを続けています。

人口減による成長ストップやマイナス成長が今後予想されており、新たなビジネスモデル構築が急務です。

海外進出を積極的に行う、通信事業と親和性の高い事業を新規に始める、出資や投資を行う、他企業と連携するなどが今後求められます。

最新の(技術の)動向

技術としては、新たなるモバイルネットワーク技術「5G」が注目されています。

これまでなかった超高速無線通信を、数万台の携帯端末を密集させた場所でも安定して通信できるのが特徴です。

この5Gを軸とし、AI、ロボット、IoTを組み合わせて新たなビジネスチャンスを生み出すのが今後の課題です。

業界としての将来性

業界全体では、今後も安定した成長が見込まれます。

しかし、各企業の勢力図がどうなっていくかは不透明で、数年後にはまったく新たな企業が台頭しても不思議ではありません。

どんな企業に属していても安心できる時代ではないので、先の将来を見据えた働き方を心がけましょう。