トイレタリー業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説





トイレタリー業界とは

「トイレタリー」とは、身だしなみや身体の清潔のために使用する商品の総称です。

具体的には、ボディケアに使用するハンドクリームやデオドラントスプレーなど、バスタイムに使用する石鹸やシャンプー類・入浴剤など、幅広い製品を指します。

また、トイレタリーの中には特にサニタリーと呼ばれる商品もあります。

これは、おむつや女性の生理用品など、主に紙でできた使い捨ての衛生用品のことを指します。

トイレタリー業界とは、サニタリーも含めたトイレタリー商品を開発・販売している業界のことをいいます。

トイレタリー商品は、消費者の日常生活に深く根付いた商品であり、生活必需品と呼ばれる商品です。

これらの商品を扱う業界は、需要が安定した業界と言われています。

なぜならば、経済や自然災害など、生活を取り巻く環境に変化があったとしても、生活に最低限必要な商品については、急激な需要の減少は考えにくいからです。

そのため、国内のトイレタリー業界には、古くから続く歴史ある企業が大きなシェアを占めているという特徴があります。

トイレタリー業界の役割

健康で社会的な生活を送ろうとした場合、トイレタリー商品なしでは実現はほぼ不可能です。

それだけ、トイレタリー業界が手掛ける商品は、消費者の生活に深く根付いた商品と言えます。

万一トイレタリー商品の供給が滞ることがあれば、消費者の生活はたちまち立ち行かなくなりますし、大きな混乱が生じることは間違いありません。

トイレタリー業界においては、その商品を安定して供給すること、商品の安全性を担保することが社会に対する責任なのです。

生活に必要不可欠な商品を提供しているということは、それだけ社会貢献度も高く、またそれを実感することができる業種でもあります。

日常生活の中でも自分が携わった商品を目にすることも多いですし、実際のユーザーの声を耳にする機会も多くあります。

自分の仕事が人の役に立っていることを実感しやすく、とてもやりがいのある仕事と言えます。

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トイレタリー業界の企業の種類とビジネスモデル

主な商品カテゴリー

トイレタリー商品には、その用途や使用場面によって様々な種類が存在しています。

トイレタリー業界の企業の中には、これらのすべての商品を網羅している企業もあれば、特定の分野に特化している企業もあります。

また、化粧品や医薬品など、他業界の商品も展開している企業も存在しています。

ボディケア・ヘアケア用品

・ボディクリームやヘアカラーなど、身だしなみやコンディション向上のために使用されるもの。
・より効果のある成分を求めるなど、嗜好品的な特性もある。
・化粧品については化粧品業界として独立しているため、含まれない場合が多い。

バス用品

・石鹸やシャンプー、洗顔料など、入浴に関連する商品。
・入浴剤やバスボムなど、リラックス効果を求めての嗜好品なども含まれる。

衛生用品

各種洗剤や歯ブラシなど、身の回りを清潔に保つことを目的とした商品。

サニタリー用品

子ども用・介護用おむつや、女性用生理用品など。

国内企業

国内市場において最大シェアを誇るのは、花王株式会社です。

花王株式会社は、国内のトイレタリー市場の売り上げのうち、実に約4割を占めています。

業界第2位のユニ・チャームのシェアが約25%ですから、圧倒的な最大手ということができます。

その他、国内メーカーではクラシエホールディングス、ライオン株式会社、アース製薬、ツムラなどが有名です。

これらの企業は主に国内で商品の研究・開発を行っており、日本の風土や日本人の体質・好みに合った商品の展開が期待できます。

日本のトイレタリー商品はアジアをはじめ各国で品質に対する評価が高く、好まれています。

そのため、国内の大手企業の多くは国内市場のみでなく、海外への販路展開にも力を入れている傾向があるようです。

外資系企業

トイレタリー業界では、国内市場において、外資系企業の商品も存在感があります。

外資系のトイレタリー企業としては、P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)や、ユニ・リーバなどが有名です。

