専門学校と専修学校の違い

専門学校について調べたことのある人は、「専修学校」と「専門学校」という言葉に出会ったことはないでしょうか。

どちらも同じような学校なのでは?と思うかもしれませんが、実は両者には違いがあり、呼称が使い分けられています。

この記事では、専門学校と専修学校の違いについて説明します。正しい意味を理解し、進路選択に役立てましょう。





専門学校と専修学校はどう違う?

教育機関について定めた学校教育法では、専修学校は「職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図る」ことを目的とした学校と定めています。

一方で、専門学校という言葉は、学校教育法には出てきません。

なぜなら、専門学校はあくまで通称であり、正式な呼称ではないからです。

では、どのような学校が専門学校と呼ばれているのか、以下で詳しく説明します。

専門学校は専修学校の一種

学校教育法124条において、専修学校は次の条件を満たす学校と定められています。

  • 修業年限1年以上
  • 年間授業数800時間以上
  • 常時40名以上の学生が在籍している教育機関
  • 《専修学校と専門学校の関係》

    上の図に示した通り、専修学校のうち、専門課程と呼ばれる教育課程を設置している学校が「専門学校」と呼ばれます。

    つまり、専門学校は専修学校のうちの一種であり、専門課程を持つ教育機関の通称です。

    専修学校の3つの課程とは?

    専修学校の3つの課程は、入学資格によって分類されています。

    入学資格
    専門課程(専門学校) 高校やこれに準ずる学校を卒業した人。
    高等課程 中学校やこれに準ずる学校、義務教育学校を卒業した人。
    一般課程 入学資格の制限は基本的になし。

    これら3種類の専修学校のうち、圧倒的に専門課程(つまり専門学校)で学ぶ生徒が多いとされています。

    文部科学省の令和4年度学校基本調査によると、専修学校は日本全国に3,051校あり、そのうち高等課程を置く学校は396校、専門課程を置く学校は2,721校となっています。

    参考:令和4年度専修学校各種学校調査統計資料

    このうち高等課程を持つ専修学校は、高校卒業と同程度の資格を持っていることが入学資格の要件となります。

    つまり、高校などを卒業した人が、ある職業に就いたり教養を向上させたりするために入学する専修学校が専門学校と呼ばれています。

    専門学校が、大学や短大と並んで高校卒業後の進路として検討されるケースが多いのはこのためです。

    専修学校(高等課程・一般課程)の特徴

    専修学校のうち、高等課程と一般課程はいわゆる「専門学校」とは異なります。

    では、高等課程と一般課程はどのような特徴を持った教育課程なのでしょうか。

    学べる内容や通っている人の目的について整理しておきましょう。

    専修学校の高等課程とは?

    専修学校の高等課程は、通称「高等専修学校」と呼ばれることがあります。

    学校名が「〇〇高等専修学校」であったり、設置されている学科やコースが「高等課程〇〇科」となっているケースが見られます。

    高等課程で学べる内容は、他の専門課程をはじめとする他の専修学校と同様、次の8分野となっています。

    《専修学校で学べる8分野》
    • 工業
    • 農業
    • 医療
    • 衛生
    • 教育・社会福祉
    • 商業実務
    • 服飾・家政
    • 文化・教養

    中学卒業後、将来就きたい職業の分野が明確になっている場合は、専修学校の高等課程という選択肢も視野に入ってきます。

    また、専修学校は中学卒業後の進路として高等学校に代わる選択肢ともなり得ることから、不登校生や高校中退者を受け入れている学校もあります。

    専修学校の高等課程を修了すると、社会的には高校卒業者と同等の扱いとなります。

    専修学校の一般課程とは?

    専修学校うち、一般課程には入学資格が設けられていません。

    基本的には誰でも自由に専門的な知識・技能を学ぶことができる学校となっています。

    予備校やスクールとして認知されている学校も多く、資格スクールや公務員試験対策のための予備校、大学受験予備校なども専修学校の要件を満たしていることがあります。

    そのため、大学生が知識や技能習得のためにダブルスクールとして利用したり、社会人が働きながら学ぶために通学したりするケースも見られます。

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    専修学校(専門課程)の特徴

    一般的に「専門学校」と呼ばれているのが、専修学校の専門課程です。

    修業年限は1年から4年となっており、中でも2年の学校が多いのが特徴です。

    専門課程とはどのような知識・知能の習得を目指す学校なのか、卒業すると最終学歴はどうなるのか、詳しく見ていきます。

    専門的技能・技術の習得を目指す学校

    専修学校の専門課程(以下「専門学校」)は高校卒業後の進路として検討されることが多いため、同じく進学先として選択肢に挙がる大学や短大とよく比較されます。

    大学や短大は専門領域の学術的な研究に重きを置いており、必ずしも特定の職業に就くことを目的としていません。

    一方、専門学校は先に挙げた8つの分野について、特定の職業に就くために必要とされる知識・技能を習得することに主眼を置いた教育が行われています。

    つまり、高校を卒業して特定の職業に就くことを目標に掲げた生徒が、専門的な知識・技能を習得するために進学するのが専門学校といえます。

    大学や短大を卒業した後の進路は人それぞれですが、専門学校の場合は、学んだ分野に関連した職業に就く人が非常に多いです。

    専門学校を卒業すると得られる称号

    修業年限2年以上の専門学校で学ぶと「専門士」、修業年限4年以上の専門学校で学ぶと「高度専門士」の称号が得られます。

    大学卒業者は「学士」、短大卒業者には「短期大学士」と呼ばれますが、これらは「学位」と呼ばれるのに対して、専門士や高度専門士は「称号」と呼ばれます。

    高卒資格を持つ人と比べて、さらに専門的な知識・技能を習得してきたことの証明になるのが「専門士」や「高度専門士」の称号です。

    なお、修業年限2年以上などの条件を満たす専門学校の学科を修了すると大学に、また、修業年限4年以上などの条件を満たす専門学校の学科を修了すると、大学院への進学が可能となります。

    専門学校には認可校と無認可校がある

    専門学校は、授業時間数、教員数、施設設備の充実度といった一定の基準に基づき、公的機関から認可を受けます。

    認可校となる条件は、以下の3つが挙げられます。

    1. 授業時間数が年間800時間以上(夜間学科の場合は450時間以上)
    2. 修業年数1年以上
    3. 自己保有の施設設備を保有していること

    私立は都道府県知事、公立は教育委員会、国立は文部科学省がそれぞれ認可します。

    認可を受けていない無認可校は、学校教育法に基づかない教育施設という位置づけになります。

    そのため、無認可校を卒業しても卒業資格は認められない点に注意が必要です。

    学校名を「〇〇専門学校」といった名称にするためには、専門学校として認可を受けている必要があります。

    学校名に「専門学校」と入っていれば、認可された専門学校と考えていいでしょう。

    「専門学校と専修学校の違い」まとめ

    わたしたちは、日頃からよく「専門学校」という言葉を普段から頻繁に耳にしたり口にしたりしていますが、この記事で紹介したように、実は専門学校は「専修学校」という学校の一種です。

    特定の知識や技術を学ぶ学校すべてが専門学校というわけではなく、専門学校と名乗るにも、きちんとした定めがあります。

    専門学校への進学を希望している人は、ぜひこのような特徴を理解して合格を目指してください。

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