リーダーシップとは

学生や社会人などの立場を問わず、「リーダーシップ」はだれもが一度は聞いたことがある言葉ではないでしょうか。

特に集団で何かに取り組んだ経験のある方は、よく耳にしたかもしれません。

「リーダーシップ」は多くの人が知っていますが、意味について尋ねると、実は人によってさまざまな答えが返ってくる用語でもあります。

人によって捉え方が異なるのは、リーダーシップにはさまざまな種類が存在することが理由のようです。

リーダーシップの定義や代表的な理論とタイプについて解説します。





リーダーシップの意味

リーダーシップとは集団を統率する機能で、ある目的や目標の達成に向けて集団を導くことです。

また集団を導く地位(立場)や役割を指してリーダーシップと表現する場合もあります。

集団を統率する人のことを「リーダー」といいますが、リーダーシップはリーダーが担う役割と考えることができます。

リーダーシップの定義と種類

かつてリーダーシップは、個人の資質や才能のひとつとして考えられていましたが、研究が進むにつれてだれでも身につけられる能力であることがわかっています。

リーダーシップに関する理論は、現在までにさまざまな研究者によって提唱されているほか、著名な経営者が自身の経験をもとにリーダーシップ論を語ることも珍しくありません。

それほど、集団を統率する方法には多様な形態があるということでしょう。

個人の性格や状況によっても、発揮すべきリーダーシップの形態は異なるといわれています。

非常に多くの理論が存在するため、ここでは広く知られているリーダーシップの理論と種類について確認しましょう。

レヴィンの「リーダーシップ類型論」

社会心理学の父」として知られる心理学者クルト・レヴィンは、アイオワ大学で行った実験(アイオワ研究)の結果をもとに、リーダーシップを3つのスタイルに分類しています。

専制型リーダーシップ
組織を受動的な集団と捉え、意思決定や作業手順の指示に至るまで、集団におけるすべての行動にリーダーが関わる方法です。

未熟な組織に対しては、短期的に生産量や生産性を向上させる効果が期待できる一方で、長期的な視点では集団の育成や信頼関係の構築にはつながりにくいタイプのリーダーシップです。

民主型リーダーシップ
作業に関わる意思決定や手順の策定を集団に委ねる方法です。

集団が議論を通して方針を決められるよう、リーダーはサポートを行います。

自主性や団結力が育まれるため、一般の業務においては長期的に高い生産性が期待できる、望ましいスタイルとされています。

ただし短期的には専制型の生産性に劣るため、短期で高い効果が求められる状況では取り入れにくい方法です。

放任型リーダーシップ
集団に関与せず、すべての意思決定を集団に委ねる方法です。

研究者や専門家など高度に自律した個人が集まる組織などでは効果が期待できますが、放任することが裏目にでる場合もあり、生産量と生産性が低いまとまりのない組織になる恐れがあります。

三隅二不二の「PM理論」

日本の社会心理学者、三隅二不二(みすみ じふじ)が提唱した「PM理論」は、リーダーシップを目標達成機能(Performance function:P機能)と集団維持機能(Maintenance function:M機能)の2つで形成される、複合機能と捉える理論です。

<P機能>
目標達成に向けて集団が職務を遂行するよう、目標設定や業務の指示出し、また叱咤激励を行う能力

<M機能>
チームがまとまり、より強いチームとなるよう、良好な人間関係の維持に配慮する能力

P機能とM機能の2つは常に同じバランスで作用するわけではなく、強弱の組み合わせによって4つのリーダーシップの型に分類されます。

(1)PM型
PM型はPとMのバランスが同じで、かつ両方の機能が強いリーダーシップ。目標達成能力と集団維持能力の両方を兼ね備えた理想のタイプです。

(2)Pm型
Pm型は、PがMよりも強く機能するリーダーシップ。目標達成能力の高さに対して、チームワークを維持・強化する能力が弱いタイプです。

(3)pM型
pM型は、(2)の反対でMが強く機能します。良好な人間関係に配慮する能力は高いですが、目標達成能力が弱いタイプのリーダーシップです。

(4)pm型
pm型はPとMがともに弱いタイプです。実質的にはリーダーシップが機能しない状態となるため、目標達成能力が低く、まとまりのない組織になってしまう可能性が高いでしょう。

ダニエル・ゴールマンの「EQ理論」

書籍「Emotional Intelligence(日本語版タイトル:EQ こころの知能指数)」で知られるアメリカの科学ジャーナリスト、ダニエル・ゴールマンが提唱するリーダーシップには6つのタイプがあります。

(1)ビジョンリーダーシップ(Vision Leadership)
絶対的な信念と価値観をもって夢を共有することで、周囲を動かすタイプのリーダーシップです。急激な成長や変革を必要としている組織に適したリーダーシップで、集団が方向性を認識するためにとても有効。一方で、理想論といわれることもあります。

(2)コーチングリーダーシップ(Coaching Leadership)
リーダーの意見や方法論などを押し付けることなく、相手を尊重することでポテンシャルを引き出すリーダーシップ。

個人への深い理解と高いコミュニケーション能力が必要です。仕事の現状を理想に近づけたい場合に有効ですが、短期的な成果を求める場合には不向きなスタイルといわれています。

(3)調整リーダーシップ(Democratic Leadershi)
集団の合意を重視するリーダーシップで、メンバーも意思決定に関わり仕事を進めます。意思決定に参加することでコミットメントや協調性が生まれることから、組織内に何らかの軋轢が存在する場合など、停滞している状況の改善には有効です。

ただし、全体の合意を得て進める方針のため、劇的な変化を生むような変革には適していないとされています。

(4)仲良しリーダーシップ(Affiliative Leadership)
リーダーの弱い部分はメンバーに補完してもらうという考えのもと、集団と目線を合わせて友好関係を維持するリーダーシップです。

個人の自律性と能力が高い集団には有効ですが、必ずしも組織を目標達成へと導けるとは限らない点が課題となります。

(5)実力/ペースセッター型リーダーシップ(Pacesetting Leadership)
細かい指示を出さずに、リーダーが手本を見せて示すタイプのリーダーシップです。

実力重視の組織では有効ですが、リーダー自身に高い技能が求められるほか、メンバーにも意欲と能力がなければ逆効果になる場合があります。

(6)指示命令リーダーシップ(Commanding Leadership)
リーダーだけが裁量権をもち、指示や命令を出して強制的に動かすタイプのリーダーシップです。単純作業では短期的に成果を挙げやすいリーダーシップですが、メンバーは考える能力やスキルが身に付きません。

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この記事のまとめ

リーダーシップ理論にはさまざまな種類があり、実際にリーダーシップを発揮する場面においても特定のスタイルが必ず通用するわけではありません。

組織の置かれた状況やそこに所属する人々によっても使い分けが必要になるため、見極めて有効な手法を選択する能力もリーダーには求められることがわかります。

また高度なスキルや経験が必要ではあるものの、生まれもった才能ではなくだれでも身につけられる能力であることもリーダーシップの特徴。

社会生活において役立つスキルのため、興味があれば研修などに参加して学んでみるのも面白いかもしれません。

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