P&Gは子ども用おむつのパンパースやヘアケア用品のパンテーン、ユニ・リーバはラックスやダヴなど、世界中で愛されるブランド展開が特徴です。

トイレタリー商品の特徴として、日常生活に深く根付いているからこそ、外資系企業の製品と気づかず使っていることも多いという点が挙げられます。

世界中の市場においてそれだけ深く生活に受け入れられる商品を作り続けることができる、実力ある企業ということができるでしょう。

トイレタリー業界の職種

多くのものづくり系企業に見られるように、トイレタリー業界においても、様々な職種が関わってひとつの商品を作り出しています。

そのため、幅広い専門性を活かして働くことができる業界ということができます。

マーケティング

消費者に選ばれる商品を作るためには、マーケティングはとても重要です。

トイレタリー商品は必需品であるがために、様々な商品が存在しています。

多くの競合の中から自社製品が選ばれるよう、マーケティング担当者は消費者のニーズや現在の流行・トレンドをリサーチし、商品開発に活かしているのです。

研究開発

トイレタリー業界の会社のほとんどは、自社製品の研究・開発を社内で行っています。

マーケティング担当者が調べたニーズやトレンドを元に商品案が作成されますが、それを実現するのが、研究開発担当者ということになります。

この世にまだない商品を作り出すという、大変ですがとてもやりがいのある仕事です。

パッケージデザイナー

魅力あふれる商品ができても、パッケージやロゴなど、見た目にその魅力が伝わらなければ、なかなか売り上げは伸びません。

商品のイメージを決める、見た目の部分を担うのが、デザイナーです。

正に、商品の「顔」となる部分を担当する、責任重大なポジションと言えます。

広告・宣伝

これらの職種の手を介して生み出された商品を、実際に消費者に手に取ってもらうための施策を担当するのが、広告・宣伝の担当者です。

TVCMやインターネット広告など、消費者が商品に関心を持つよう、効果的な施策を検討し、実施します。

広告のイメージは商品イメージ、ひいては企業イメージにも直結する、とても大切な仕事です。

トイレタリー業界のやりがい・魅力

トイレタリー商品は、日常生活になくてはならない商品です。

人々の生活に密着した商品づくりに携わるということは、それ自体とても大きなやりがいとなります。

消費者のニーズの多様化に伴い、トイレタリー商品も、それぞれの機能や特性に独自性を持った商品が多く登場しています。

例えば、オーガニック素材を使用した肌に優しいおむつや、髪を生き生きと美しくしてくれるシャンプーなどです。

多くの競合商品が存在している中、自社商品のテーマや特徴に共感し、選ばれるということは、とても嬉しいことです。

トイレタリー商品の場合、ドラッグストアやスーパーなどで、実際に商品を手に取っている様子を目にすることもあります。

自分の商品が選ばれ、人の役に立っていることを実感できる、とても魅力的な仕事ということができます。

また、トイレタリー業界の魅力に、市場の安定性もあります。

トイレタリー商品は生活必需品と位置付けられており、経済状況や環境によって需要が左右されることがとても少ない業界です。

急激にニーズが高まることもあまりありませんが、需要が減少し、市場規模が縮小する可能性も限りなく低い業界です。

刻一刻と変わる状況に対応するよりも、安定した環境で仕事をしたいと考える人にとっては、これは大きな魅力といえるでしょう。

トイレタリー業界の雰囲気

国内企業・外資系企業ともに、トイレタリー業界の企業は日本に古くからあり、知名度も実績もある企業が多いという特徴があります。

また、市場規模も安定しており、大きな変化が見られることはほとんどない業界でもあります。

このような企業においては、急激に変わる状況や環境に柔軟に対応することよりも、同じ商品・同じサービスを長く安定して提供することができることが求められます。

これは、企業内で働く人材に対しても同じです。

これまで培ってきた実績やノウハウを活かし、安定して商品を提供するため、まじめにコツコツと仕事をすることができる人材が好まれる傾向にあります。

ですが同時に、多様化する消費者のニーズに応えるため、多くの企業で新しい商品の研究・開発が積極的に行われています。

同じことを続けるだけでなく、発展性のある考え方ができることも、トイレタリー業界に働く人材の特徴ということができます。

トイレタリー業界に就職するには

市場や企業基盤が安定している業界ですから、トイレタリー業界を志望する求職者は多く存在しています。

ここでは、トイレタリー業界への就職状況や、求職者が気を付けるべきポイントなどを紹介します。

就職の状況

トイレタリー業界内の企業の多くは長くその業界にあり、実績を重ねてきている企業です。

企業規模も大きな企業が多く見られます。

これらの企業では、採用の手法として、新卒一括採用を行っている企業がほとんどです。

「総合職」や「一般職」という分類で人材を募集し、入社後に具体的な部署へ配属になることが一般的です。

ただし、研究開発やデザイナーなど、専門的な技術・知識が必要になる部門については、部門別採用を行っていたり、新卒からは採用せず、スキルを持った転職者を採用する企業もあります。

特定の分野の専門性を活かして働きたいと考えた場合には、志望する企業において、その分野の部門で新卒採用枠が存在するのかどうか、確認しておく必要があります。

就職に有利な学歴・大学学部

デザイナーや研究開発部門など、特定の技能が必要な部門を除き、特に就職に有利な学部や専門はありません。

それよりも、コミュニケーション能力や柔軟性、責任感などと言った、個人の能力を重視して採用される傾向にあるようです。

学部での有利不利を気にするよりも、志望動機や業界研究など、就職試験への対策を検討した方が有効です。

研究開発部門を希望する場合、関連する分野の専門性が求められることがあります。

理系学部出身であれば良い、という企業もありますが、特定の分野でなければいけないこともあります。

新商品の開発に携わりたい場合は、化学やバイオ分野、あるいは理工学系の分野の知識や学位があれば有利になることが多いようです。

就職の志望動機で多いものは

トイレタリー業界への就職を希望する人の多くは、市場の安定性に魅力を感じている人が多いようです。

また、ものづくりに携わりたいという思いをもって志望する人もいます。

他の業界ではなく、トイレタリー業界でなければいけない理由、更には、競合他社ではなくその企業でなければいけない理由を明確に述べることができれば好印象です。

例えば、その企業の業界内での位置づけであったり、その企業の商品の特性について言及できれば、説得力は増します。

商品のテーマやターゲットとなる顧客像は企業や商品によって異なりますから、それらを理解した上でその企業を志望している、ということを具体的に伝えることがポイントです。

トイレタリー業界の転職状況

トイレタリー業界で働くには、新卒採用以外にも、転職という方法があります。

転職の状況

多くの業界では同業界からの転職でなければ難しいということがあります。

トイレタリー業界の場合も、同業界での経験やスキルがあれば、有利になることは充分に考えられます。

しかし、他業界からでも、トイレタリー業界へ転職することは可能です。

例えば研究開発部門では、トイレタリー商品に限らず、化学やバイオの分野での開発経験や研究経験が評価されます。

また、デザイナーやマーケティングについては、業界に限らず、同様の経験があれば即戦力として期待できるため、歓迎されます。

転職の志望動機で多いものは

他業界からトイレタリー業界へ転職を希望する場合、志望動機として多いのは、やはりその市場の安定性です。

また、並んで、消費者の生活に密着した商品づくりに魅力を感じる、という声も多く聞かれます。

新卒採用ではなく、社会人経験がある人材の転職ですから、自分のそれまでの経歴やスキルと絡めて志望動機を伝えることができれば、説得力が増し、好印象となります。

転職で募集が多い職種

特定の職種に限らず、様々な分野で転職者に対する求人を見つけることができます。

ただし、新卒採用と違い、基本的には欠員が出た場合や増員の場合に求人が生じますので、自分の希望する職種の求人が常にあるとは限りません。

希望する職種や企業がある場合、こまめに求人情報をチェックするなどされることをおすすめします。

職種の募集は幅広くありますが、自分の専門分野や得意分野を活かすことができる職種は、特に転職しやすい傾向があります。

そのため、研究開発経験や特許などに関する知識が豊富である場合、転職活動時に有利に働く可能絵師があります。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

多くの場合、商品の企画~研究・開発、販売までを一元的に行っているため、トイレタリー業界の企業においては多様な職種の募集があります。

どのような分野においても、自分の専門性を持ち、経験や技術を持っていれば、転職には有利に働きます。

そんな中、今後特に求人需要が高まっていくと考えられるのが、海外展開に関する知見や経験のある人材です。

トイレタリー業界の多くの企業は、国外からの需要に伴い、海外進出を検討・実施しています。

そのため、これらの人材については、今後募集が増えていくと考えられます。

トイレタリー業界の有名・人気企業紹介

誰もが耳にしたことのある、有名企業が多いトイレタリー業界ですが、中でも市場に存在感のある企業も存在しています。

ここでは、トイレタリー業界を牽引する企業を代表して3社紹介します。

花王株式会社

国内のトイレタリー市場において、圧倒的なシェアを誇る最大手企業です。

トイレタリー商品以外に、化粧品やヘルスケア、トナーなどのケミカル製品まで、高い技術力を活かした幅広い商品を展開しています。

花王株式会社

ユニ・チャーム

トイレタリー業界において第2位の売り上げを誇る企業です。

ユニ・チャームの特徴として、おむつや生理用品など、サニタリー用品を中心に展開していることがあります。

特に、社会の高齢化に伴い介護用おむつのニーズが急激に伸びていることを受け、高機能おむつの開発に力を入れています。

ユニ・チャーム

P&G Japan

P&G(プロクター・アンド・ギャンブル)は、アメリカに本社を持つグローバル企業です。

代表的な商品に、世界的に有名なおむつ「パンパース」や洗濯洗剤の「アリエール」などがあります。

ジェルボールという新しい形態の洗濯洗剤を開発するなど、革新的な開発を行っています。

P&G Japan

トイレタリー業界の現状と課題・今後の展望

トイレタリー業界は生活必需品を扱っているため市場が安定していると言っても、変化がないわけではありません。

トイレタリー業界の現状と、今後の情勢や環境変化に伴う展望について紹介します。

競争環境

日本市場におけるトイレタリー商品は、定番商品の他、成分や機能にこだわった嗜好品的側面のある商品も大きな位置を占めています。

各社、消費者のニーズに合わせて新しい商品の研究・開発を行っており、日々新商品が出現しています。

また、これまでの業界企業に加え、ドラッグストアやスーパーが、安価なプライベートブランド商品を開発・発売する流れが進んでおり、競合は更に広がっていくと考えられます。

日本のトイレタリー市場はほぼ飽和状態と言えますので、今後はその市場においてシェアを拡大するための企業努力が主となっていくと考えられます。

最新の動向

最近の流れとして、基本の洗浄成分に保湿成分を加えたシャンプーや、デオドラント機能や香りを持たせた柔軟剤など、付加価値を加えた商品が好まれる傾向にあります。

それに伴い、各社、既存商品に消費者の求める付加価値を持たせた、上位商品の開発に力を入れています。

また、洗濯洗剤におけるジェルボールの開発など、新しい形態・機能を持った商品の開発も積極的に行われています。

業界としての将来性

日本国内におけるトイレタリー市場は、大きな拡大も縮小もなく安定してきました。

しかしここ数年、トイレタリー商品が、海外からの観光客対象の免税品に含まれたことで、旅行のついでにまとめ買いする観光客が増え、市場に成長傾向が見られています。

しかし、この傾向もいつまで続くかはわかりません。

基本的に日本国内の市場はほぼ飽和状態であり、大幅な成長は難しいと考えられています。

そのため、大手企業各社では、海外への展開が進められています。

アジア各国を中心とした海外において、日本のトイレタリー商品の需要は広がりを見せています。

今後は、日本国内・国外共に、海外における需要に対応していくことが、各社の将来性における重要なキーのひとつとなると考えられます。

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